初心者用ダンジョン攻略してみた9
俺達は部屋にあったドアを開ける。
すると、部屋は通路のように伸びていてどこかに繋がっているようだ。
そして、一冊の本が近くに置かれてある。
「燃やすか」
「ケンケン、お願い」
「しょうがあらへんな」
俺が燃やそうとするとイスタはすぐに本をとってケンケンに見せる。
ケンケンは嫌々ながらも音読する。
「いやぁ、迷っちまった。ダンジョン作るの楽しすぎて自分でも道わかんなくなった。やっべ、どうしよう。せっかくいやらしいところにゴール置いたのに自分でもそこがどこかわかんなくなった。これ作ったおバカさんは誰ですの? 私ですわー。……ガチでどうしよ。あ、そうだ、ここに裏ボス的な部屋作ろう。魔法ガチってた頃に出来ためちゃくちゃ強いやつ配置したろ。ゴールの位置は分かるしそれでここからゴールまで一直線に行ける道作ればいいだろ。そもそも、ここら辺は壁で隠してるエリアだし大丈夫だろ。さてと、幼なじみとのイチャコラを……」
うん、やっぱり燃やそう。
俺が出した炎をイスタはフゥーフゥーと息を吐いて消そうとする。
「ん? 待てよ? てことはこの通路みたいなの通れば最奥部屋ってことか?」
「あ、多分そうだね。でも、もうそろそろ夜だし、フォレストプリンスレベルがまた出るかもだからここは一旦帰った方が……」
「それ俺に向かって言うんじゃなくてあの遠くにいるやつに言った方がいい」
俺は奥の方にいるやつに指を指す。
「ミュールゥゥゥゥ!」
ミュールは先々と進んでいた。
イスタは頭を抑えながらミュールの後に続く。
「早く町に帰りたい」
俺はハァとため息をつきながらトボトボ走る。
(イスタちゃんは、俺が守る!)
(指のサイズ聞いていい?)
(まず指輪=プロポーズの文化があるかどうか調べろよ)
(せめて首輪つけられたい)
(それが目的で草)
(ユウヤさん、イスタちゃんに結婚文化について聞いてください)
一応聞いておこう、後で。
俺達が先へと進むとそこには少しばかりの宝と魔法陣が書かれた床、椅子に座るガイコツがいた。
多分、エルフの死体だな。
「本当に一直線だったね。敵もワナもなかった」
イスタはホッとひと安心する。
ミュールは宝石を眺めながら撮影してる人魂の出す照明の光に当てる。
ミュール、こういう所は女の子なんだな。
と思ったら、近くにあった豪華そうな剣に喉を鳴らす。
ドラゴンの装飾かっこいいな。
「神代魔法はこの魔法陣に乗ったら手に入るよ……って何してるの?」
イスタはドラゴン装飾の剣をじっと眺める俺とミュールを見る。
(小学生か)
やっぱ、ドラゴンはどの世界でもかっこいいな。
「早く乗れ」
「「さーせん」」
イスタはドラゴン剣を取り上げ巾着袋にしまう。
あ、売りもんにされた。
「ケンケンもついでに」
「ん、わかった」
ミュールは俺にケンケンを渡す。
剣にも魔法陣って適用されんのかな。
俺はケンケンを持って魔法陣の上に立つ。
すると、魔法陣は輝きだしその光は俺達を包む、
――――――
「やった、やったぞ。ついに魔法が完成した!」
エルフの男は100年もの時間をかけて出来た魔法に大喜びしていた。
「相手の魔力の流れを一時的に止める魔法だ。相手に直接当てないと効果がないからトラップ型にするのにかなり時間がかかった」
男は自分の書いた魔法陣とそれに至るまでの失敗した術式の数々を見た。
「これ、仲間に見せよう。戦争も一気にエルフ優勢になるぞ」
男は大喜びで仲間達の所に行き魔法について述べる。
だが、仲間のエルフ達はこれに難色を示す。
「これトラップ型なんだろ? 間違って踏んだらやばくね? 俺達エルフなんだから魔力使えなくなったら終わりだろ」
「いや、それはちゃんとそこにあるって報告すれば――」
「てかさ、魔力止めるって陰気臭いよな。地下でコソコソするドワーフかよ」
「いやいや、ずる賢い人間だろ」
仲間達は男を嘲笑する。
その笑い声がナイフのように男の心に深く突き刺さる。
自分の頑張って作った物が下の存在であるドワーフや人間みたいだと言われたのだ。
「……もっと違うやつ作るよ」
「頑張れよー、ずる賢そこそ」
「なんだそれ」
男は集落を離れに離れ、とある森の近くにやってくる。
「もう、戦争とかいいや」
そうして、男は引きこもるための場所を作ろうとダンジョンを作り始めたのだ。
――
……これはあのエルフの記憶?
100年間がどうこう日記で言ってたし間違いないか。
俺はどこかフワフワした空間にいる。
で、ここはどこだろう。
俺が不思議に思ってると突如何かが頭に入ってくる。
《豬√l繧矩ュ泌鴨縺ョ譛ャ豬√h縲∽サ翫Ρ縺梧・斐ヮ蜷阪ヮ繧ゅ→縺ォ豁「縺セ繝ャ》
なんだ、これ。
頭が痛い。
分からないのに分かる。
そんな、不思議な感覚が俺を包む。
――――――
「うわぁぁぁぁ!」
俺はケンケンを投げ捨て地面に転がり回る。
「どしたんや?」
「イスタ、ユウヤは大丈夫?」
「多分、大丈夫。なんか人格変わったりするみたいだけど大丈夫」
「それ大丈夫じゃあらへんねん」
(イスタちゃん、鬼畜)
(イスタちゃん、だいじょばないやつそれ)
俺は頭を抑えながら膝で立ち上がる。
「なんだったんだ、今の」
「神話期の記憶だよ。多分あの日記のエルフの記憶」
それは分かったけど神代魔法が意味わからん。
「ケンケンは神代魔法手に入れたか?」
「いや、全然や。そもそも、手に入れたところで魔法を放出する技術があんまあらへんからな」
「ケンケンはそんなのなくてもいい」
ミュール、せめてケンケンも戦えるようにして。
「神代魔法を受け取る人はこの魔法陣を書いた人の性格で与える人を決めるからね。まぁ、魔法陣さえ分かれば誰でも使えるんだけど。で、どんな魔法もらったの?」
俺は頭を抑えながら不思議と頭に思い浮かべれる何かを口に出す。
「オルヴィス・ウィンクラ」
俺がそう唱えると体のうちからキラキラと神秘的な力が湧きあがり、頭の中で魔法陣が浮かび上がる。
その魔法陣の通りに魔力を形作って――
あれ? 何も起きない?
俺は空中で指をなぞる。
だが、何も起きない
あれぇ?
皆は俺の謎行動に頭を傾げる。
「……えぇっと、相手の魔力の流れを止める魔法っていえばいいのかな? 」
「なんかパッとしない」
ミュール、それは言わない約束だ。
あんな苦しい思いしてこんなパッとしないやつなんだから割に合わねぇよ。
「使い物にならない訳ではなさそう。とりあえず、すぐ帰ろっか」
「はーい」
「てことで、配信はここまで。現状報告動画はちゃんと上げるから見ててくれよな」
(おつ)
(頑張ったな)
(動画外で死ぬなよー)
(生存報告は定期的にな)
視聴者と別れの挨拶を済ませ配信を終わらせる。
今日はどっと疲れた。
帰って寝よう。
編集はまた後日だな。




