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第十八話

「魔王がいた時の国力だったら、話し合いに応じたかもしれない。だが、今ではダメだ。クレチアは税収をなくした。国民に金が行き渡るようにした。結果、少しだけ国力が落ちただけ。兵力もそのままだ。だが、私達は極端に落ちた。何もせず、何も変えずにここまで来てしまった。もう、勝てないんだ。国王、このままですと、私達の国が奪われてしまいます。そうならない為にも、税金をとるのをやめましょう」


「戯れ言だ!」


「私達の生活も、これで精一杯だ」


 ウラシュは振り返り、貴族達に言い放った。


「テーブルの上に置いてある菓子には、誰も手をつけていないではないか。その菓子はいずれどうなる? 捨てられるだけだ。それも国民の税金がかかっている。そういうのから減らせと言っているのだ」


 ウラシュは国王に顔を戻した。


「国王。私達貴族は、国民から睨まれています。馬車に乗っている時、送られる視線は厳しいです。以前の国民は、私達に敬意を払ってくれました。だが、今は睨んでいます。着ている服をご覧になった事はありますか? 一着しか持っていません。なぜか。食料を買う為に売ってしまっているからです。私達のように、着飾ることは、無縁になりました」


「国王、極東の国のお話はご存じですよね。作物が取れなくなり、家からかまどの煙が上がらなくなったのを知った国王は、税を取るやめるをやめました。家のかまどから煙が上がるまで、国王自ら質素な暮らしをしていたのです。再びかまどから煙が上がったのを見て、それから数年後に、税を取ったのです。国王もそうすべきです。国民の為の国王になるべきです」


「わかった。ウラシュの意見は非常に参考になる。私にも考えさせてくれ。今日はこれで終わりだ」


 国王は玉座から離れ、自分の部屋へと戻っていった。貴族達はその場にとどまり、話し合いをしている。


「君たち、私の邸宅に来なさい」


 そう言われ、オルスとテッドはウラシュ専用の馬車に乗ると、そのままウラシュの邸宅へと向かった。


「帰ってきたぞ」


 使用人が、お茶を用意してくれた。


「そこにかけなさい」


 二人は客間に通された。椅子に座り、出された紅茶をすすった。三人とも、ため息をつく。


「はっきり言おう、何も変わらない」


「それは、税の免除や配給がないと言うことですか?」


 ウラシュは床を見つめ、頷いた。


「貴族達は、今の生活を維持しようとするだろう。逆に、国民はもっときつくなるだろう。それは、君達もだ」


「え?」


「兵士の給料をカット。装備品なども、節約する。魔法の研究も、どうなるかわからない」


「本当ですか?」


「周りがそういう話をしている。特に、国王に近い者達は、そんな事を言っている。この国は、ますます厳しくなる」


「相手に良い機会を与えるようなものです」


「自分達の事しか考えてこなかったせいだ。この数十年、ずっと豊作続きだった。それが当たり前になった。もしもの時の対策なんて、誰も考えていなかった結果だ」


「ウラシュ様は、これからどのような考えをお持ちですか?」


「訴え続けるしかない。私には、それしかない。私だけでも、金を配るとしよう」


「もしかしたら、これは必然的な事かもしれません」


 テッドの言葉に、オルスとウラシュは身を乗り出した。


「どういう事だ?」


「あの石版と魔方陣の解読は進んでいます。ようやく半分まできました。石版に刻まれている文字は、古代文字でした。内容は、敗者の歴史です」


「敗者?」


「簡単に言うと、あの石版には、滅ぼされていった国々の歴史が、刻まれていました。そして、その国で崇められていた、神の名前も」


「誰がそんな事を」


「それは、わかりません。ただ、神々の名前を紐解いていくと、魔物の名前に辿りつくんです。特に魔王や巨人像などは、遙か昔、大国で崇められていた神。それ以外の魔物は、敗れていった兵士や、殺された住民なのかもしれません」


 廊下から、駆けてくる足音が聞こえた。


「ウラシュ様、近くの館から悲鳴が聞こえました」


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