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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第496話 引き締める言葉

「ところでよ、イシュド」


「なんだ?」


「一年たちがそれなりの物を持ってきたら、本当に戦ってやるのか?」


フィリップから視てルーディたちは平均的な質は高いと思えるが、それでもイシュドの興味を引くような者はいないと感じた。


「そうだな。約束通りそれ相応の物を持ってきたなら、ちゃんと戦ってやるよ」


「……もしかしてだけど、直ぐに終わらせるの?」


ガルフは、自分の立場では優秀な後輩たちの事をあれこれ判断できないと思っている。

ただ、変わろうという気が起きたとしても、イシュドが彼らのことをまだ確定で気に入ったと決まってない以上……勝負こそ受けるが、まともに相手にしない可能性は十分あり得る。


「さぁ、どうだろうな。あの時点で変わる気が起きたってのを考えりゃあ、ちょっとぐらいじゃれてやっても良いとは思ってる」


イシュドとしては、変わる切欠を求める為にという流れではなく、それで尚自分がアドレアスとミシェラの傍にいることに納得がいかないから勝負しろ!!!! という流れで戦うことになるならば、速攻で終わらせてやろうと考えていた。


だが、イシュドの予想に反してお坊ちゃん嬢ちゃんたちは潰される前に変わるという選択肢を選んだ。


「へぇ~~~、そりゃ優しいこって……んじゃあ、あいつらが弟子にしてくれ? って感じで頼んできたら、色々と教えてやるのか?」


「それは面倒だから嫌だ」


「………それは嫌なんだな」


「何度も言ってるけど、俺はあいつらと交流のある先輩じゃないからな。まっ、デカパイやアドレアスがあいつらの面倒を見たいってなら止めないけどな」


「「………」」


もしかしたら、ミシェラとアドレアスと共に訓練が出来なくなるかもしれない。

それはガルフとイブキにとってはあまりよろしくない流れ……と思ったが、逆転の発想が浮かんだ。


(もしお二人が後輩さんたちに面倒をみることになったら……僕たちがイシュドと模擬戦が出来る回数が増える?)


(……お二人には申し訳ないですが、それはそれでありですね)


共に訓練をする機会が減るというだけでもガルフとイブキにとっては悲しい。

その思いに嘘はないが、それはそれとしてイシュドと模擬戦を行える機会が増えるというのは、悪い気はしなかった。


「……あいつらって、教える才能あったっけ?」


「そこは知らん。まっ、後輩たちに付きっきりになって、お前らと差が生まれたらそれはあいつら自身が選んだ選択の結果だから、別に気にしなくていいからな」


「う、うん」


「はい」


「っし、んじゃあ……一対三で模擬戦でもするか」


なんとなくではあるが、テンションが上がってきたイシュド。

同じくテンションが上がっているガルフとイブキ。

そして……もうイシュドの実力は十分知っているため、一対三はさすがに危ないだろと口にすることなく、軽くため息を吐きながらも二人と共に構えるフィリップ。


この後、二人が戻るまで四人は何度も何度も模擬戦を繰り返して過ごすのだった。








「イシュド」


「……なんか用事っすか、バイロン先生」


翌日の放課後、訓練場に向かう前にバイロンに呼び留められる。


「いや、用事というほどのことではない。ただの礼だ」


「礼っすか?」


「あぁ。先日、盲目的な一年生たちがお前の元へ向かったのだろう」


「あぁ~~~、はいはい。あいつらの事っすね」


バイロンから見ても、ルーディたちの様な存在は誰かに盲目的で面倒な学生、人間というイメージが強かった。


「そうだ。だが、お前が上手く彼らのことを丸めてくれたのだろう」


「丸めたっていうか、自分たちがどれだけダサいことをしてるのか伝えただけっすよ」


「それでも十分有難いことだ。お前には、反抗する相手を納得させる力がある」


「……まぁ、評価してくれるのは嬉しいっすけど」


一応敬意を持っている大人ということもあり、お世辞でもバイロンに褒められるのは悪い気はしないイシュド。


「その辺りは教師として私も学ばなければならないところだ」


「………………俺の言葉があいつらの心を揺らしたのだとしたら、それは多分カッコよさ云々の話じゃないっすかね」


「ふむ……気になる話だな。少し時間をとっても良いか」


「……美味い紅茶でも用意してくれるんすか?」


「クッキーまで付けよう」


イシュドはバイロンの餌に釣られ、ガルフたちに先に訓練場へ向かっていてくれと伝えた。






「どうだ」


「…………美味いっすね」


見た目に似合わず紅茶の味が解るイシュド。


相手が教師だから気を使ったということはなく、バイロンが淹れた紅茶は本当に美味だと感じた。


「さて、カッコよさに関する話、だったな」


「そんな話を一年たちに話しましたね。お前らが今やってる行為はカッコ良いのかって。お前たちが目指したカッコ良さはそういうのなのか……みたいな感じの事を伝えたと思うっす」


「ふむ……それには、どういった意図を含んでいるんだ」


「この学園に入学してるってことは、将来的に騎士や魔術師になるためっすよね。じゃあ、あいつらがカッコいいと感じ、憧れた騎士や魔術師はそういった事をしてたのか……まぁ、裏じゃやってたかもしれないっすけど、少なくともお前たちが憧れたのは、そういう姿なのかって……って感じっすね」


イシュドの場合、そもそも転生者ということもあって本物の武器や魔法といった存在に強い興味を持っていたが、更に自分の心を燃え上げてくれたのは身内や実家に使える騎士たちの戦う姿。


その姿に、その強さに間違いなく憧れを感じ……カッコ良さを感じた。


「そういう……原点的な部分を思い出せれば、自分の行いが如何にかけ離れていてクソダサいのかよく解るんじゃないですかね」


意外にも忘れてはならず、恥ずかしさを感じても意識はしなければならない……カッコいいという言葉は、時に人を引き締めてくれるもの……なのかもしれない。


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― 新着の感想 ―
バイロン先生は先生なりの答えを持っているあるいは知っているんだけど、イシュドの立場からはどう考えているかを聞きたがり、それを自らの勉強と称するのがかっこいいなあ。
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