ストーカーのいる日常ー8
だいぶ投稿が滞っておりまして誠に申し訳ありません。
これからは出来るだけ早く頑張ります。
一章完結です。
はじめに断っておこう。
この物語は俺と少々病んでしまったメイドとその他の子とのたわいもない日常生活を書き綴るものである。
つまり、これはバトルものでない。それ即ち、奈緒と涼香ちゃんの戦闘シーンはないのだ。
それでは、奈緒と涼香ちゃんがどうなったのかというとーー
昼休みの屋上。屋上にはベンチが一つっきり置かれただけで、ここは俺たち以外に来るものもおらず、ほぼほぼ独占しているという状態だ。俺たちは昼休みになると、暖かい陽射しを受けながら、食事をすることが恒例行事となっている。
ムチムチした柔らかな感触を後頭部と膝裏に感じながら、前髪をさらさらと撫でられる。
「ふふ、恵くんは甘えん坊さんだね」
涼香ちゃんは満足そうな笑顔に、隣に座っていた奈緒は不愉快極まりないといったツンとした表情で言う。
「ご主人様にそう気安く触らないでください、この雌豚が。一つ言わせてもらいますが、貴女など、私が本気を出せば刹那の内に抹消させることが出来るのですからね。お優しいご主人様の御慈悲で、空蝉にいられるのですよ。その事を忘れないでください。ちょっと聞いているので
「うーん、恵君なんか羽虫がうるさいね。もう暑くなってきたもんね。あ、そうだ生徒会室にね、蚊帳があるんだよ!うるさい羽虫が入れないように、トラップを仕掛けた要塞の如き『蚊帳』が。だからさ、二人でそこに行こうか?行きたいよね?そうだよね。行きたいって顔してるもんね。じゃあ行こうか」
と、涼香ちゃんは俺を持ち上げる。が、それは俺の膝を持った奈央によって阻まれる。
膝枕していた状態から立ち上がったので、俺は涼香ちゃんに胴を、奈央に膝を持たれた状態で横になっているというわけだ。何故女の子二人で男の俺をこうも軽々しく持ち上げられるのか、まったくもって疑問である。
だが、そんなバカなことを考えていたその時、嫌な予感が脳裏をよぎる。
それに、俺は命の危険を感じて叫んだ。
「ちょっと、二人とも落ち着こうか……今二人が本気出したら俺死ぬから、裂けるから!」
「「死ね!」」
「ちょっと、今その台詞はーーうわあああ!?」
俺の下では二人によって壮絶な戦闘が繰り広げられていた。
こういえば少々語弊があるのだが、壮絶な蹴り合いである。
開幕はなんと二人同時に、足払いからだった。
同時に屈むと、お互い左足を軸に、効き足である右足を淀みのない華麗な足さばきで相手の軸足に放つ。
だが、それを察知してか二人とも放った足の軌道を即座に変えると、お互いぶつけ合う。
その衝撃波は二人の身体を揺さぶった。もちろん、二人に支えられている俺はとんでもない揺れに恐怖することになった。
その次の攻撃は奈央からだった。戻した足を無理に着地させそこから踏ん張り蹴りを放つ。
普通なら、この時点で足を捻り自爆しているわけだが、どういうことか奈央はそのまま蹴りを放った。
だが、それでも甘い。といった様子で涼香ちゃんは軸足にそのまま力をこめると大きく飛び上がった。
そして、見事に奈央の蹴りをスルーすると、飛んだ時に戻した利き足でカウンターの足払いを仕掛ける。
これは決まったかと思ったが、奈央は次の瞬間、涼香ちゃんの足に蹴りを放ち、威力を相殺して見せた。
いつからこの二人は人間を止めたのだろうか?そう思う程に、二人の行動は物理法則を殺しにかかっている。そんな二人に抱かれたまま戦闘されるのは生きた心地がしない。
「ふたりともいい加減にして!」
「申し訳ありません、ご主人様。どこかお怪我はありませんか?」
「ごめんね、恵君。痛いところはないかな?」
二人は俺の叫びにはっとしたようにシュンとして謝る。
こうなれば心思いのできるいい子たちなのだが、いかんせん二人は仲が悪い。
二人は再びベンチに腰を掛けた。
もちろん、俺は膝枕をされたままだ。
二人はしばし、無言でいがみあっていたが、遂に二人はソッポを向いて俺の危機は過ぎ去ったのだった。
今日のこの出来事を見てもらったらわかる通り、二人は互角だったのだ。
そして、今はまたいつ争いが起こるかわからないまさに冷戦状態。
だが、こんな日々も悪くない。
ちょっぴり愛の重いメイドとストーカー気質の幼馴染と猫。
三人の少女とのありふれた日常はこれからも続く。
「ああ、そうそう。そこの雌豚さん?ご主人様へのストーカー行為はおやめください。ご主人様が怖がられておりましたゆえ」
「え?私、恵くんのことは大好きで、いろいろ部屋に飾ったりはしてるけどそんな事してないよ?」
「「え?」」
意味深な終わり方ですけど……一章完結です。
二章でまた、新キャラ登場です。これ以上増やしてもって感じですけどね……




