マナとロート
城が倒壊する音が聞こえた。
激しい地響きのせいで、マナはバランスを崩し倒れてしまった。
アルゼリータに焼かれた時、マナはさすがにもうダメかと思ったが、辛うじて命は続いていた。そして、三人の目がアルゼリータに向けられた隙にこっそり逃げたしたのだ。
全身の火傷が狂いそうになるほど痛かったが、マナは少しでも遠くに逃げようと立ち上がった。
もうこの国は終わるーーーー。
滅びを確信しながら歩いた。行き先はないがこの場から離れ生きていけば、何かしらチャンスはあるハズだ。
また、ロゼを狙うチャンスも必ずくるーーーー。
そう思いながら森の中を歩いていると、周囲の茂みがガサガサと揺れた。
警戒し歩みを止めたマナは、やがて表情を絶望に染めた。
燃えるような赤い髪。マナを見つめる瞳も同様に真っ赤である。
「ロート……」
マナは力無く呟いた。
絶望した。一族を滅ぼした一族が、目の前に現れたのだ。しかも三人も。
ロートのシラルガンは強者の余裕なのか、不敵に微笑み、マナに話しかける。
「よお、久しいな。青の。……そんな顔すんなよ。家族に会わせてやるってのに」
もういないマナの一族。
最悪の予感がマナを襲った。
「イヤ……」
涙目になりながら後ずさる。
もう全身の火傷のことなど忘れている。ただ目の前の敵が恐怖だった。
「悪かったな。一人で怖かっただろ? もう我慢しなくていいからな。……今、殺してやるからな」
「イヤァァ ァァぁぁぁぁ!」
ロートの一人が、剣を閃かせる。
その剣がマナの首を捉え一撃ではね落とした。
「はいっお疲れっしたー」
ロートの一人が、マナの遺体を踏みつけた。
「ヨワヨワのせいで悲惨な最期。カワイソー。当主ったら女の子相手に容赦なくて酷いなー」
当主、と呼ばれた斬首を執行した青年は、うるさいと呟きながら血を振り払った。
「一番酷いのは不謹慎なお前だ。……もう仕事は終わった。帰るぞ」
「ロゼは殺らんでいいの? 今なら簡単な仕事だぜ?」
「いいよ。だって楽しみが無くなるだろ? デザートは最後のお楽しみだ」
当主は楽しそうに笑った。
「へっ、当主も十分不謹慎だぜ」
三人のロートは一度もマナを、崩壊した城を見る事なく、一族の待つ場所へと歩きだした。




