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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第七章 清牙帝国編
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第百六話 VS化け物屋敷⑤

短め。

「アアアアアアアアアアア!」


 まん丸になり、体は緑色に変化した怪物は、咆哮を上げる。


「シネシネシネシネシネェー!!」


 怪物の一撃は迷宮の床を破壊し、真っ二つにする。

 ミノタウロスも桜も破壊出来なかった迷宮の床を、怪物は破壊したのだ。


 ――マモン! どうすればいい!?


 ――お前達じゃ無理だ。逃げろ。アレは、怪物なのだから。


 しかし、迷宮の出口は堅く閉ざされていて、脱出は出来ない。


「エル! 桜! 逃げるぞ」


 だけど、逃げなければならない。分かってしまった。アレに勝つなんて無理だと。蛙よりは弱いだろう。しかし、俺達じゃ倒せない。


「チカラだ。このチカラをモトメテイター!」


 怪物は腕を上げ、振り下ろす。それは床をさらに破壊し、壁にヒビをいれる。


「くろまめ!」

「プ」


 危険なので、鈴玉リンユーさんを乗せたくろまめは、怪物の攻撃が届かない所まで飛んでもらう。


「ヨワイ、ヨワイ。人とはこれほどヨワカッタのか」


 怪物はそう言って、小さくジャンプする。


「スターッンプ!」


 落ちてきた衝撃で床は砕かれ、衝撃波が襲う。


「ウルァ!」


 ヒビの入った地面から起き上がり、拳を桜に向かって振りかぶった


「あがっ……ぅ……」

「「桜(ちゃん)!」」


 回避する事も出来ず、その一撃を食らった桜は破壊された壁に叩きつけられる。常人ならば原形を保つことすら難しかっただろう。原型をとどめ、それでも生きていられるのはひとえに桜だからだ。


「エル、桜を避難させろ!」

「うん」


 桜に追撃を行おうとしている怪物に、爆虫をけしかける。


「ジャマをスルナー!」


 怪物は桜をほっぽりだし、俺に向かって来る。

 ……正直恐い。逃げ場のない空間で、殺気を全開でやってくる怪物。死を身近に感じる。


 ――マモン、なにかないのか?


 ――お手上げだ。アレは力を求めて古代兵器を取り込んだ奴のなれの果て。すべてを引き替えに古代兵器の力は、あのミノタウロスをゆうに越える。


 一歩、一歩近づいてくる怪物。なにをしても無駄。逃げられない。死ぬしかない。


「……諦メル……ノカ?」


 それはノイズだらけ声。壊れた機械の様な声が、後ろから聞こえる。エルでも、桜でも、ニャルカでも、鈴玉さんでもない。知らない誰かの声。


「……確カニ……難シイナ。……私ガ……少シ手伝オウ」


声の主は俺の横を通って、前に出る。ボロボロの黒いローブを着て、奇妙な仮面を被っている人間。


「ダレダお前はー!!」

「……ククク。『守護の破壊』」


 その人間はユニークスキルを使う。すると、怪物のナニカが割れる音がした。


「此デ……攻撃ガ通ル筈ダ……後ハ自分デ遣レ」


 人間はそう言って、後ろに下がる。桜を運んで避難させたエルも、ポカーンとしており、怪物もしきりに自分の体を確かめている。


「ん? ん? ナニモナイな。ハッタリだな」


 怪物はそう言って、こっちに向かって来る。


「……ククク。遣レ。……オ前ナラ出来ル」


 正直、この人が俺の何をしっているのか小一時間ほど問い詰めたい。遣れば出来るなんていうが、不可能な事だってある。それが、目の前の居る怪物だ。


「信ジロ……バベル。死ヌノハ……恐い(・・)


 死を覚悟した。死ぬことしか考えなかった。だけど、この人の言葉を聞いて、生きあがいてみたくなった。これは、俺が一度経験した死を、思い出したからかもしれない。


「『爆破調整』最大まで。サモン『爆虫(超小型)』」


 小さく、とても頼りなさそうな爆虫は、覇気をまとっていた。頂点に立つ様な。王の様な……。


「やれ!」


 爆虫は怪物に飛びかかる。


「虫のクセに、ナマイキだ!」


 怪物は爆虫を叩きつぶそうとするが、攻撃は躱される。


「……gb」


 そう言ったのは、誰だろう。その声は、確かに爆虫から聞こえた。


「エエイ! ウットオシイ」


 怪物は背中に張り付いた爆虫を潰そうとするが、出来ない。そうこうしているうちに、爆虫は大爆発を引き起こした。


 最大まで高めようが、絶対に今の俺では到達出来ないほどの爆発をみせた爆虫は、怪物だけを木っ端みじんにし、消えていった。

バベルが見せた力とはいったい!?

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