お約束…?
意気込んで森に足を踏み入れてかれこれ三時間は経過したが、テオはいまだに精霊と契約、それどころか精霊に出会うことすらできていなかった。
捜せども捜せども見つからない、鬱蒼とした草木をかきわけ呼びかけてみたりはしているのだがまったくの無反応。
たまに返ってくる返事は精霊のものではなく……
「きゅいぃぃ!!」
と、人間が森に足を踏み入れたことによって興奮した魔物ばかり。
「はぁ〜……これで何匹目かなぁ……」
嘆息しつつも出てきたモンスターを剣で一切に伏す。頼りない見た目とは裏腹に、テオは意外と腕っ節は良いほうであり、この森に出現する魔物も植物系のわりとポピュラーないわゆる雑魚ばかりなので特に今のところ問題はない。
「腹減った……」
もうそろそろ日が暮れそうである。
森にはいってから水以外なにも口にせず精霊を捜していたので、さすがにお腹も空いてしまう。
「でも、食べ物はないんだよなぁ………こいつは食えないし………」
足元に転がっているモンスターを見つつ、テオはうなだれた。
基本的に魔物の肉はまずい。
いまテオが倒した魔物も、植物……大根そのものに手足が生えたような見た目をしていて一見食べれそうなのだが、どのように調理してもまずいのだ。
「なにか食べれる物ないかな…?」
とりあえず今はお腹をいっぱいにしよう、続きはそれからだと考えたテオは食べれそうな物を辺りを見回して見る。
「お?あれは食えるんじゃないかな?」
見回したテオの視線の先にはおいしそうな果実がなっている。とても甘くおいしそうなその実は、まるでテオに食べてくださいと言わんばかりに沢山連なっていた。
「こういう運はいいんだけどね」
苦笑しつつも、空腹のテオは果実の実った木へと歩を進める。
「すごいや……これは凄い美味そう……」
近づいたら広がる甘い果実の匂いに、テオの空腹は限界を迎える。遠慮なく目の前の果実に手を伸ばし、もぎ取ろうとした。
「ん……あれ?取れ……ない………?」
しかし思ったよりも果実がもぎ取れず、テオは力を入れたり捩ってみたりしたのだが、それでも取れる気配がない。
「この………取れてよ……!」
空腹な上、意地になったテオは本格的にもぎ取ろうと踏ん張る。
………と、そんなテオの視界が突然反転した。
「……あれ?」
さっきまで足を踏ん張り力をこめた大地は今はテオの頭上、かわりに鬱蒼とした木々の生い茂り微かにしか見えない青空は足元になっている。
「は!?え!?なに!?」
突然の出来事にテオはかなり驚き、パニックになる。
とりあえず動こうと足を動かして見たのだが、何故か動こかない。
「なんで?」
動きすらしない自分の足元を見ると、なにか植物の蔓のような物で括り上げられていた。
「えーっと……つまり……」
自分に巻き付いた蔓を見たテオは頭をぽりぽりとかきながら、視線で蔓の先を辿ってみる。蔓の先にいたのは………
「……勘弁してください」
テオが先程もぎ取ろうとした果実のなっていた木、それが大口を開けて今にもテオを飲み込もうとしている。どうやら先程の木は木にそっくりな魔物だったようだ。
「はなしてー!!お願いだから食べないでー!?」
自分の置かれている状況を理解したテオは、必死に食べられないようにもがいた。しかし足を縛る蔓の力はまったく弱まらず、木の開けた大口はどんどん近くなりいよいよ危なくなる。
「結局、僕は運が悪いのかよ……」
自分の油断が招いた結果なのだが、こうなると運命のせいにもしたくなる。
「入学も出来ずに人生が終わるなんて、こんなの……すごく悔しいよ………!」
精霊契約も出来ずに魔物に食べられて終わるなんて……そう考えると涙が出てきて、途端に走馬灯のように見送ってくれた家族や友人の顔が思い浮かぶ。
絶対に立派な魔導師になって返ってくる、ありきたりな言葉だったがそう約束してテオは見送られてきた。
「ごめんよ……母さん、父さん………親孝行も出来ずに先立つ不幸を許してください………」
口に放り込まれる瞬間、テオは涙に濡れた目をつむった。
仕事が始まり、更新が亀より遅い………
久しぶりに更新したらなかなかのグダグダ………
休みくらいは本格的に頑張ります………




