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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
レッツゴー異世界
26/73

高みを見てみた2

俺は緊張感から解放され膝から崩れ落ちる。

詰まっていた呼吸が荒くなる。


ツイタは魔族を倒しすぐに近くの木にもたれかかって目を閉じる。


「早く君達も帰れ。魔族がいて危険だぞ」


そんな危険なとこで寝ようとしてんのか、あんたは。


俺はミュールをおぶったまま立ち上がる。


俺は自身の胸に手を当てる。


心臓がまだバクバク言ってるな。


俺は汗を拭う。


「ていうか、なんでツイタさんがここにいるんですか?」

「ん? ここら辺は確かディニズ国辺りだろ? 俺は今そこに向かってるんだ」

「ここユエス国の田舎のところです。それにディニズはもっと北です」

「……マジ?」


こいつ、方向音痴かよ。


「前会った時もディニズに目指してましたよね? その時も迷ってんたで私方角教えましたよね?」

「……まぁ、いっか」


ツイタはそう言って眠りにつく。


なんだコイツ。

どんだけ自由人なんだ。





俺達は町に一直線で帰った。


今回は結構いい感じの動画が撮れ……


「あ! ツイタの動画撮っとけば良かったァァァ!」

「あんな状況ですぐに判断できないししょうがないじゃん」


イスタはそう言って俺の肩を叩く。


俺はそんなイスタに血の涙を流しながら肩を掴む。


「イスタ、お前には撮れ高を逃した動画投稿者の気持ちっていうのを徹底的に教えこんでやる」

「え? そ、そんな? いや、ごめんって」


俺はイスタに向かって口を開く。


※読まなくていいです

「まず、そもそもの話イスタは動画投稿のなんたるかが分かってない。動画投稿っていうのは視聴者がいかに楽しめるかなんだ。そのために動画投稿者ってのは編集で場面場面をかっこよくしたり、面白くしたり、悲しくしたり、色んな作業をせせっこせせっこするんだ。それでやっと出来た動画で視聴者が楽しかったとか言ってくれた時の達成感はほんとやばい。だからこそ、面白い絵はできる限り撮りたいし、面白みの少ない日常感溢れる時でさえもファンの俺達への親しみやすさを上げるために撮りたいんだつまるところ、撮れ高を甘く見るな」

「ご、ごめん」


イスタは若干引きながら謝る。


分かればいいんだ、分かれば。

さてと……

俺は壁に頭をコツンとぶつける。


「メンタル回復どうしよう……」

「情緒どうなってるの?」


精神的な苦痛がいちばん辛い。


俺達はギルドに向かう。


食堂の匂いが漂ってきたなぁと思った所でミュールが目を覚ます。


「本当に目を覚ましやがった」

「ユウヤ、今日の晩御飯何?」

「人肉」

「それあんまり美味しくない」


俺達はギルド内に着き、イスタがダンジョンで取った物を売却してる間、食堂でぐったりしながら食事を頼む。


今日は疲れた。


「いやぁ、意外と高く売れたよ。情報も、宝物も」


イスタは金の入った袋をクルクル回しながらやってくる。

それと同時にウェイトレスさんが食事を運んできた。


「頼んどいたぞ」

「ありがと」


俺は手を合わせてご飯を1口食べる。

おいしいが、疲れからかフォークを動かす気が起きない。


「ユウヤ、それいらない?」


ミュールは俺の料理を凝視して言う。


俺はそれを見てフォークで肉を突き刺しミュールに向けて持っていく。


ミュールは口をあーんと開けるが俺は自分のもとに引き返してパクッと食べる。


ミュールはほっぺをプクーと膨らませる。


「ていうか、フォレプリのリンゴ食べたらどうだ? うまいって書いてたぞ」

「おいしかった」

「え、全部食った?」

「大丈夫、ユウヤの分も残してあるから」


イスタはそう言って袋からリンゴを1個出して俺に渡す。


俺はガブリとかぶりつく。


おぉぉ。


「ちょ、動画動画」

「急だね」


俺は人魂を取りだして撮影する。


「今日はこのフォレストプリンスから採れたリンゴを食べてみたいと思います。この前の配信を見てくれた視聴者さんには分かると思いますがでっかい木のモンスターが落としたやつでーす。てことで、いただきます」


俺はまたリンゴにかぶりつく。


そして、ゆっくりと噛んでシャキシャキという音を鳴らし飲み込む。


「おぉぉ、なんというおいしさでしょうか。噛んだ瞬間溢れる果汁。甘さも控えめながら上品な味わい。まるで、リンゴという体を手に入れた禁断の果実」


俺はイスタにも食べかけのリンゴを渡す。


「さぁ、イスタさん。食レポをお願いします」

「え、あっごほん。では」


イスタもリンゴを丸かじりする。


「ふぇ、ふぇーと」


イスタはゴクリと飲み込む。


「……えぇーっと、果汁がすごくて、とてもおいしいです。えっと、その……禁断の果実? みたいな感じです」


イスタは言い終わるとワナワナと震えながらグッドポーズを取る。


やっぱ、イスタは動画撮るの不慣れだな。


俺はフッと鼻を鳴らす。


「ユウヤ、何その顔」


イスタはジトーっと俺を見る。


まぁ、イスタはこれからだ。


ミュールはリンゴを見てヨダレをダラダラ垂らす。


俺はイスタにうんと頷き、イスタはミュールにリンゴを渡す。


一応ミュールにもカメラ向けるか。


ミュールは一口で頬張りゴクリと飲み込む。


「おいしい」

「予想を裏切らない回答だ」

「ユウヤ、動画の時だけミュールを優遇してない?」

「え? まぁミュールはこれでもうキャラ立っちゃってるだろうしな。俺やイスタは頭良く立ち回らないと生き残れないからな。愛のムチってやつだ」

「死んだフリ練習またしてあげるか」

「すいませんした」


俺はリンゴのおかげで疲れ吹き飛び、編集作業をし始める。


一応明後日までには公演すると言っちゃったし早く終わらせよう。


「明後日なんだっけ? やるの」

「そうだな。今日は徹夜だ。明日の昼は町中で告知の呼び掛けして夜に編集作業を続けて明後日の朝に最終確認、でまた呼びかけて公演だ」


もうこの町出るっぽいしこの町最後の公演として広めよっかな。


俺が編集作業を進めようとしてるとイスタが俺の肩に触れる。


「徹夜はダメだよ。冒険者は体が資本。寝てくれないとこっちが困る」

「でも……時間は守った方がいい噂流れやすいし」

「ユウヤ、何のために仲間がいるのかな?」


あ、そうか。


動画に関しては俺が一人で色々やってたから2人は関係ないって思っちゃってたな。


「告知、頼めるか?」

「よろこんで」

「イスタ、何するの?」

「えぇっとね、まず……」


イスタはミュールに色々と説明し始める。


ほんと、頼もしい仲間だ。

俺も編集頑張らないとな。

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