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追跡4

一部、携帯やスマホでは読みづらい部分があります。

よろしくお願いします

 川の上流へ目指してテクテク歩く俺達。

 俺達が流されて来たこの川は、それなりに大きい河川である。川を渡るにはそれなりに大きな橋が無いと大変なほどだ。泳いで渡りたくは無いな。

 川の水深も深い所は底が見えないくらいである。


 しかし、この面子でぞろぞろ川原を歩いているのを日本人が見れば、ハイキングとか遠足に来た小学生を率いる教師みたいな光景と思われるのではなかろうか。

 みんな俺より背が低いし、身長が130センチ前後の可愛らしい外見のラビッター族だから、そんな感じに見えそうだ。ウサ正宗だけ140センチ前後だから、一人だけお兄ちゃん役か。

 ついでに改めて自己紹介なんかをした。


 「このパーティーのリーダーを務めていました、名前をジローといいます。

 ウサ正宗教官直伝の双剣使いで前衛を担当しています。

 よろしくお願いします。」


 見た目はグレーの毛並みで赤い瞳が印象的である。真面目な委員長タイプかな。

 皆をしっかりまとめてそうだけど、苦労も多そうである。

 

 「サブリーダーのテムジンっていいます、よろしくっす。

 得意な得物は槍っす。

 なんで主に中衛を担当してるっす。」


 見た目は金色の鮮やかな毛並みで黒い瞳である。

 んーー、ちゃら男っぽい感じだね。

 槍の持ち方もなんだか少し危なっかしい気がするのは偏見か?

 

 「前衛担当の双剣使いのマタタビだ。

 古くから戦士をしていたので、一番経験だけは豊富だ。

 これからよろしく頼む。」


 淡い茶色の毛並みをしていて茶色の瞳をしている、ガッツがありそうな感じの子である。

 あれは一度徹底的にウサ正宗に指導されて矯正された口だな。

 だが、しごかれたその分だけ頑丈そうだ。

 

 「斥候のナイフ使いのウールといいますです。

 よろしくお願いしますです。」


 白っぽい毛並みに所々に黒の縦縞模様のある変わった毛並みをしている子だった。瞳はブルーである。

 敬語の使い方というか、しゃべり方がなんだかおかしいが、スルーした。

 このパーティーの中で一番小柄で、120センチくらいしかないのだか、里のラビッター族の中でもっとも気配を隠すのが上手で、走るのも早いらしい。


 「後衛の弓使いのコゲトラっちゅうもんです。

 よろしゅうお願いしやす。」


 名前の通り焦げ茶色とでもいえばいいのか、深い茶色の毛並みの黒い瞳をした子である。

 なんだか関西弁っぽいしゃべりなのが不思議だ。

 弓の扱いに長けているそうだ。


 「おっ、同じく後衛を担当してます!!弓使いのミコです!!

 弓よりも笛の演奏が得意です!

 よろしくお願いします!!」


 テンパっている感じのする印象だが、見た目は鮮やかな桜色の毛並みを持ち、クリッとした黒い瞳の子である。

 主に演奏をして、戦力の底上げをしてのサポートが得意らしい。

 後で演奏の効果はどんな感じなのか試してみたい。


 それにしてもなんだか随分個性的な面子が揃ったな。


 「じゃあ一応俺も自己紹介するか。

 鏡竜司という。

 主に刀や剣で接近戦もするし、飛んでいる相手ならボウガンも使う。近接攻撃も遠距離からの攻撃もそれなりに得意だ。

 オールラウンダーの戦い方をするのが特徴か。

 皆、よろしく頼む。」

 「では私も。

 ウサ正宗といいます。竜司様にお仕えしている身になります。

 皆の指導を担当したので知っているでしょうが、双剣を最も得意としていますが、他にも体術に投げナイフを使い戦います。

 これからもよろしくお願いします。」


 ウサ正宗がそういうと皆ギョッ、として驚いた表情を浮かべて俺を見る。

 どうやら、ウサ正宗が俺に仕えているというのを知らなかったようだ。

 俺的には相棒なんだが、ウサ正宗的には仕えるべきご主人様なんだとか。


 「えっ!!

 そうなんですか?

 竜司殿と一緒にいるだけだと思っていました。」

 「俺もそう思ってたっす。

 どちらかというと教官の方が竜司さんより強い気がしたっす。

 いやー、意外っすねーー。」


 散々な言われ様だが、否定できない。

 正直ガチで戦闘したら、ウサ正宗には勝てない気がする。

 チート装備で戦っても、プレイヤースキルが違いすぎるからな。

 瞬殺されそうだ。


 「そうだな。

 はっきり言えば俺よりウサ正宗の方が強いだろうな。

 剣術もウサ正宗から教わったし、基本的なスキルが段違いだ。

 それは戦闘訓練を受けたお前らも良く分かっているだろ?」

 「そうっすね。

 俺らが全員で挑んでも軽く一蹴されてしまうっす。

 里の他の戦士達全員で挑んでも結果は変わらないっす。」

 「だろうな。

 まあ、一応俺が立場的には一番上という事で納得してくれ。」

 「もしも、ご主人様を蔑ろ(ないがしろ)にしようものなら、指導しますよ?」


 ウサ正宗の背後に鬼を見た気がするが気のせいか?

 ウサ正宗の威圧により、他の六名のラビッター族一同は、震え上がりながら高速で肯いた。

 うーーん、上下関係は既に完璧に出来上がっているね。


 「まあ、とりあえずはこのまま川辺を歩くか。

 渓谷まで徒歩で歩ける場所を選びながら行こうか。」



 それからは、一応隊列を組んで歩いていった。

 先頭に斥候役のウールとウサ正宗を配置して、次に前衛のジローとマタタビ、中衛に俺とテムジン、後衛にコゲトラとミコである。

 正直ウサ正宗が先行すれば斥候なんていらないし、戦闘になっても大抵楽勝なんだが、人数も増えたしチームとして連携して行く為にも、まずは彼らのレベルに合わせていっしょに行動するようにした。


 そうそう、ミコの笛の演奏は非常にグッジョブな効果だったよ。

 スタミナ無尽蔵の効果小。一定時間走ったりしても息切れしないし、疲れないというものだ。

 攻撃力増大の効果小。一定時間筋力が強化されて攻撃力が上がるというものだ。こちらもかなり有益だな。

 彼女の演奏は効果時間が演奏終了から五分程しか持続しないが、それでも使える効果だった。

 特殊効果のある曲は2種類しか演奏出来ないそうだけど、それでも強力なサポートスキルだ。


 実際にスタミナ無尽蔵を試してみたが、演奏の効果がある内に全員ダッシュで進んで行ったら相当早く進む事が出来た。

 ただし、効果が切れてから疲れを覚える様になるし、反動もあるみたいだ。

 調子に乗って全力で動き回っていたりすると、次の日に筋肉痛でエライ目にあうそうだし。

 なんで、普通に歩いて行く事になる。


 所々で休憩を取りながら、川辺を進んでいると、斥候の為に先行していた二人が戻ってきた。


 「モンスターがこの先の森に潜んで居ましたです。

 数は12頭でグレイウルフの様です。

 どうしますかです?」


 斥候のウールがそう報告してきた。同行していたウサ正宗も一緒だったので、間違いは無いだろう。


 「よし、それなら蹴散らそう。

 今回はチームワークを確認する意味も込めて、全員で対処しよう。」


 その程度のモンスターならウサ正宗だけでも十分な過剰戦力だが、俺らはストームドラゴンを相手にするからな。

 事前の戦力確認は必須だろう。


 「わかりました。

 では隊列を入れ替えますね。」


 そうジローが返答した。

 それから直ぐに皆に指示を出して隊形を扇型に変更した。

 それで双剣使いの二人が中央前列に位置して、その後ろに槍使いのテムジンが受け持つ事になった。

 斥候のウールとウサ正宗は双剣使いの左右に配置している。

 俺はテムジンと後衛の間に位置している。

 扇型の陣形にしたのは、動きの素早い敵から後衛の二人を守る為に、覆いかぶさるような陣形にしたいからだ。それと川を背後に位置するように陣形を組む事により、バックアタックの心配が少なくなるのが利点である。


   マタタビ、ジロー

 ウール      ウサ正宗

     テムジン

     竜司

    コゲトラ、ミコ


 分かりやすくするとこんな配置かな。鋒矢の陣じゃないよ、一応扇型の陣形だ。

 

 「そうだな。

 俺は後衛を守る事に徹しよう。

 ウサ正宗は前衛を頼む。」

 「分かりました、ご主人様。」


 それから彼らの戦いっぷりを観戦しながら、グレイウルフと戦っていった。

 この川原の地形は両サイドを森に囲まれていて、その森からグレイウルフ達は襲い掛かってきた。

 足場は玉砂利であんまりよろしくないのだが、グレイウルフ達は四足歩行なんで関係無く安定して突っ込んできた。


 まずは先制攻撃を仕掛けたのは、後衛の弓使いの二人だ。

 ボウガンじゃないので、次々に矢を放っていく。弓の方がボウガンよりも圧倒的に速射性能に優れているな。

 ただ、残念ながら命中率はあまり高くない様だ。

 特にミコの放った矢はほとんど命中していなかった。

 コゲトラの放つ矢も、命中しても致命傷にならずに足止めくらいにしかならない。


 そしてある程度グレイウルフとの距離が縮まってきたら、乱れ撃ちの矢を止めて、前衛がグレイウルフと接触した。


 「おおぉーーーー!!」

 「てりゃーー!!」


 双剣使いのジローとマタタビの二人は、後ろにモンスターを通さない様に戦った。

 隊列を崩さない様に意識しているのが分かるが、素早いグレイウルフの動きに翻弄され気味だな。

 ジローとマタタビは双剣の利点である、手数の多い攻撃で勝負するという感じで戦えず、片方ずつの剣を振り回しているという印象だ。攻撃が当たれば、ミスリル製の武器なのでそれなりのダメージになっているが、訓練不足かな。


 ウサ正宗は後ろに抜かせない様にしていたが、広範囲をカバーするのではなくて自分に向かってくるグレイウルフしか相手にする気が無いようだ。まあ襲い掛かってきた敵は愛用の大型ナイフで瞬殺していったが。


 斥候のウールは戦闘では無理せず、素早さを活かしてフェイントをしたりして、ナイフで小刻みにダメージを与えていた。一番このメンバーの中では火力というか攻撃力が低いから、無理せず戦うのは正解だ。


 偶に前衛を抜くグレイウルフも居たのだが、更に槍使いのテムジンが中衛で相手してくれたから、後衛までは来なかった。

 テムジンは広範囲のフォローを担当しているから、負担がそれなりに大きかった。ちゃらい印象とは裏腹に、堅実にグレイウルフと戦い、仕留めていった。


 弓使いの二人はめげずに遠いグレイウルフを狙って矢を放つ。だが、ちょっと命中率が低すぎるな。フレンドリーファイアを気にしているのもあるのだろうが、ほとんど当たらなかった。


 俺は一応後方や空からの奇襲を主に注意しながら、後衛の護衛に徹したよ。

 出番は無かったが、みんなの戦いっぷりは観戦出来た。

 

 戦闘時間は十分もかからなかった。

 まあそもそもグレイウルフは弱いしな。

 いくら動きが素早いといっても、雑魚キャラには変わりない。


 ただ、やはり小柄なラビッター族では、接近戦をして押し倒されると致命的状況になり易いな。

 戦闘の途中でマタタビがグレイウルフに二頭同時に襲われてしまい、一頭に気を取られている内に押し倒されてしまったのだ。

 防具がいくら良くても、ラビッター族とグレイウルフでは体重差が二倍から三倍はあるだろうから、力ずくで抑えられると自分ではどうしようも無いみたいだ。

 気づいたウサ正宗が直ぐに投げナイフでカバーして、押し倒したグレイウルフを瞬殺したから問題無かったが、最悪の場合はあのままだと首を食い千切られる可能性もあった。


 他には、やはり攻撃力が低い事が挙げられるのかな。

 ウサ正宗以外の皆は、一撃必殺とまでいかなくても、武器を急所に当てる事や、クリティカルヒットな部位に攻撃を当てる事が出来ていなかったのだ。

 まあ、グレイウルフ相手ならそんなに気にしなくてもいいんだが、もっと強い相手はいくらでもいるからな。

 もっと意識的に攻撃をしないと駄目だな。致命傷になる攻撃をしなくてもいいから、足を狙って攻撃して機動力を奪い、後は後衛の弓に任せるとか。

 そういう役割分担はまだまだ出来ていない。


 「殲滅完了か、取りあえずこの場を離れよう。

 血の匂いに引かれて、他のモンスターがやってくるかも知れないしな。」


 そして俺達はその戦闘現場から急いで離れた。

 十分に距離を取ってから、休憩することにした。

 もちろん、倒したグレイウルフはPDSに回収しましたよ。

 今まで倒して保管してきた在庫はディナントの町でも放出したし、隠れ里でも放出したから、お肉のストックが非常に少ないんだよ。

 

 「みんなお疲れ。

 今回俺は戦わなかったけど、皆の戦いを見せてもらった。

 まあウサ正宗の猛烈特訓を潜り抜けてきたから、それなりに戦えているね。」

 「そうですね。

 まだまだ危うい場面も多いですが、12頭ものグレイウルフを相手に出来る様になったのは、喜ばしいことです。」


 そういうと、六人は嬉しそうな、誇らしげな表情になった。


 「まあ、反省は今度でまずは休もう。」


 そして、そこでしばらく休憩して、再び歩き出した。

 反省会は日が落ちてからで良い。

 

 歩いていると今度はグレートアウル4頭に襲われたが、後衛の弓使いが命中率がよろしくないのがわかっていたので、俺とウサ正宗がサクッと撃退した。

 俺の使うボウガンなら当たればほとんどの場合、致命傷になる。

 翼に当たれば墜落するし、胴体なら即死級の威力だからな。

 その圧倒的な火力を見た里の六人は、呆然としていたが。

 ウサ正宗の投げナイフは射程が短めだから、急降下してきたグレートアウルを倒した。

 鳥のから揚げさん、(予定)ゲットだぜ!!


 まあグレートアウルくらい楽勝だけど、俺がそんなに強くないと思っていたのか、里の六人の俺を見る目つきが変わった様な気がする。


 それからもちょくちょくグレイウルフの群れとエンカウントしたが、全て撃退していった。

 なんだか俺的にはそんなに疲労しない戦闘だったのだが、里の六人のラビッター族諸君には、それなりにキツイ事だったらしい。


 「いやー、お前らこんなのまだまだ序の口だよ。

 俺なんて初めてのクエストがウサ正宗と二人だったし、クエスト内容も森の中での薬草採取だったが、何故かグレイウルフ30頭以上に襲われて、しかもその帰り道に悪い人間20人以上との連戦だよ?

 それに比べれば人数は多いし、良い装備してるし、休憩も適宜取っているし、かなりの安全マージンがあるわ。」


 始めの頃は色々苦難の連続だったからな。

 ディナントの町ではトラブルしか無かった様な気もする。

 

 「・・・・・里の外は厳しい世界なんですね・・・」


 なんだか遠い目をしているジローが居たが、仕方ない。事実だしな。


 まだ夕方にもなっていないが、彼らの疲労がピークに達する前に今日は野営して、ゆっくり休むことにした。

 夕飯にグレートアウルのから揚げ様を作ったら、歓声を上げて夢中で食べていたが。

 ウサ正宗との今日の反省会も少しあったが、彼らは疲れていたのか、食事をしたら爆睡モードになってしまった。

 本当は夜の見張り番を決めたり、色々あるのだが、里を出ての旅は初めてで疲れたのだろう。

 俺もウサ正宗も気を使って、俺らだけでする事にした。



お読みいただきありがとうございます

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