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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第八章 ガルハ王国編
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第百九話 ガルハ王国への道

 ――数ヶ月後。


 今はもうめっきり冬。イリス叔母さんに貰ったちゃんちゃんことゆたんぽとカイロと腹巻きが大活躍する季節だ。

 冬は寒いので、ちゃんちゃんこを着て、腹巻きを巻いて、ゆたんぽを抱いて、カイロを付けて宿屋に引きこもっている。


 ――いいご身分だな。


 ――ははは。俺はそういう事が出来る身分だからね。


 こういう事が出来るのも、あの化け物屋敷との対決で、鈴玉リンユーさんから貰ったお金が大きい。あの後は、結構いろいろあった。あの桜が数日入院したり、ニャルカも数日寝込んだ。結局正体不明の正体は分からずじまいだったし、ニャルカもどうやってミノタウロスを倒したかは教えてくれなかった。しかし、これでいいのかもしれない。今は平和だし。


「バベル殿-。暇でござる」


 宿屋でゴロゴロするのは、桜にとっては退屈なようだ。俺は寒さで働く気力すら沸かない。


「外で遊んできたらどうだー」

「バベル殿も行くでござるー」

「春になったらな」


 清牙帝国は北に位置する国なので、冬は寒い。いままで居た国は暑かったから、この寒さには慣れない。


「じゃあ、暑い所に行くでござるよ!」

「暑い所って何処だよ」

「ガルハ王国だね」


 そう言ったのはエル。


「ガルハって南の?」

「うん。アルバス王国よりさらに南にある砂漠の国さ」

「おお。暑そうでござるな。そこに行くでござる」


 桜がなにも考えずにそう言う。


「しかし、アルバス王国を経由して行く事になるだろ? 指名手配中だろう俺達じゃ厳しいと思う」

「それは大丈夫だよ。アルバス王国は王が変わって、不当に逮捕されていた人達が解放されたんだって」

「え!?」


 アルバス王国の王が変わっただと?


「今の王は女王エリミナだって」


 エリミナ。確か、ウルルさんと剣聖のお爺さんが言っていた奴か。


「それで、いろいろ変わって。前王の時代に貴族の傲慢で不当に刑務所に入れられていた人が解放されて、指名手配も同時に解除されている」

「だけど、俺達は殴っただろ? 例え悪徳貴族だろうと殴れば言い訳が出来ない」

「調べた限りだと、ボク達の手配書はなかったよ」

「マジ?」

「マジ」


 ウルルさんがどさくさにまぎれて解除でもしれくれたのかな? しかし、エルってどこから情報を入手してくるんだろう。


「と、いう訳だから、ガルハ王国に行ってみよう」


 どういう訳かは分からないが、なんかガルハ王国に行くことになった。



 ◇



 国を出るにあたって、いろいろ準備をする。エルはギルドでここを去ると報告。桜とニャルカは邪魔になるから外に放りだして、俺は旅の荷物を買うために駆け回る。食料、水、旅の道具。持って行ける物にも限界があるし、エルの魔法のポーチに入る分しか持って行けない。桜に荷物を持たせる事も出来るが、小さな女の子がでかい荷物を持って隣を歩くなんてちょっと外聞が悪い。だから持って行くものは厳選しないとな。


「これである程度は買ったな」


 寒い街を駆け回り、荷物を買う。今はくろまめに荷物を乗せてロープに固定しているが、さっさとエルに渡してしまおう。いつ落ちるかヒヤヒヤする。


「……あ!」


 帰ろうとしたところで、大事な事を思い出す。


 ――暖房用の魔道具を買わなければ。


 こんな真冬に暖房用魔道具を買わずに旅に出るなど自殺行為。なら冬に旅に出なければいいが、なんかいつのまにか決まっていたからしょうがない。


 ――守銭奴のお前が金を掛けてそんな大きい物を買うとは珍しいな。


 ――命に関わるような事にはそんな事言ってられん。今は、使い時だ。


 聞き込み調査を開始し、良い店を教えて貰う。多くの人がおすすめする店なら良いだろう。

 聞き込みを開始して数十分。さまざまな人に聞いた結果、旅の道具を取り揃える“龍玉”という店がいいと分かった。なので、急いでそこに行く。


「ここか」


 大通りにある大きな店。賑わっていて、人がよく出入りしている。扉を開け、中へと入り、前の方に置かれていた旅用の暖房器具のコーナーに向かう。


 ――どれが良いと思う?


 ――私はそういうのは分からない。勘で決めてみろ。


 勘でなんか決めたくない。……この、値段も安く、おすすめとポップが付いたこれでいいか。

 レジに持って行き、店を出る。


「じゃあ、エルと合流するか」


 俺は荷物を確認し、宿へと戻った。




 宿に帰り、近くで遊んでいた桜とニャルカを捕まえて一緒に荷物を整理する。そして、その後帰って来たエルの魔法のポーチに入れて、準備は完了した。


「じゃあ、行こうか」


 もう午後だが、やはり行くらしい。


「そういえば、鈴玉リンユー殿に挨拶をしていないでござるな」

「ああ。そうだな」

「鈴玉さんなら多分ギルドに居るんじゃないかな? ギルドの酒場でよく一人で飲んでるという目撃証言があったから」


 エルはほんとなんでも知ってるな。


「じゃあ、ギルドの酒場に行ってみて居なかったら伝言だけ伝えて行こうか」

「「「おー」」」


 そんなこんなで、俺達はギルドまで行くことになった。




「お、久しぶりっすね」


 酒場に行くと、鈴玉さんがカウンターでお酒を飲んでいた。こんな時間から飲むのも、Sランク冒険者だからだろう。Sランクって凄い。


「どうも。実は、そろそろこの国を出ようかと」

「へー。こんな冬にっすか?」

「はい。なんでか行く事になったので」

「ふむふむ」


 鈴玉さんは少し考え込み、口を開く。


「どこに行くんすか?」

「ガルハ王国に」

「砂漠の国っすか。……じゃあ、エンシャル帝国を経由する事になるっすね……」


 鈴玉さんはまた考え込む。


「じゃあエンシャル帝国まで一緒に行かないっすか?」

「え?」

「実は、私も今日エンシャル帝国の帝都まで飛ぶつもりだったんすよ」

「偶然でござるな」


 それは奇遇だ。鈴玉さんも同じ方向に行くなんて。


「……そうですね」

「バベル君、一緒に言ったらどうだい」


 ……エルの言う通り、せっかくだし一緒に行くか。Sランク冒険者が護衛に居るのと同じ事だしな。


「じゃあ、よろしくお願いします」

「ええ。こちらこそっす」


 こうして、俺達は鈴玉さんと一緒に向かう事が決まった。

 まだゴタゴタしているので、更新ぺースは遅くなりそうです。

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