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身分証

伊勢外宮

トヨウケ「あら、これ、確か頼まれていた物でしたね。追加注文したとは聞いていましたが、この前5セットも買ったのに、もう追加が必要なくらい消費しちゃったのでしょうか……」

プルルル……

火車「ふにゃーん。火車ですにゃーん」

トヨウケ「もしもし、火車さん。またナミちゃん行きのお荷物をお願いしたいんですけど……」

火車「了解ですにゃーん。もう今、行っていいですにゃん?」

トヨウケ「はい。大丈夫です。元々ダンボールで届いた物を、そのままナミちゃんのところへ送ってもらうだけですので」

火車「じゃあ、ちょっと待っててくださいにゃん」


数分後


火車「お待たせですにゃーん」

トヨウケ「お疲れ様です。こちらのダンボールになります」

火車「了解ですにゃーん。ふにゃ? これ、あの激辛ペッパーの死神セットですかにゃん?」

トヨウケ「そうなんですよ。ナミちゃん、もう前の分を使ってしまったんですかね……?」

火車「イザナミ様はまだ1セットしか使ってないですにゃ。3セットは地獄の責め苦で使ってますにゃん」

トヨウケ「……それなら閻魔庁で購入して頂きたいですね……」

火車「今、お試し期間中ですにゃ。亡者たちに不評なら閻魔庁で購入するみたいですにゃ」

トヨウケ「不評なら購入するって言う言葉も、中々お聞きしないですね……」

火車「では、お荷物お預かりしますにゃん」

トヨウケ「ええ。お願い致しますね。…………っ」

火車「ふにゃ? どうかされましたかにゃ?」

トヨウケ「っ、い、いえ、別に……」

火車「ふにゃー……。もしかしてあの写真見ちゃったんですかにゃん?」

トヨウケ「えーっと……」

火車「わっちの目の前でイザナミ様がアマテラス様に写真をお送りしてましたにゃん……」

トヨウケ「そ、そうなんですね……。ごめんさい。アマちゃんに見せられまして……」

火車「別に構いませんにゃん。……でも、あんなフリフリはわっちに似合いませんにゃん」

トヨウケ「そんな事! よくお似合いだったと思いますよ!」

火車「ふにゃー……。あの服出来たら、また受け取りに行かないといけないですにゃん……」

トヨウケ「……と言うか、私、火車さんの人間体を見るのが初めてでしたもので……」

火車「あれ? そうだったんですかにゃ。とっくに知ってたと思ってましたにゃ」

トヨウケ「そもそも、普段はどういう格好をしているんですか? ……その、人間体に化けた時ですが……」

火車「ふにゃ。それなら今お見せ出来ますにゃ。ちょっと失礼しますにゃん。……ふー、にゃにゃんっ!」

ポワワワ……

火車「これが、わっちの人間体ですにゃ」

トヨウケ「……か、可愛いっ! っと、そ、そういう変身なんですね……。こう、何と言うか、忍者映画みたいな……」

火車「なんとなく、一回転した方が変身しやすいですにゃ。そんで、これがわっちの普段の服ですにゃ」

トヨウケ「よ、よくお似合いですよ(ダウナー系女子!)」

火車「あんなフリフリとか、ピチピチな服は気持ち悪いですにゃ。ダボっとしてた方が動きやすいですにゃ」

トヨウケ「というか、随分お若い感じになられるんですね……。女子高生くらいな……」

火車「ふにゃー。どうしてもこうなっちゃうんですにゃー……。わっちもいい年なんですけどにゃー」

トヨウケ「それで、ナミちゃんに付き合ってお洋服屋さんに行ったら、アレを着せられた、と」

火車「そうですにゃー……。おまけに現世用の名前まで勝手につけられちゃったですにゃー……」

トヨウケ「へ、へぇ。どういうお名前に?」

火車「『火野真央ひのまお』ですにゃー……。わっち、現世用の名前とか無かったですからにゃ……」

トヨウケ「(予想以上に可愛い名前!)ぴ、ぴったりなお名前じゃないですかね?」

火車「そうですかにゃー。イザナミ様がとっさにつけた名前ですにゃんし、あの服屋の時しか使わない名前ですにゃ」

トヨウケ「……確か、ナミちゃんの行きつけの服屋ってオートクチュールのお店ですよね? 会員登録したんですか?」

火車「やらされましたにゃー……」

トヨウケ「身分証とかどうしたんですか?」

火車「ふにゃ? その服屋では要らなかったですにゃ。電話番号は持ってますし、それで大丈夫でしたにゃん」

トヨウケ「……と言うか、火車さん、身分証をお持ちなのですか?」

火車「持ってますにゃん。免許証を」

トヨウケ「そうですよね。そうでなきゃ、ウーバーイーツに登録できませんものね」

火車「60年前に取っててよかったですにゃん」

トヨウケ「…………は?」

火車「ふにゃ?」

トヨウケ「ちょっと待ってください……。60年前の免許証、ですか?」

火車「そうですにゃん。60年前にどさくさに紛れて取ったやつですにゃん」

トヨウケ「現世用のお名前はお持ちでなかったんですよね? ……その、免許証のお名前とか、生年月日とか……」

火車「名前は本名ですにゃ。えーっと、えーっと、あったですにゃ。これですにゃ」

トヨウケ「ちょっと拝見いたしますね。……た、確かに名前が『火車』になっていますね……」

火車「ウーバーイーツも『火車』で登録されてますにゃん」

トヨウケ「ただ……ちょっと言い辛いんですが……」

火車「ふにゃ?」

トヨウケ「これだと、火車さん82歳のおばあちゃんになっちゃいますよ?」

火車「変ですかにゃ?」

トヨウケ「名前はともかく、写真の見た目と年齢が完全に不一致です……」

火車「ダメですかにゃー?」

トヨウケ「……むしろよく更新できましたね……」

火車「ふにゃ? 免許の更新は、閻魔庁が勝手にやってくれますにゃ」

トヨウケ「そういう所はちゃんとしているのに……、何故このままに……」

火車「なんかダメなんですかにゃん?」

トヨウケ「世間一般で言えば、もう免許の返納を迫られてもおかしくない年齢になっちゃってます……」

火車「ふにゃー。そうなんですかにゃー。どうすればいいですかにゃー?」

トヨウケ「ちょっと待っていてくださいね。私からナミちゃん経由で閻魔庁に身分証を新しくするようお伝えしますので」

火車「お手間取らせますにゃー」


数分後


トヨウケ「火車さん、ナミちゃんが閻魔さんに抗議してくれるそうですよ。きっと新しい免許証とかを貰えますよ」

火車「そうですかにゃー。ありがとうございますにゃん」

トヨウケ「火車さんは、閻魔庁でなくてはならない存在ですし、現世にも来る機会も多いので、持っていた方が絶対いいですので」

火車「それじゃあ、新しい免許を楽しみにしますにゃん。あ、古いのはどうすればいいですかにゃ?」

トヨウケ「新しいのが来るまでは、そちらお持ちになられてください。新しいのと交換してくれるはずですので」

火車「そうにゃんですにゃー。じゃあウーバーイーツも続けられますにゃー」

トヨウケ「ええ。これからも宜しくお願い致しますね」

火車「了解ですにゃー。そんじゃ、これ、イザナミ様に届けますにゃん」

トヨウケ「お願いします」

火車「そんじゃ失礼しますにゃー」


数日後


火車「こんにちわですにゃん」

トヨウケ「あら、火車さん。どうされました?」

火車「お届け物ですにゃん。不死家のケーキですにゃー」

トヨウケ「あら? 私は頼んでないのですが……」

火車「わっちからですにゃん。無事新しい免許が来ましたですにゃー。そのお礼ですにゃん」

トヨウケ「あら、随分と早かったですね」

火車「おかげさまで、閻魔庁が爆速で動いてくれましたですにゃ。生年月日とかも違和感ないのになったみたいですにゃ。わっちはよくわかんにゃいですが」

トヨウケ「それは良かったです」

火車「……ただ……」

トヨウケ「ただ?」

火車「名前が『火野真央』になっちゃってましたにゃー……」

トヨウケ「……え?」


黄泉


イザナミ「だってねぇ~。いくら生年月日を見た目に合わせても、名前が『火車』だと不審に思われちゃうじゃない」

閻魔「まぁ、それはわかりますが……」

イザナミ「時と共に、偽名も時代に合わせないとね~」

閻魔「そうなんですが……。何故『火野真央』なんですか?」

イザナミ「そっちの方が色々と都合が良いのよ~。うふふふ」

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