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拘置所生活 初日5


座った状態で配膳を待つ。

畳の部屋で座布団を敷いて座っているがお尻が痛い。

座布団が薄くてペラペラなのが原因だ。

ふと回りを見ると、村山さんと吉富さんは俺が使っている物よりも、生地が厚い座布団に座っていた。


「あれ?

座布団、俺のと違いません?」


「ああ、これ?

これはここで買ったやつだよ。

伊達さんも欲しいなら買えば良いよ」


村山さんがにこやかに答えてくれた。

部屋に備え付けられている日用品購入リストをもらって開いてみる。

確かに座布団がリストに載っていた。

金額はなんと2000円。

限られたお金で生活している囚人にとって2000円は大きい。


「そうですね。

検討しときます」


俺の領置金は現在4万5000円。

お金は切実な問題だ。

通常は逮捕されたときの所持金が、そのまま領置金となり拘禁生活で使えるお金となる。

お金を差し入れてくれる人がいれば領置金は確保できるが、いなければ所持金のみな訳だ。

1億円の貯金があっても、差し入れてくれる人がいなければ領置金は所持金のみ…ありえないだろ?


実際は、担当の弁護士が代理で、口座からお金を下ろして差し入れてくれたりするから心配しなくて良いんだがな。でも弁護士とは言え、他人に口座を預けるのは気持ちの良いものじゃない。悪徳弁護士に金を取られた話も聞いたことがあるしな。


それにホームレス、家族と疎遠な人、貯金がない人は持っているお金が全てだ。所持金は大事にしなくてはいけない。

窃盗とか強盗するような奴はお金を持っていないことが多いんだ。理由は…分かるだろ。


俺も親がお金を差し入れてくれていたが、申し訳ない気持ちが強く、自分から言うことはほぼなかった。

だから座布団に2000円も出せない。

お菓子には2000円出せるのに不思議なものだ。


俺が暇つぶしに日用品購入リストをぱらぱらめくっていると雑役が部屋の前に来た。


「お茶入れまーす!!」

なかなかの大声。

そして、大型の如雨露のような物の先端部分を鉄格子の隙間から入れる。

部屋では松山さんがやかんとウォーターサーバーを置いて待機していた。

雑役は如雨露を傾けて、やかんにお茶を注ぐ。

やかんに入れ終わると、松山さんは手際良くやかんを地面に下ろし、ウォーターサーバーを鉄格子の前に置いた。雑役がウォーターサーバーにもお茶を注ぎ終えると鉄格子の前から消えた。

隣の部屋に行ったのだろう、「お茶入れまーす!」という声が聞こえてくる。


拘置所では、朝昼晩の食事時間中にお茶支給がある。基本は熱いお茶なんだが、7月〜9月は昼間だけ冷たいお茶に変わるんだ。暑い時期の冷えたお茶は有難い。


「お茶終わりました!」

遠くて雑役が叫ぶ声が聞こえてくる。

刑務官に報告しているのだろう。


お茶が終われば、次はご飯とおかずの支給だ。

「御飯入れまーす」

「汁入れまーす」

「おかず入れまーす」

雑役が慌ただしく隙間から御飯、汁物、おかず、デザートを6人分入れていく。これは大変な作業だ。


全て入れ終わった。

机の上には御飯、ワカメの汁物、ナスの肉味噌炒めとほうれん草のおひたし、ヨーグルト、お茶が並んでいる。なかなか豪華だ。

留置所は朝は御飯と味噌汁、昼夜は弁当と味気なかったが、拘置所はしっかりした料理が出てくる。

拘置所には炊事場があって、雑役が料理しているんだ。だから出来立てのご飯が食べられる訳だ。


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