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都内。
○○川の河川敷。
夜も十二時を過ぎるとこの周辺。
人通りもとだえ
周囲の民家の明かりといつても
河川敷には高い土手にさえぎられ
その光はとどかない。
土手には道路もある。
何やら河川敷の橋のたもとで蠢く人影が。
厚い雲で覆われていた月が
顔をほんの少しのぞかせた。
その光に数人の人影が浮かび上がった。
「この野郎。
信じていたのに裏切りやがって」
見ると五人の少年と思しき人影が
一人の少年と思われる影を。
「約束しただろう。
約束を破ったオマエが悪いんだ」
口々にののしりながら
なぐりつづけていた。
「友達だと思っていたのに」
「チクリやがって」
一方的に殴り続けられる少年は。
「もう二度としません。
許して」
か細い声で。
「信用できるか」
「オマエの言う事なんか。
またダマすつもりだろう」
「オマエのおかげで
季末の奴には呼び出されるわ。
どう責任を取る」
殴られていた少年が急にグったりと-----。
動かなくなった。
「おい、大丈夫か」
「こんな奴死んだってかまうもんか」
「でも-----見つかったら」
少年たちは少し後ずさりを
「心配するな。
川に流してしまえば」
「でもな。輝雄。
そこまでしなくても」
「ブルったのか」
“こいつらこの前も。
イザとなるとブルいやがる”
-----ゴソゴソと。
暗くてなにをしているのか。
その時
少し離れた草むらで音が。
人影が二つ。
「逃げろ」
「二郎。来い」
少年たちはあわてて-----逃げ出した。
グッタリとなった少年を残し-----。
その少年の姿は暗くて確認できない。
人影は少年たちの逃亡を見届けるや。
ゆっくりと-----。
ここで何が起きていたのか
知ってか知らずか-----。
月がまた隠れたため
あたりお見まわすが良くはわからない様に。
-----。
そして-----その姿を-----
少し離れた場所でもう一人の男が見ていたことを。
携帯を手にさらにもう一人。
この男たち二人も少年たちもしらなかっつた。
月が出ていれば
男たちは気づいたかも知れない。
少年の一人がカバンを忘れていった事に。
そのカバンには小さな文字で
“椰田”と書かれていた事にも。
月はいまだ姿を現さなかった。