表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風雲の場所  作者: yunika
第二章
PR
76/79

二十七.心強い仲間

どうしてここに、とハクアが尋ねるよりも

先にシュウの後ろに座るジーンが口を開いた。



「シュウの配管図が見当たらなくて

 記憶を頼りにあちこち探してたの。

 そしたらシルヴァが、ワットは

 生徒にすら登録されてないから

 怪しいって教えてくれたの。


 彼女、ワットに事情を聞くつもり

 だったみたい。


 それで調べたら寮もずっと

 空き部屋だったのよ。案の定

 引き出し見てみたら、ビンゴ」


「しかもお前がワットと一緒にシルクスに

 乗って飛んで行ったってシルヴァはんが

 言ってたし、これは後つけなと思って

 急遽ラウルスに頼んだんや」


ハクアは二人の鋭さと機転の良さに感心し

女帝シルヴァのことも少し見直した。


「だけど、よくここがわかったね」


「ラウルスの角レーダーと、あと俺の勘。

 ちょっと思い当たることがあってな」


「その話は後で。こいつら、どうする?」


ジーンが拳をぼきりと鳴らした。


「俺は戦えへんでー。かよわいし。

 あ、力はって意味な、頭脳戦でいくわ」


「強さは何も力だけじゃないよ、シュウ。

 心にだって、強さはある。サルバト達には

 果たしてそれがあるのかな。

 ……必ず、どこかに隙が生まれるさ」


ハクアはシルクスの角を持ち、ぐっと

身を低くした。そうしてるよそでは

ジーンが忍の者顔負けの身軽い動きで

翼人の背から背を踏み、渡り歩いていた。


そしてどこに仕舞い込んであったのか

服からロープを取り出し、彼らの両翼を

手慣れた手付きで結んでいっていた。


「お、お前! そんなことしたらなぁ!」

「飛べないんですけど!?」


ジーンは戸惑う翼人達に

冷ややかな視線を向けた。


「……泳いで帰りなよ」


「え~! 君うちに来ない!?

 給料はずむから!」


「さっさとクロールして帰れ!」


「それよりもバタフライが得意だッ」


ドヤ顔を見せる翼人にとジーンは

うるさい! と蹴りをお見舞いした。


ハクアはシルクスに乗って飛び回りながら

兵達の刀の攻撃を避けていた。


「武器を奪えたらな~。よし、決めた」


だが、ハクアは戦いに臨む今

自身の体に変化を覚えていた。


―――頭の中が、光で溢れているみたいだ。


いつのまにやらハクアはシルクスに

方向指示を飛ばすことをやめていた。

だがそれでもハクアの思った通りに

シルクスは方向や速度を変えていた


―――敵の懐まで突撃、その後急上昇。


全てがスローモーションで見えていた。

サルバト兵の振り上げた腕、

振り下ろされようとする刀。


―――今だ!


その柄を掴むと、ハクアは急上昇した。

手には翼人の刀がしっかりと掴まれている。


「よし、形成逆転だ」


と、そのとき、岩場に掴まるシュウの

姿が目に飛び込んできた。敵に小突かれ

今にも海に落とされそうだ。


「シュウ! これ使え!」


ハクアは奪ったばかりの刀を迷うことなく

シュウに投げ渡した。が、ハクアのその

隙を衝こうと敵の影が迫った―――。


「!!」


気付いたのは早かったが、

回避するも囲まれていた。


翼人の鎖がシルクスの左足に絡まる。


「……! 放せ!」


ハクアは必死で鎖を解こうと

逆さにぶら下がって手を伸ばした。


―――焦るな。


だがその間にも他の手足も

鎖で繋がれていく。


下方から心配して叫ぶシュウ。

人の心配をしている場合じゃないぞ。

今、翼人に刀が弾き飛ばされた。


―――焦るな、大丈夫。


今行くから、と叫ぶジーン。

気づけば腕から血を流している。


ハクアは目を閉じた。

悲しみが胸の中を覆っていく。

刹那、ハクアの中の何かが

眩い光を放ったように思えた。

直後に襲いかかる目眩と頭痛。


他の者には見えないそれは

海を伝い、岩場の、その下へ。


―――シルクス、まだ懲りないのか。


知らない声が聞こえた。

ハクアは意識を必死に保ちながら

その声に意識を集中させた。


―――人間は危険だと言ったろう。

今回もサルバト達に追われている。


―――この子は、トージャとローズの血を

  受け継いだ子。ニレの力をその身に

  宿す子。我々の仲間だ。


―――おやおや。やっとこさ繋がったのか。


―――そうだ。だからお前も

  こっちに出てきて、戦ってくれ。


―――お前は、私なしでは間抜けだからな。


―――隠れているお主に言われたくない。


―――そうだな。今行くさ。

  会いたかったぞ、我が親友よ。


その言葉を皮切りに、次の瞬間。

ボコボコと水面が盛り上がり、波飛沫が

ザバザバと重力に従って海へと戻っていく。


その狭間から姿を現したのは緑がかった

黒く長い胴体に、そこから派生した太い尾。

体の表面には毛一本生えておらず

背中側に鱗状の模様がついている。


見上げると、短い手足がちょこんとついて

更に背にはシルクスと似たようで

少しだけ形の違う、骨ばった翼。


口元には獰猛な牙が覗いており

瞳は黄色く怪しく輝いている。


そして額からは片方に銀の角が一本。

もう片方には角の代わりと言わんばかりに

細長く鋭利な刀身がギラリと光っていた。


ハクアやシュウ、ジーンは思った。

あの生物の基本は、確かにトカゲだ。

トカゲに角と、翼が生えている。


だが、あれはまさしく。


「ワニやん!」


シュウが激しく突っ込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ