第二十三話
儀式を行う日。支給された馬車は二台だけだった。一台の馬車には、ウラシュ、オルス、テッド。もう一つの馬車には、魔法学校の子供たちだった。
「出発しろ」
馬車が動き出す。三人とも、終始無言だった。ようやくウラシュが口を開いたのは、初めの都市に到着しそうな時だった。
「儀式のやり方は、覚えているな?」
「はい。あの質問していいですか」
「ああ」
「治安が悪くなっているんですよね。でも、警護してくれる兵士がいないですよ」
「しょうがないだろ。他の貴族たちは、俺たちが襲われようが知ったこっちゃない。まずくなったら、逃げるいしかない」
「こんな遅い馬車で?」
「そうだ」
目的地に着いた。以前とは違い、広場にいる市民はまばらだった。テッドが声を上げた。
「みなさん、お触れがあったように、これから魔王を倒したオルスによる儀式を行いたいと思います。大地に作物が芽生え、太陽が再び顔を出す儀式です」
住民達は死んだ目でオルスを見ている。近くの家からは、窓から覗いている者もいる。そんな光景を見ながら、テッドはオルスの方へ近づいてきた。
「誰も、俺たちには期待はしていないらしいな」
「その方がいい。とっとやって、すぐに帰ろう」
テッドは魔法見習いたちを呼び、指示を出した。三人の見習いたちは、オルスを囲む。
オルスはまず、勇者の剣を天高く持ち上げた。何やら唱えていた。だが、それはすべて出鱈目だった。
見習いたちは剣先に、ライトオードを当てていく。次第に、光が玉になり、大きくなっていた。
「大地に恵を!」
そのまま、剣先を地面に突き刺した。強い光が、土に埋め込められ、発光した。オルスや見習いたちの姿が、光に消される。市民の誰もが、目を瞑った。目を開けると、オルスはまだ、大地に剣を刺している。
「太陽に光を!」
再び剣を持ち上げた。見習い達が、ライトを唱える。剣先に光が集まる。そして光は一直線に、空へと向かった。
「終わりです」
市民たちは、唖然としていた。ウラシュもテッドも、馬車へと体を向けていた。
「オルス様、オルス様!」
ウラシュを撥ね除け、その場にいた市民たちが跪き、祈っていた。市民たちが家から出てきて、同じように、祈っている。
オルス達は唖然としていた。
「オルス様、いつ作物は育ちますか。陽が出ますか?」
「えっ……」
「オルス様。この子の頭を、触れてください。病気なんです。もう、食事も三日間できていません。どうか病気を治してやってください」
オルスは困惑した。
「すまない。オルスはとても疲れてしまった。すぐに休ませないと。みなさんに、神のご加護を」
テッドはオルスを引っ張り、自分に馬車に乗るように指示をした。
「すぐに出せ」
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