2-10. 振り①
合わせる……兄弟の振りをしろということなのだろうか。黒髪の青年が何を考えているのかは分からないが、今は素直に従った方がよさそうだ。
自分が勝手な行動をした所為で、黒髪の青年まで危険な目に遭わせてしまっている。
〈お兄さん……〉
黒髪の青年は両手で突然自分の両肩を掴んできた。どうすればいいのか分からず、驚いた表情のまま固まってしまう。三人に少しでも不自然に思われないよう、黒髪の青年との会話を合わせなければ。
『あぁぁ……見てくれ! 弟は左目もケガをしているんだ。こんな可哀想で小さな弟に手を出さないでくれよ! お願いだ、山賊様達! わざと洞窟に入ったわけではないんだ!』
〈え? えっと、えっと……〉
左目はケガをしているわけではないのだが……。
『に、兄さん! オレ、迷って入っちゃったんダー』
緊張のあまり棒読みだ。
『あぁぁあああ‼︎ おとうとぉおおお‼︎ 大丈夫だ、俺が側にいてやるぅぅうう‼︎』
『兄サーン! コワイヨー!』
よく分からないまま再び黒髪の青年と抱き合う。
黒髪の青年は何故三人が山賊だと分かったのだろう。この洞窟は山賊達のアジトだったようだ。恐る恐る目線を山賊達の方に向けてみる。
……山賊達は白い目でこちらを見ていた。
『何なんだ、こいつら。姉貴どうします?』
『う〜ん、そうねぇ……殺さないでいいわ』
『へ? い、いいんですかい?』
そう言うと、ロングドレスを着た女性は黒髪の青年がいる方へと歩き出す。




