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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第七章 清牙帝国編
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第百五話 VS化け物屋敷④

「ブモオオオオオオ!!」


 ミノタウロスは、まず斧を振りかぶる。その軌道から避けると、ミノタウロスは斧を横にふりかぶる。


「桜!」

「やあっ!」


 さすがに横ぶりの攻撃は避けられないので、桜に受け止めてもらう。その間にエルは短剣を構え、ユウガイと名乗った化け物屋敷のボスを攻撃する。


「おっと」


 しかし、透明な壁に阻まれて、エルの攻撃は通らなかった。


「ざんねーん。ボスが居る間は、僕が攻撃を受けることはない!」


 ユウガイは自信たっぷりにそう言い切る。このミノタウロスに相当の自身があるのだろうか。


「エル! そいつを警戒しておいてくれ!」


 俺達でミノタウロスをやろう。桜が攻撃を受け止めている間に、王位魔力回復薬キングマジックポーションを飲み、超小型の爆虫を三匹召喚する。


「いけ! 『連鎖爆破』」


 超小型の爆虫はミノタウロスに取り付き爆発し……傷一つ付けられなかった。


「な!」

「またまたざんねーん。ミノちゃんの防御力は“戦神”の攻撃すら耐えきったほどだよ」


 戦神って最高火力ともいわれる冒険者だろ? 無理じゃん。


 ――マモーン。なにかないか?


 ――私の見立てでは、超小型30匹の連鎖爆破で倒せるんじゃないかと思う。


 ――それは不可能と言っているのだね。


 魔力回復薬(マジックポーション)で魔力を回復させたとしても足りない。というか薬は使いすぎると毒になるし、回復薬も連続して使わないほうがいい。

 さっき王位魔力回復薬(キングマジックポーション)を使ったし、後一、二回ほど使えばヤバイかも。


「桜! どうだ!」

「決定打がないでござる。必殺スキルを使っても倒せるかどうか……」


 どーしよ。俺と桜が倒せないんじゃ、無理だぞ。


「ニャルカ、なにか案はないか?」

「……我なら出来る」


 その根拠のない自信はどこからくるんだ。


「思ったんにゃけど、アレって必ずしも力で倒さないといけにゃいのか?」

「…………」


 確かにそうだ。アレは倒せればいいのだ。しかし、落とし穴も掘れそうにないし、火も効きそうにない。毒も持ってないし、秘策もあるわけではない。


「あいつを倒せる波動とかない?」

「我の波動は混乱、催眠、睡眠、音波、後は冥王波動と必殺スキルにゃ」


 必殺スキルはさっき使っていたし、他の催眠でも無理そうだな。


「おやー。もう手がなくなった? 僕に攻撃を通すには、ミノちゃんを倒さないといけない。だけど、ミノタちゃんは倒せない。もう諦めて死んじゃえよ」


 死ぬか。最後まで生きあがく!


「なにか手は……」


 桜は攻撃を受け止める事が出来ても、攻撃を通す事が出来ない。寄生型も一週間はかかるし、閃光型はただの時間稼ぎ。このままだと疲労がたまって桜が負ける。


「ねえ、毒とか効かないの?」

「分からないけど、内部から破壊すればなんとかなりそう」

「ふっふ~ん。無理だ! ミノちゃんは毒の抗体を持ってるからね。二つ名持ち【毒水流 ボツリヌス】の毒か、迷宮王国の“毒沼“でもないと殺せないよ」


 また道をふさがれた。どちらも無理だ。


「はぁ……はぁ。何か手は」


 いくら体力のある桜でも、あの重そうな攻撃を受け止めていたらさすがに疲れる。


「くっ。サモン『爆虫(閃光型)』。桜、一旦下がれ!」


 閃光型をミノタウロスの目下に行かせ、爆発させる。


「ブモオオオオオオオオオオ!!」


 ミノタウロスは苦しそうに呻き、目を押さえる。


「おや? 光を当てたか。だけど、ミノちゃんはそれじゃあ倒れないし、直ぐ復活する」


 その言葉通り、ミノタウロスは直ぐに復活し、怒気をあらわにしてこちらに向かってくる。


「はぁはぁ。もう一度せっしゃが止める!」

「しかし、ジリ貧だぞ」


 桜は見るからに疲れている。こんなんじゃ、斧で真っ二つにされるぞ。


「……我がやるにゃ!」

「なにを言っているんだ?」

「少し目をつぶってくれ。我は晒したくない! 『混乱波動』」


 ……っっ。なんだこれは! 上も下も右も左も分からない。狂ってしまいそうなほど頭をかき回される感覚が襲う。

 この声はなんだろう。ミノタウロスの……悲鳴? それとなにかの声が聞こえる。化け物……?


「がっ!」


 我に返ると、目の前にはミノタウロスの死体。それと、その傍でのびているニャルカ。


「今のはニャルカ」

「め、目が回ったでござる」

「ニャルカ!」


 さっきの吐きそうなほどの感覚を考えていると、エルは真っ先にニャルカに駆け寄る。


「大丈夫?」

「にゃは。後は、任せた」


 そう言って、ニャルカは目を閉じた。もちろん死んではいない


 ――……なんだったんだろう。ニャルカがあれをやったのか?


 ――……まさか。いや……。


 ――マモンー!


 ――あ、ああ。バベルか。


 マモンはなにか考え事をしていたようだ。


「……な、なんだったんだ」


 そう言ったのは、ユウガイ。顔を蒼白にし、震えていた。


「アレは……」

「なにが起こったかは分からないが、お前を先に捕まえよう」

「……ふふ」


 ユウガイは真っ青な顔のまま、笑う。


「なんだ?」

「あ、はははははははははは! 無理だよ! 僕には勝てない。だって、これがあるから!」


 ユウガイが腰のポーチから取り出したのは緑色の果実……。


 ――まさか!


 ――間違いない! アレは古代兵器“怠惰”バベル、あいつを捕まえろ!


 しかし、こんな会話をしているうちに、ユウガイは果実を丸呑みにした。


「お前が兵器か! 力を遣せ! 一瞬で叩き潰せる力を! 疲れたんだ! さっさとしろ!」


 ユウガイは虚空を見上げながら叫ぶ。


 ――……まさか! バベル、アレを殺れ! 


 ユウガイの様子を見ていたマモンがそう叫ぶ。


 ――なんだ?


 ――いいから! まだ馴染んでないからか……。


 マモンはこちらの話は聞かずに、ブツブツとなにか言う。


「分からんが、さっさとやるぞ!」

「うん」


 しかし、遅かった。


「ギャハハハハハハ。死ね死ね死ね死ね」


 ユウガイの体は突如巨大化し、ブクブクと太る。体は緑色に変化し、体の至る所から顔の様な痣が浮き出ていた。

 ……あれはまるで、怪物じゃないか。


 ――マモン、あれはなんだ?


 ――強制同化。アレは力を求めた者の成れの果て。もう、人間じゃない――怪物だ。

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