王子の身内事情---諦めが悪いのは令嬢---
東西南北にそれぞれ構える四大富豪の一族達。
北の富豪マグノリア家
西の富豪ガルナ家
南の富豪シーリンカ家
そして、東の富豪コンフィート家
最も名声高く、四大富豪最大の規模を誇る一族の令嬢が、ミリエラだった。
その名に相応しく、所作容姿は美しく洗練され、教養は専属の教師に徹底的に教え込まれた。そのかいもあり、どこからどうみても完璧なお嬢様となっていた。それに自信が加わり、より一層彼女を引き立てていた。
鮮やかなオレンジ色の頭髪。
緩やかなカーブのロングヘアーが美しく揺れる。
まだ壁に霜が残る部屋で、その婚約者が現れた。
「はあ? バカ言え。そんなもの、とっくの昔に無くなっただろ」
「正式な破談は無くて? まだ婚約は有効かと」
お互い一歩も引かぬ争い。
金と金の瞳がぶつかる。
「有効もクソもあるかって……お前何をしている」
「えーだってオレ関係なさそうだしー。後は若い2人でやっててくれー」
そそくさ逃げようとしたロゼイルの首根っこを掴み引き戻す。
「さて、今まで何年も放置していた結婚話を掘り起こした目的はなんだ。王族絡みではないだろうな」
ミリエラは心外だと言わんばかりに首を振った。
「わたくしは何度も話題に出しましたのよ? だけど、親たちが隠そうとしているみたいだったわ」
それはそうだろうな。自分の娘の嫁ぎ先が王族とはいえ異能を持った王子だ。どうにかうやむやにして自然消滅させたかったのだろう。
「いずれにせよ終わった話だ。諦めろ」
「それは聞けません」
突き放そうとするアルゼリータに離れないミリエラ。諦めの悪いミリエラをどうにかしてもらおうとロゼイルに仲裁を求めた。
「え、無理無理やんた。そう言う話嫌いだもん」
『なんでこういう時は首突っ込んでこないんだよ!』
自然と首を掴む手に力が入る。
「しっ……しまる……しまる……」
「あ、わり」
苦しそうな呻き声で気付き、手を離す。
「……取り敢えず滞在は許す。だが……」
「そんな事より、1ついいかしら?」
「額の『それ』は何?」
もちろんミリエラに悪気はない。疑問に思った事をただ口にしただけなのだが、怒りなのか恥ずかしさなのか分からない表情で睨んでくるアルゼリータにロゼイルは再び青ざめた。




