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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
14XX年 モフってたら生活基盤ができました

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0064. 神様の“説明書”と見えた道筋

 あのあと、私は夜を待ち、皆が寝静まったのを確認してから、アイテムボックスから神々の〝説明書〟を呼び出した。目の前に、前世で使っていたPCのデスクトップ画面にそっくりな、半透明のウィンドウが浮かび上がる。フォルダツリーや検索バーまで完備されているその光景に、私は懐かしさと共に、神々の悪趣味さを再認識した。

 私は検索バーに「スキル鑑定」と打ち込み、エンターキーを念じた。


 そして、そこに書かれていた内容を読んだ私は、昼間と同じように、再び畳の上に音もなく膝から崩れ落ちた。

 スキル鑑定の方法は、もちろん載っていた。『【鑑定眼】を発動した状態で、鑑定したい対象(スキル名など)を強く意識することで、スキル内に蓄積された知識と照合し、情報を表示する』と。

 だが、それだけではなかった。


 魔素の流れを視覚化する【魔眼】、人の気配やオーラを色として感知する【真眼】、相手の動きを予測する【心眼】……。ご丁寧に、それらを開眼させるために必要な練習方法まで、懇切丁寧に記されている。

 おまけに、科学、物理学、各種工学技術の専門書まで完備されていた。

(……ご都合主義のブーストが、かかり過ぎている!)


 あまりの情報量に、私は嬉しいやら呆れるやらで、脳がショートしそうだった。これさえあれば、私はこの世界で文字通り神に等しい知識を得られるだろう。

 だが、私はそっとそのウィンドウを閉じた。

(ダメだ。こんなものに最初から頼っていたら、考えることをやめてしまう。神々の手のひらの上で、ただ与えられた情報をなぞるだけの、操り人形になってしまう)


 私のスローライフは、私自身で試行錯誤し、切り拓いてこそ意味があるのだ。この膨大なチート知識は、いざという時の「お守り」として、心の奥底に封印することを決めた。自分のペースで、一歩ずつ進むのだ。

 まずは、目の前の壁を越えるために。

 私は早速、得たばかりの知識を使い、リニューアルしたての【鑑定眼】で、自分のスキルを改めて鑑定した。


【神威顕現】

:幻獣や神格者を現世に呼び出すためのスキル。発動には、術者の魔力、使用する魔素の〝量〟と〝濃度〟、そして、術者の魂と神域を繋ぐ不可視の経路〝顕現トンネル〟が開かれていなければ、失敗する。


【陰陽五行】

:七系統(木・火・土・金・水・陰・陽)の魔法スキル。脳内のイメージを術に変換する。詠唱は不要だが、行うことで魔素消費量を安定させ、術の威力を制御する効果がある。


【鑑定眼】

:万物を鑑定するスキル。鑑定によって得た知識は、忘れることなくスキル内に自動的に蓄積・分類される。


(――〝顕現トンネル〟!)

 これだ! 私に足りなかった、最後のピース! 高濃度の魔素がトンネルを開く〝鍵〟で、トンネルの場所を特定するための〝感知能力〟が必要。そして、トンネルを開きながら顕現の術を維持するための〝並列処理能力〟が求められる。なるほど、全て繋がっているわ!やるべきことが、ようやく明確になった。


 それからの半年間、私の訓練は熾烈を極めた。

 まずは、魔素の圧縮。体中のエネルギーを、ひたすら小さく、濃く練り上げる。最初は半分にするのがやっとで、無理をすると体内で魔素が暴発しかけて冷や汗をかいた。だが、徐々にコントロールする術を覚え、数ヶ月後には、体内で霧状だった魔素が液体になり、さらに圧力をかけると硬い宝石に相転移するような感覚を掴み、ビー玉くらいの大きさにまで圧縮できるようになった。

 次に、術の並列詠唱。右手で【身体強化】を維持しながら、左手でも【身体強化】をする。最初はすぐにどちらかが霧散してしまったが、これも日々の反復練習で安定させていった。

 今では右手、左手、右足、左足と同時にできるようになった。

 そして、最も困難だったのが、〝顕現トンネル〟の感知。

 毎日、毎日、私は目を閉じ、意識の奥深くへと潜っていった。それはまるで、精神世界の果てなき旅のようだった。自分の幼い記憶の断片や、喜怒哀楽の感情の渦を通り抜け、さらに深く、魂の根源へと至る。そこは静寂と闇に支配された、宇宙のような空間だった。


 そこに繋がっているはずの異世界への〝道〟を探して、私は意識を研ぎ澄ませた。

 ――そして、訓練開始から半年が過ぎ、私がもうすぐ三歳になろうかという、ある日のこと。

 いつものように意識を集中させていた私の脳裏に、ふと、今まで感じたことのない、微かな〝振動〟のようなものが伝わってきた。

 それは、静寂な水面に落ちた一滴の雫が作る、無限に広がる波紋のよう。あるいは、遠い、遠い場所で誰かがそっと弾いた琴の糸が奏でる、か細い音色のような感触。

(……見つけた)


 これだ。これが〝顕現トンネル〟の入り口だ。

 私は歓喜のあまり、思わず目を開けた。半年の努力がついに報われた。目頭が熱くなり、涙が一筋、頬を伝う。興奮を抑え、私は久しぶりに自分のステータスを確認する。


【能力】

* 体力:O(15) ← P(10)

* 力強さ:P(10) ← Q(5)

* 器用さ:O(15) ← Q(5) (2Up)

* 素早さ:P(10) ← Q(5)

* 魔力:M(25) ← O(15) (2Up)


 半年間の努力は、確かに実を結んでいた。

 魔素の圧縮率は10分の1、濃度は10倍。そして、今まで感じることすらできなかった、異世界への道筋。

 ゴールは、もう目の前だ。

 これは、私一人の成果じゃない。毎日、私が訓練で疲れると、心配そうに寄り添い、その温もりで励まし続けてくれた狐火ちゃんとの、二人の成果だ。


 私は、まだ完全には実体化していない、すぐそばにいる親友の気配に向かって、力強く頷いた。

「狐火ちゃん。もう少しだからね」

 君が寂しくないように、一緒に遊べる元気な子を。君と同じ、優しくて強い心を持った、新しい友達を、必ず、君の元へ連れてきてあげるから。


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