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ヤンデレではいけませんか、ご主人様?  作者: 終焉の焔
第1章 猫のちストーカーのちヤンデレメイド
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幕間 ねここの日常

今回はお茶濁し的な感じになって申し訳無いのですけど、ねここのお話です。


この物語は我輩の我輩による我輩の為の物語であるにゃ。


異論は認めぬ。


ただ、最近は少しばかり我輩を取り巻く環境が変わったせいか、影は薄い。

だが、それは仕方ないというものにゃ。脇役にもスポットライトを当ててあげるのが、主役である我輩の粋な計らいというやつにゃ。


さて、諸君にはまだ我輩の華麗なる経歴を紹介していなかったと思うにゃ。

なので今日は、恵から主役の座を奪い、我輩の素晴らしい人生をお伝えするにゃ。


我輩は日本の都である京都で、何代にもわたって栄えてきた名家、乙葉家の一人娘。

子供の時から勉学に励み、周囲を神童と言わしめたという末恐ろしい少女なのだ!


凄いにゃろ?諸君のどよめきが聞こえてくるにゃ。

そうに決まっているにゃ。え?にしても京都弁じゃない?


もちろん、京都弁も話せるが、いかんせん子供の時に多種雑多の文学本を読んだせいでこれが、癖になったのにゃ。はい、そこアニメに影響されたとか言わないにゃ。


特に影響を受けた本は夏目漱石の『我輩は猫である』だにゃ。


閑話休題、我輩はどの分野においても、常勝無敗。それが乙葉ねここの人生なのにゃ。


うん?この前負けたとにゃ?違うにゃ。あれは負けたのではなく、講和したのにゃ。

圧倒的優勢において、敗者にまで気配りをするそれがこの乙葉ねここ様なのにゃ!


「言い残すことはそれだけですか?」


にゃ……我輩は認めないにゃ。


我輩よりつよい相手が今目の前で悠然と我輩を見下しているなんて!!


「……待つにゃ……まだ負けてーーにゃ……!?!?」


首筋に感じる冷たく硬い、無機質で、無慈悲で、屈辱的な感触。

奈央がまるで殺人マシーンか何かのごとく、冷淡に我輩の首にナイフをあてがっていたのだ。


余りの出来事に少々驚いたが、ねここは強い子なのにゃ!この程度恐るるに足らず。


「ま……待ちにゃ……話しぇば……わかるにゃ!!」


あれ、おかしいにゃ舌が言うことを聞かないにゃ……


「いいえ、貴女のような下郎(ストーカー)は今すぐにでも処理します。ご主人様への悪行は万死に値すると言うのに、ストーカーなど、この世から貴女の身体を構成する原子を一つ残らず消滅させても有り余るほどの罪であるのですよ。それなのに、貴女ーー「ちょっと待つにゃ!!」


振り絞って出したその言葉に、奈央は顔を歪めた。

汚物を見るような目で、こちらを睥睨する。だが、我輩はこのくらい……


「わ……我輩!……知らないにゃ!ス……ストーカーなんてする訳にゃいにゃ!」

「でしたら、ストーカーは誰ですか?」

「そ……そんなの、知る訳ないにゃ!早く解放するにゃ!」


奈央は我輩の顔をじっくりと眺める。

心臓が止まりそうになるのを必死に耐えること数秒、奈央はため息をついて再び我輩を睥睨する。


「どうやら本当に知らないようですね」

「そ…そうにゃ!だから解放するにゃ!」

「はい?貴女の容疑はストーカーだけではないのですよ?」


「な……なににゃ?」


震える声を抑えるがうまくいかないにゃ。……さっきトイレ行っといて正解だったにゃ……


「貴方はご主人様の出番を悉く奪い、あまつさえ語り手の座さえも奪うという大罪を犯したのですよ?この意味、分かりますか?」


「いきなりそんなメタいこというにゃ!!ーー御免なさい御免なさい」


何故身体が震えるのか、それは本能の警告なのだろう。

身の危機を感じて即座に謝るが奈央は汚物を見るような目を改めようとはしない。


「うにゃあああああああああああああああ」


次の瞬間、我輩の叫びは陽が傾き始めた生徒会室に響き渡った。




おのれ、比嘉奈央……我輩は許さんにゃ!


絶対に取り返してみせるにゃ。


平穏な日常を、我輩が主役の日々を、そして恵を!!


「絶対に諦めないにゃーーにゃああああああああああやめるにゃいや、やめて下さいにゃあああああああ」

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