ヘレン・トランプ
『先日起きたペネロピでの爆破事件に関するニュースです。今回の事件は近日起きた3回の爆破事件と同一組織による犯行だと政府は認識しており、反政府組織が黒幕だと−』
ブルーは朝食をとりながらニュースを見ていた。
『しかし、今回の爆破事件の捜査官スレッシュ・ゴーント氏が原因不明の記憶喪失になっております。またSP二人も同じ症状が出ております。』
ブルーとははずむ足取りでトランプ邸に向かっていった。
「ウィル、今日ぐらい事件のことぐらい忘れろよ。今日は待ちに待ったパーテーだよ?」
ブルーとは逆に真剣な顔で事件に関する資料をタブレット端末で見ながらウィルは歩いていた。
「こうしてる間にもアドラ達はは次の計画を練ってるかもしれん−」
「クリントンくーん!ハリンスくーん!」二人の後ろから女性の声がした。
振り返ってみるとそこには小柄な可愛らしい夫妻がいた。
「こんにちは、カタモールさん。」ブルーたちはお辞儀した。
カタモール夫妻とはポンパに住むマジシャン夫婦である。この世界では超能力と言う物がある故にマジックといっても全然不可思議ではないのだ。しかし彼女たちはマジックと言うよりトークショーに近いのだ。だからそれなりには売れている。
「この前さ、ピンクずくしの男が来てね、最初は不審者かと思ったわ。おほほ」妻のリサ・カタモールが言った。
ブルーたちはカタモール夫妻と一緒にトランプ家に向かった。
「そういえば、トランプ家の邸宅ってとてつもなく大きいんだってね。」夫のレナード・カタモールが言った。
「聞いた話によると230万坪あるらしいよ。だから移動の際にはセグウェイを使ったり敷地内に走っているモノレールで移動するんだってさ。この前、寿司の出前をしたって言う六道寿司のティンクルから聞いたんだ。」
4人はトランプ邸の入り口についた。
入り口の鉄格子の門の間から見た限りとてつもなく広い。地平線が見えてしまうのだ。それよりもっと圧倒されたのが4つの30階程度の建物が四方に、そして真ん中に雲を突きぬけている最上階が見えない高層建築物があった。そしていま見渡せ限りの庭にはモノレールのレーンや噴水、アトラクションとたくさんあった。
「ん?なにかしらこれ。」リサ婦人が空中を見つめながら言った。
ブルーたちはリサの視線の先を見ると、ときどき波打った時にだけ見える薄い紫色の電磁場があった。周りを見渡すと『トランプストリート』という看板があった。
”バチチチチッ”
電磁場に何かがあたった、葉っぱだ。その葉っぱは一瞬で燃え尽き塵となった。
「そうか、これは…電磁場だ。いわゆるシールドだ。随分なセキュリティだな…。多分これのせいで僕たちの家から見えないのか。こんだけの高さがあればポンパのどこにいても普通見えるはずだからな。」ウィルがボソボソとつぶやいた。
『パーテーの方かね?』どこからか年老いた声がした。
ブルーは一応返事をすると、門が開いた。そしてどこからか発射された赤い光線がみんなの体をチェックした。光線が消えると一人の男が入り口の隣にあるモノレールの駅だと思われるところからでてきた。この男も全身ピンクずくめだった。胸元には『ドバイ』という名札付いていた。
「ようこそおいでくださいました。お客様はこの駅から発車するモノレールに乗っていただき、本館60階にある受付においでくださいってな。」男の声はさっき聞こえた声だった。
「後2分ぐらいすればモノレール来るからちょいと待っててください。短気は損気ってな。あ、それと到着すると玄関ロビーにセシリアっていうおばはんがいるからそん人の指示に従ってな。」
駅の中には時刻表、そして路線図があった。毎時間9本の便。路線図を見ると改めてトランプ邸の大きさを痛感した。
モノレールが到着すると中から頭がはげてくもった眼鏡をかけた老人と、髪をかーるさせたピンク斑の眼鏡をかけたブロンドの女が降りた。ブルーはその女をどこかで見かけたことがあったが思い出せなかった。
4人はモノレールに乗って呆気にとられた。
「たまげたわ…。」
モノレール内は赤い絨毯に赤い壁紙、シャンデリア、ちょっとしたドリンクコーナーまであった。乗務員までもいた。
「この便は南ゲート入り口発、トランプ邸本館の直行便でございます。」
そのトランプ邸本館の66階にあるトランプ嬢の何百個もあるうちの1つの自室では3人の女性がかん高い声で楽しそうに話していた。
黒髪のショートヘアーの女がソファーに座っていて、クリーム色のポニーテイルの女の人も一緒に座っていた。また窓際のソファーにはブロンドの長髪にカールした女の人が座っていた。
「でね、あたし怒っちゃったからその支配人を島流しにしちゃったわ!」黒髪の女が言った。
「えー?!ウソッ?!ヴァネッサ、それ本当?」
今度はポニーテイルの女が隣の黒髪の女を見ながら言った。
「本当よ。ミーシャ。でもね、ヘレンのトランプ財閥ではそんなミス無いからそんなことは無いわよね?」ヴァネッサと呼ばれた女が言った。
「いやいやー、そんなことはないわよ。この間なんてうちの執事のドバイとセシリアがあたしに指図したのよ!」ヘレンと呼ばれた女が言った。
「えっ?執事が指図?なんって?」ミーシャと呼ばれた女が言った。
「あのね、サウスタワーにあるペットフロアがあるでしょ?そこにね、いつも寝てる動物がいたのよ。ニャーとか鳴く動物なんだけどね。だからあたし、その動物に『’寝’ている’子’』つまり『ネコ(寝子)』って名付けたのよ。そしたらね、一緒にいた2人が『その動物は元々ネコ(猫)というのです。」って指図したのよ!どう思う?」
3人はそれからも執事の悪口を話し合った。ここで言えることは彼女ら3人は『バカ』である。




