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第20話 伝承者の最期

一輝「え?終わり・・・ですか?」


政也「唯一無二であった友の死が、自身の手によって引き起こるとは、誰が想像できただろうか」


政也「もしかしたら伝承者は、しばらく何も考えられない時間があったのかもしれない」


政也「しかし、伝記にはまだ続きがある。

後に伝承者は北条の郎党から抜け、再び陰の魅を浄化する旅を始めたそうだ」


政也「旅の途中、北条が戦死したこと知り、伝承者は悲しんだ」


政也「短い間だったが、多くの事を通じ合えた者。

伝承者にとっては、2人目の友と呼べる存在に感じでいたそうだ」


政也「この旅路で例の魑魅を見つけ出し、次こそ浄化しなければ、今までの全てが無駄になると伝承者は考えていた」


政也「しかし、老いていく身体には限界があった」


政也「伝承者は旅の途中、長く滞在していた村で病や怪我を治したり、蛮族から身を守るための護身術を村人に教えたりしていたそうだ」


政也「村人からの信頼も厚くなり、伝承者にとってそこは、居心地の良い場所になっていった」


政也「護身術を習う者の中に、一際、武の才が見られない者がいたそうだ」


政也「しかし、その者は誰よりも真っ直ぐに、直向きに武と向かい合っていたそうだ」


政也「伝承者はその者が気になり、特に熱心に武を教え込んだ」


政也「時折、友の事を思い出しては、武について考える時間が増えた。

武の才があるのか、ないのか、そんな事より、何故その者は武に真っ直ぐ向き合っているのか、それを知る事が重要なのではないかと思い始めていた」


政也「友の言うように、人は、欲望のままに生き続けるかぎり、争いは無くならないかもしれない。

しかし、この村が平和であるように、武の極地にいたらなくても、生命というのはお互いを思いやる事ができる」


政也「ある日、武の才がみられなかった者に、何故そこまで武に向き合おうとしているのか、理由を聞いてみた」


政也「その者はこう言ったそうだ。

この村は今でこそ本当に平和だが、中々治らない病に苦しむ人がいた時、世話の方が大変だし、苦しまないように死なせてしまった方がいいのでは?と話しが出ました。

私は、そんな事を本人が耳にしたら、病からの苦しみではなく、絶望から死にたいと思ってしまうのではないかと思いました。

中には、病人を本当に死なせたら、仇討まで考える者もいました。と」


政也「伝承者は魅護を感じる事ができる。

しかし、それは陽や陰などの質から、喜怒哀楽など、表面的な感情を読みとることしかできない。

つまり、魅護が生じる原因となる、その者の思いや考えまでは読みとれないのだ」


誠「あれ?でも友と旅をしている時には、根源まで感じ取れるようになったって・・・?」


政也「それは魅護ではなく、魅での話しだろうな。

魅というのはつまり、魅護の一部分、思いの断片とも言えるだろう。

それに対して魅護は多くの思いによって生じるもの、そう捉えると分かりやすいだろう」


政也「才のみられなかった者は、伝承者にさらにこう言った。

先生がこの村に来てから、みんな先生に頼りっぱなしだ。

羨ましかったんです。

村を平和へ導いた先生のような存在が。

だからまた同じ様な状況にでくわした時、私に少しでもあなたのような強さがあれば、争いを生まなくて済むのではないかと思ったんです」


政也「伝承者はこの者との出会に運命を感じたそうだ。

そして、伝記もいよいよ最後だ・・・。

もし願わくば、この先の未来でも武の極地に至るものが現れ、手の届く場所だけでも平和を築けたらと思う。

私の足は、この地を最後に踏み止めだろう。

この伝記を信頼する者へと渡そう」

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