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第16話 腐った伝承者

一輝「天地流・・・」


政也「あぁ、一輝のお父さんが言っていたように、彼はこの時代で天地流の修行を受けたということだな」


一輝「そんな凄い流派だったんですか・・・」


冷泉「確かに・・・ここまでの話を聞いてれば、凄い流派だと思うよねぇ」


冷泉「でもね、天地流は後世に伝わってなんかいないんだよ」


一輝「え?は?・・・ん?いや、だって・・・天地流って今言ってるじゃないっすか。

それに今のその話しそのものだって、現代にまで伝わってるんすよね?

北条の仕事のルーツだって、そうじゃないんすか?」


政也「我々が引き継いできたのは、天地流ではないんだ」


一輝「え?じゃあこの北条のルーツって・・・?」


冷泉「政也さんが話している人、友、と呼んでいる側の人だよ。

この話は全部その人目線の話で、伝承者であり、この北条家のルーツなのさ。

この人はこの時、友、と一緒にいて、一応は天地流の師という立場ではあるけど、後にも先にも天地流として弟子は1人もとってないってんだよ」


政也「そう、天地流を作り上げたのは、全て友だ。

この時の伝承者は、友と友に憑く魑魅から発せられる陰の気に晒されていたのだろう」


政也「生きてきた意味が分からなくなり始めていたとあったが、絶望しても友のそばにいる事を選んだのは、伝承者にとって友の存在こそが生きる価値だったと考えられる」


玲「よーするに、そばにいるだけで、腐ってたってことね!」


誠「あー、怒っちゃった」


玲「もう!ムカつく!

目の前に探し求めてた友と魑魅がいるっていうのに、何もしないだなんて!」


政也「強力な陰の気に晒されるというのは、それほどまでに精神状態を不安定にされるということ、そう考えれば筋はとおるがな」


玲「本当にそんなことがありえるの?」


政也「こればかりは・・・体験したことがないからな」


一輝「天地流はその後どうなったんですか?」


政也「あぁ、2人は極地に至ってからはどこにも属さず、旅を続けてきたわけだが、落ち着いた場所で天地流の門を構えて弟子をとるために、友は足利に属することにしたそうだ」


政也「足利尊氏は友の人並外れた強さを気に入り、快く迎え入れたそうだ」


政也「明確な地位は無しに、足利軍の武士を強くするという立場で天地流を堂々と開門した」


政也「片時も友は伝承者から離れなかったそうだが、ある日問題が起こる」


政也「友はなかなか極地至れる者が現れないことに怒り、弟子を殺してしまったのだ」


政也「足利は特に問題にはしなかったが、その代わり、暫くの間、友が戦場に出ることを望んだ」


政也「友がいない間、弟子の修行を任されていた伝承者は、全くやる気が起きず、よく外を出歩いていたそうだ」


政也「山には比較的微力な、陽と陰の魅が漂っていることが多い。

理由として、自然には人から発せられた魅を、吸収する性質があるからだ。

愛情をもって花を育てると、元気に育つように、自然は魅による影響を受けやすいのだ。

伝承者は、自身に満ちた陰の魅護が、大自然に少しずつ吸収されていくの感じたそうだ。

それは癒しであり、その頃の伝承者にとって山は、唯一落ちつける場所になっていた」


政也「翌日も翌々日も、毎日のように伝承者は山へ入ったが、ある日、そこでとある人物と出会う」

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