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職員室。
授業はすべて自習となったようだ。
「どういう事ですか」
開口一番、当庭が。
教師全員が
職員室に集まりつつある。
一人また一人と血相を変えて-----
飛び込んでくる。
みんなどうしていいのか。
手の空いていた教師たちが
授業中のクラスを手分けしてまわり-----。
そのため時間もそれなりに。
校長が-----青い表情で。
「今さっき、警察から連絡が。
ウチの学校の制服を着た少年が-----
少年の死体が裏海海岸にあがったと。
くわしい事はまだわかりませんが-----
その少年が持っていた生徒手帳から
この中学の生徒の
三年一組の
峰月護夫君らしいとのことで」
しぼりだすよう
「そんな」
全員口々に。
「校長、また自殺ですか」
二年前にも-----
当時中学一年の男子が。
「いえ-----それはまだわかりません。
警察の捜査待ちという事で」
全員の視線は当庭へ。
クラスの担任へ。
当庭は。
“恐れていた事が-----現実に
だからあれほど”。
責任は充分感じている。
しかし-----。
「ですからまだ自殺ときまったわけでは。
事故かも」校長。
「事故でも大問題でしょう。
それにこの中学では-----二年前にも。
それで教育委員会からも
文科省からも。
マスコミにもさんざんたたかれ
どれだけ大変だったか。
高校進学にしてもこの大事ま時期に-----。
あの時は-----
高校の先生相手に頭を下げてまわり。
ただでもウチの中学校は問題が。
幸い今回は
全員進学を希望していますので
企業の方は大丈夫ですが」
生活指導の季末が。
「生徒が事故にしろ何にしろ
死んだんですよ-----。
今こんな時に」当庭
「当庭先生-----。
あなたのクラスの生徒でしょう。
わからなかったんですか。
だからあの時
あの連中を別々のクラスに分けておこうと
言ったんですよ。
そうしておけばこんな事には」
「あなたのような
子供たちの事をかえりみない教師に
あの子たちをまかせておけばどうなったか。
もっとひどい事に。
季末先生。
あなたのようなわからず屋の教師が
あいつらを追い込んだせいで
こんな事に」
「それはあなたが勝手に言っている事だ。
こんな事になって
まだそんな事を。
当庭先生。
あなたがあいつらを甘やかすから
いつまでたっても。
二年前の事だって」季末
「あなたが-----
峰月が万引きでつかまった事で-----
心ない事を言うから。
何を言ったんですか。
それに決して
あいつらを甘やかしているわけじゃない。
私なりに厳しく指導してきたつもりです」当庭。
「それは」季末も。
「先生方。
先生方がそんな事では。
まだはっきりした事はわかりませんし
早急に結論を出すのも」校長。
「ですが校長」季末。
「それで他の五人は
今日は登校しているんですか」教頭。
「それが全員」
「休みですか」
「やはり-----まさか」
「先生。
それより今は警察へ。
取り合えず当庭先生と私が警察へ行って
事情を良く確かめてきます。
季末先生たちは生徒の方を
動揺しないようにうまく」校長。
「それと校長先生-----マスコミは-----
どうしましょう」教頭が。
すでに○○TV,△△新聞等数社から
電話が入っている
今に校門の外にあふれるだろう。
二年前の悪夢が校長の脳裏に。
「とにかくそれもうまく。
先生方。
私たちは警察へ。
なにかあればすぐに連絡を」
校長と当庭はあたふたと出て行った。