プロローグ
俺は死んだ。死因は二十歳になったので酒を飲みまくったら急性アルコール中毒で死んだのだ。友人の中で一番早く酒を飲めるようになったので一人さみしく飲んでいたら許容量を超えて死んだ。あまりにもバカすぎる。せめて人を呼べよと後悔しても遅い
しかし……
「ここどこや......」
所謂死後の世界というものだろうか。日本人であった俺の価値観では閻魔大王に裁かれるのかと思っていたがそうでもないらしい。周りに鬼もいないし妖怪っぽいものもいない。白い部屋にいる。もしかすると死んだのではなく○○しないと出れない部屋にでも入れられたのかと思ったが突然TVが現れ俺の葬儀を流すというショッキングな出来事があり俺の死が確定した。葬儀があるということは俺が死んで時間がまあまあ経っているということだ。今の今まで何のリアクションもないままぽつんと一人で気が狂いそうになる
「娯楽もなく、ただ生きている。いっそ殺してくれ。誰か連れてきてくれなんて贅沢は言わない。ボールをくれ」
所謂幽霊状態を生きているといっていいのか甚だ疑問ではある。しかし意識があり身体が動くならそれは生きているということになるのではないだろうか。……いやそんな哲学的なことはどうでもいい。ともかく暇をつぶしたい。そう思い、願ってみると野球ボールが降ってきた。今の今まで野球はテレビ観戦だけであり、触れたことはなかったが良い機会だし、暇だからと思い投げてみることにした。幸い部屋は広い。最初はまともに飛ぶことはなかったし身体がぐらぐら揺らぎ脚も攣った。それでも少し経てば回復した。まずはまともに投げれるように体幹と姿勢を鍛えた。自身の葬儀を流したTVでプロ野球も見ることが出来たので見様見真似で真似する日々だった
一週間ほどで多少マシにはなったがそれでも飛ばない。しかし安定して片足立ち出来出したので進歩は感じる
一か月ほどでまともに飛ぶようになった。体幹も良くなり、飛距離も出るがスピードもコントロールも全然であるが飛ぶようになったので嬉しくなった。筋トレも始め、特に投手は下半身が大切と聞いたので走り込み(とはいっても永遠に部屋をまわっているだけだが)も始めた。汗もかかない、腹も減らないのになぜか筋肉は増えている気がする。怖い
半年が過ぎた。初心者だった俺でもわかるくらい伸びていない。横ばいかむしろ下がっている。握り方やフォーム、足の踏み込み位置などを変えてみる変化の時期になったがそれが良くなかった。結果的に最初の善かった時期のフォームを忘れてしまった。それが下がった要因だ。だからまず、基本に戻った。真っすぐに立って、下半身の力を上手く上半身に伝えることを最優先にする。それを完璧にするまでそれしかやらない
一年が経った気がする。漸くフォームの原型が出来上がった。後は自分の力を一番引き出せる型に作り上げる。やっぱりこの試行錯誤は楽しい。少しの違いで結果は変わる。これが面白い。昔からこういう試行錯誤が好きだった。ブロックの支えを何本にしたら崩れるのかやどのくらいの距離なら少ない本数で崩れないかやってみるのが好きだった。その好きに初めて感謝した。だってこれほどまでに退屈が消えたんだ。新しい好きが生まれたんだ。ああ、生きてるうちにこれを味わいたかった
そこからはストレートの他に変化球を試してみた。なぜかTVが変化球特集みたいなものを流してくれたからそれを参考にした。個人的に投げやすいと思ったのはカットボール、カーブ、スプリット、スライダーだった。ナックルも試したが無理だったし、フォークもあまりピンとこなかった
しばらくして漸くモノになったかな?という頃
ピンポンパン
『一四六三九二番の平野友様~、転生口にお越しください』
というアナウンスと共に今までなかった扉が現れた。正直不審に思ったが行かなかったらなんか嫌な予感がしたので扉を開けるとそこには神様がいた。そこは閻魔大王じゃないのかよ、なんで西洋風なんだよっていう疑問はあったが神様の世界でも人手不足なんだなと思うことにした。現実逃避である
【あー、君は32番世界に記憶持ったまま転生ね。はい次】
雑に終わった。書類にハンコを押した瞬間床が開き、真っ逆さまに落っこちた。そして気が付けば赤ちゃんになっていた。……まあ記憶が戻ったのは五歳くらいなんですけどね。きっかけはプロ野球を見たことだった。そして記憶が戻ってからはあの白い部屋でやっていたこと、主に投球動作の練習を再開した。親には奇怪に見えたことだろう。しかし母親は驚いていたものの止めることなくむしろボールやグローブを買い与えてくれた。幸い庭は大きく近所も少ない。壁当てをしても大丈夫な環境であった
記憶が戻りふと気が付く。男をTV、街で見ないのだ。保育施設に入れられることはなくずっと家にいるので見たことがないだけかもしれないがプロ野球を見て確信に変わった。元の世界とは違う。そして男子出生率を危惧するニュースで確信に変わった。ここは男女比が狂っている世界なのだと。それを見た時急いで親に強請り、PCで歴史を検索すると俺の知っている歴史上の人物の性別は逆転していた。ここは男女比が狂い、役割も逆転した世界なのだと
こんにちは、月照です。ただ書きたかった。無鉄砲にシリーズを増やすのは良くないと思いながら書いてしまう。しゃーない
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