表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/59

第十五話

「テッド、久しぶり」


 オルスは自然と笑みが溢れる。だがテッドは、暗い表情だった。


「今な、石板の事で聞いていたんだよ」


「なあ、オルス。俺がいない間に、この国はどうなったんだ」


「天候が原因だ。作物が育たない。土砂崩れは起きる。食料の値段が上がる。俺たちの給料は減る。良いことが全くない」


「俺が一番知りたいのは、石板の解読がいきなり中止になった事だ。他の国々が、一斉に手を引いた」


 オルスは少し言葉につまったものの、テッドの目をしっかり見ながら、話した。



「クレチア王国が、戦争を仕掛けようとしているかもしれない」


「やっと、半分くらい、解読できたのに」


 テッドは肩をガックリと落とす。


「お前はどうしてここに来た?」


「賢者様の家に行って、文献を借りてきたんだ。生きていた頃から、お邪魔していてね。俺だけでも、解読しようと思ってさ」


 オルスは家に帰ってきた。今日も、スープだけだった。広い家に三人、ただ黙々と啜るだけだった。


「これじゃあ、本当に飢え死にしてしまう」


 ドアを叩く音がした。父親が出ると、そこに、親子が立っていた。

「親分、すまねえ。食料が……」


「言わなくてもいい。待ってろ」


 戸棚から、パンを一斤出すと、その親子に分けた。


「こんなに・・・・・・ありがとうございます」


「息子の仕事先は、決まったか?」


 親は悲しそうに首を振る。


「こんなに食料の値段が上がっちゃあ、何も買えません。それだけじゃない。他の生活品も、税金も払わなくてはならない。どこにも金がないんです。新聞にはこの先、天候は良くなるとは書いてありました。我慢するしかないんです」


 その言葉に、オルスのスプーンは止まり、親子の方を向いた。


「すみません。どういうことですか?」


「悪いな。うちはまだ新聞を聞いてないんだ。まあ、もう少しの辛抱だ」


「ありがとうございました」


 親子はドアを閉めた。オルスは、すぐに新聞を見た。


「オルス、新聞にはなんて書いてある。聞かせてくれ」


「魔法研究所の所長によると、天気はこれから一か月後あたりには、良くなるとの予想。それまでの辛抱……」


 オルスの言葉は、だんだんと弱くなっていく。何度も読み直す。オルスは黙ったまま、細かな文字も読んだ。


「あれだろ。いつもの通りに戻るんだろ。まあ、もう少しの辛抱だ」


「……」


 オルスは飛び出した。すぐテッドの家のドアをたたいた。


「どちらさんで?」


「オルスです。テッドはいますか?」


「ちょっと待っててね」


 すぐにテッドが出てきた。


「新聞、見たか」


「いや、夕食を終えたら見ようとした」


 オルスは新聞を見せた。テッドは目を見開く。


「昼に所長と話したけど、こんな事、一言も言ってないぞ」


 城に向かった。二人は裏から入っていく。


よければ評価、ブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ