第4話 少年が背負わされていたもの
場所は北条 政也の家へ移る。
冷泉「入っていいよー」
大きめの平屋の、大広間に案内される。
北条 政也「よく来てくれた。
冷泉から話は聞いているだろう。
君のこれまでの人生について、この北条家が根元になっているのは聞いただろう。
そして、君達が生まれてきた理由、苦しみの原因も私であると分かっているだろう。
これから自身が歩む道を、君達がどう選ぶのか、そのためにも北条の血筋として、我々が何をしてきたのか、話しておくべきだと思っていた」
政也「歴史において、名を根強く残してきた一族は、必ずしも現代に大きな影響を与えるわけではない。
もちろん、天皇などの影響を与える者は、形として存在し続けてもいるだろう。
しかし所詮は人間、地位や権力だけが、人心を動かすわけではなく、いつの時代も大事なのは意志だと私は思っている。
北条という名前を代々継いできた我々は、誰かの命令で動いてるのではない。
自らがそれを望み、思い、繋がってきたのだ。
しかし・・・どうやら息子を失って私は、意志が揺らいでしまったようだ。
息子の影を追い求め、息子の代わりに北条の意志を継ぐ者の誕生を望み、同時に復讐の道具として使ってしまった。
どこから間違えたのか・・・いつのまにか地位や権力に溺れた一族になってしまっていたようだ」
政也「歴史的に北条の存在が人目から霞んだ後、現代にいたるまで行ってきたことだが・・・
時に、ときみち、今日の都合はどうだ?」
ときみち「特に・・・何も」
場所は北条家、平屋近くの小さな森へと移動する。
政也「この森に名前は無い。
一見すると住宅に囲まれ、何故いまだに残されてるのか不思議に思うだろう。
どれ、私の手を握ってみなさい」
「う」
ときゆき「うわぁ!」
政也「聞こえたかい?」
ときゆき「幽霊!?」
政也「そう呼ばれているな。
私に触れる事で、間接的に感じとれたな」
冷泉「おー、やるな。ときゆきくん」
政也「幽霊、と一言で片付けてしまえば簡単。
ときゆきは、これが何でできていると思う」
ときゆき「え、うらみ・・・とか」
政也「そうか。
では、脳みそもない何かが、声を発すること、
これについてはどう考える」
ときゆき「・・・分かりません」
政也「そうか。これらはな、見えないだけで存在はしている。
エネルギーや質量。
我々生きている人間からも、それは発せられている。
気配、気迫、様々言葉で表現されているがな」
ときゆき「あの!ボクの後ろに誰かいますか!?」
政也「感じるか、確かにいるな。
それは今、君に恐怖を与えているか?
その恐怖は、君自身がその存在を、知らない、分からない、理解できないからこそ感じている。
後ろの、それが存在する理由は、君を怖がらせるためか?
根本はそうじゃない」
ときゆき「え!?車椅子が動かない!」
政也「おちつきなさい。
それはただ、居場所がほしいだけだ」
ときゆき「どうすれば!」
政也「もういないさ」
ときゆき「え?あ、あれ?そうですか?
あっ動ける・・・」
政也「この森には他所から、それらがよく集まる。
北条はそれらを、安定させる仕事をしている」
ときゆき「それら、って幽霊のことですか」
政也「気になるか」
ときゆき「えっいや、なんとなく」
政也「そうか。あれらはな、コップに溜まる水と同じだよ。
溜まり過ぎればあふれ、少なすぎてもコップは安定しない。
人間も同じだろ?疲労がたまれば疲れるし、ストレスがたまればイライラする。
見えない物と見える物、感じる物と感じない物を、区別しているだけで、全てはエネルギーとも言える」
政也「ときゆきよ、絶望に満たされても、死なないでくれ」
ときゆき「え?」
政也「こういう仕事をしてるとな、感じれるエネルギーで色々と分かるんだよ」
ときゆき「・・・」
政也「北条なんか継がなくても、君には何もしないよ」
ときゆき「!」
政也「もう君は自由なんだ、何にも縛られていない」
ときゆきは自分が何かに縛られていた感覚から、
解放された気がした。
ほんの少し、自然と涙が出た。
ときゆき「ボクはこれからどうすればいいんでしょう」
政也「自由っていうのも大変だよな。
君を大事に思ってくれてる人はいるか?」
ときゆき「多分・・・今はいます」
政也と冷泉は優しい笑顔を見せる。




