第11話
「どう~? 久々の実践は」
「楽しい!」
やっぱり野球は楽しい。今日はあと一回で終わり。悲しい。もっと投げたい。俺の理想像は完投型だ。今の時代に完投型というと時代遅れに思えるし、実際そうだろう。だけれど、WSで完投した日本人最高峰投手に熱狂するように、沢村賞にいまだに完投の項目があるように。打者の花形がHRであるように、投手の花形は完投だ。確かに奪三振ショーも観客を魅了する。けれど、他の投手にマウンドを譲らず最後まで投げぬく姿に俺たちは惹かれる
「......なあリカ」
「? な~に~?」
「俺たちで怪物退治しような」
「うん!」
そして俺の打順が回ってきた。普通に三振した。やっぱヤマ張らんと無理だわ。ちなみにリカが出塁するものの後続は断たれた
「さてと、さっきは打たせて取った。次は三者三振だ」
俺はただ、あの化け物を倒す。今はそれだけでいい。全国制覇なんてその過程に過ぎない。あの化け物を倒して、野球選手として認めさせる。そして……
「甲子園を制覇する......!」
パァーン
「あとは任すか」
その後一年生チームは出塁するもののあと一本が遠かった。先輩は立て直してこの回もゼロに抑えた。そして二番手の若菜さんは二回二失点だった。別に球が悪かったわけではなかった。ただ単純に先輩が上手だっただけだ。石巻さんも二回一失点と勝ち越しは許さなかった。特に五回一アウトに二者連続四球で満塁になった後出力をもう一段階挙げて無失点で切り抜けた。若菜さんと石巻さんは長打こそ打たれたもののHRは打たれてなかった。そして二人ともヒットを打っていて悲しかった。俺は三振だったのに……。しかも石巻さんは一番の宇都宮さんから打ってた。俺が一番打撃ができない。ショックすぎる……。アマチュアの一番って二刀流が標準装備な感じだし俺が足を引っ張ってしまうかもしれない……。ヤバいわよ! ……いやマジでヤバい空振りをしてしまったから気を付けないと……
七回表で点を取れず、延長はなしなので俺たちの勝ちはなくなった。そしてクローザーの山崎さんが登板する
「アンダースロー......」
しかも左。まじ? しかもピシャリと打ち取っている。だが次からは右だ。いけるか……? !? 両投げ?! アンダースローは変わらずか……。両投げのアンダースロー……ロマンの塊か? 俺もアレしたい! 今度リカに聞いてみよ
次もアンダースロー……じゃないな。サイドスローか。アンダースロー時の決め球がシンカー、サイドスロー時はフォークか。エグいな。ゲームでこんなリリーフで出てきたらキレる。山崎さんはゼロで抑え引き分けに終わった
「左投げのアンダースローなんて初めて見た!」
「すごかったね~! 変化球もキレキレだったし~」
「後、宇都宮さんもすごかった。打たせて取るピッチングでテンポよかったし」
「トモもよかったよ。それで明日から本格的な練習だよね~。目指すは~?」
「ベンチ入り。一番は今のままじゃあ厳しい。けど、二番手以降なら可能性はある」
「弱気だね~。どうせなら一番取る!とか言うのかと思ってたけど~」
「宇都宮先輩、手を抜いててあの投球だよ。今の身体じゃあ難しい」
やはり身体の差というのは大きい。俺も打ち取れていたものの正直運の要素が強いものも多くあった。多少強引でも飛ばされる。だから俺は運がよかった。けど、いいじゃん。いい壁だ。あの人たちを超えないと怪物退治なんてできない。だから、
「俄然と楽しみだ」
「そうだね~。私もキャッチャーとして頑張りますか~!」
今年の目標は決め球を作ることだ。俺の変化球はどれも似たような感じ。コレ!というものはない。だから作る、が決め球候補はもう決めている。ストレート。ストレートにしたのには理由がある。それは、かっこいいからだ。それ以外の理由が必要だろうか、いやない。すべてをねじ伏せる火の玉のようなストレート。俺はそれをもってマウンドを支配する
こんにちは、月照です。リアルが忙しくなるに比例して筆が乗らなくなる……。乗り始めたらいろいろ書けるのに……
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