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 それからも、様々な対策を講じたが、そんな僕を嘲うように時計は針を進め続けた。

 半分の時を過ごしてもそれほど慌てなかったが、残りが四分の一しかないとなると流石に焦ってきた。


 ……次はどうしようか。

 ヘッドフォンも恐らく効果はあった。でも、音楽を聴き続けるのは僕の性分にも身体にも合わないらしい。十分休みを乗り切るので限界だった。

 かといって、もっと良いヘッドフォンを買うのは違うだろう。お小遣い的にも痛手だし、体質に合わない方法を強行するほどの価値はなさそうだ。どちらにせよ、授業中は外さなければならないんだし。

 ……いっそ、セルフで音を遮断できれば良いのか? ノイズキャンセラーのような何かで。



「お早う」

「はよ、早いなかしわ

「そういうお前も毎回僕が来る前に居るけどな」

「それはあれだ。お前と話すためにだな」

「あ、そういうのいらないから」

「ちぇ、相変わらずの毒舌どうも」

「どういたしまして」

「ちげぇよ!」


 ぎりぎりの時間に行けば時計のルールに引っかかる可能性も少なくなるだろうに、毎度早い時間のうちに学校に行く僕はただの真面目だと思う。

 今回僕が考えた作戦は、そういう話題になりそうだったら全力で意識を逸らすこと。


「おい、聞いているか?」

「ん?」

「だから、彼女がー」


 あー、今日のお天気お姉さんも美人だったなー。

 ……まあ、今日は天気予報見ていないから嘘だけど。


「へえ、良かったな」

「だからちげぇよ! 振られたって話でそのコメントはねぇよ!?」


 あ、しまった。雑に対応しすぎた。



 ゴォーン


 習慣で見上げると、短針は十の位置。いよいよ本格的に不味い。


「いらっしゃい、今回は早かったね?」

「……ああ」

「あれ? 元気ない?」

「今自分の馬鹿さ加減にダメージ受けているから放っておいて」

「おや、珍しいね? まあ、それで放っておいてあげる俺じゃないけども!」

「だろうな」

「今回の対策は?」

「……妄想?」

「は? ちょっと、意味が分からないかな?」

「ああ、僕も分からない」

「……貴方疲れているのよ」

「もっと感情込めて!」

「うおっ、復活した! じゃ、恒例の。今回は、「お前、友達がいがない。彼女も見る目ない! もうヤダ」だっけ?」

「違うな。「お前、友達がい無さ過ぎんだよ!? 大体、この俺を振るとか無いわー、見る目ないわー。ホント、もうヤダ」だな。因みに僕は、「そんなヤツを好きになったお前も見る目無いわー」って返しておいたが」

「ちょ、傷口に塩塗りこまないの!」

「あ、じゃあ帰る」

「それって、何の「じゃあ」なの?」

「お前と話するの疲れた、の「じゃあ」?」

「それ完全に君の心の声でしょ!? 仕舞っておいてよ、傷つく!」

「知らん。もう会わないことを全力で祈るとしよう」

「却下で。……またね?」



 そろそろ対策のネタも尽きてきた。四回目だか五回目だかの時に、クラスを明るくすれば良いじゃない、というテンションで声真似などの芸を披露したら変なあだ名が付いたし。両生類ってなんだよ。僕は蛙じゃない。

 とにかく、自分にダメージが行く方法は御免だ。

 因みに、主人公が勘違いしているだけで「両生類」ではなく「両声類」です。

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