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鮎川編  作者: 麦果
3/7

02.私達は分かってる……クラスは大体良くなった!

 週末を挟んでも状況は変わらなかった。それどころか体育を一緒に受ける4組にも余波が広がり、おしゃれ系グループと親しい連中からも非難されるようになった。

 12日の始業直前、鮎川が教室に入ると紙玉を投げられた。やったのは最初に絡んで来た下っ端だった。

「鮎川ぁ、さっきあんたの友達来たよぉ。あんたの事言っといたからぁ」

 鮎川は黙って頷き、投げられたゴミを捨てた。

 それ以降何もなく1日が終わると、体育会系グループはそれぞれ部活に向かった。鮎川は空手部の部室で南境(みなみざかい)に会った。

「3組、大変だな」

「うん。あ、もしかして、朝来たのって南境?」

「あぁ。お前いなくて、ケバいのに訳分かんねぇ事言われたから即帰ったけど」

「そう……言っとくけど、あたしら何もしてないかんね? 流留も双葉も、つるんでる他の子達も」

「分かってる。真犯人は別だよ、あのな――」

 南境は今周りで起こっている出来事について鮎川に話した。

「――そっかぁ。何か、大事になりそうな気がする」

「俺もそう思う」

「この話知ってんの南境と、友達と、あたしだけ?」

「いや、関わってる他の奴らにもちょこちょこ話してる。3組には海椰(みや)が言うって」

「そうなんだ、良かったぁ」

 南境の話を聞いて鮎川は安心した。

「ありがとね。でさ、話変わるけど、南境それ……」

 鮎川は南境の髪飾りを指差した。

「作ったの?」

「あぁ」

「すごっ!! 流石だぁ」

「まぁな」

 和やかな雰囲気になった。間もなく、いつも通りの練習が始まった。


 次の日、鮎川は以前のようにまっすぐ教室に行ってみた。

「わー、鮎川来たー!!」

「何平気な顔してんのぉ?」

 下っ端達が野次を飛ばした。

「鮎川さん、あの子達の言う事は気にしないで」

 そう言ったのは(みなと)だった。

「誰が何言っても分からないみたいなの。私達は違うから、大丈夫」

「湊、てめぇ……」

「何とでも言えば?」

 湊が突っ掛かる下っ端に一言吐き捨てた。

 その後、流留達も教室に集まり、各自昨日聞いた話を確かめ合った。湊ら派閥争い不参加者は先日の史衣那への嫌がらせについて、全て仕組んだ者の仕業と考え鮎川達が無実だと信じたが、おしゃれ系グループは普段から反りが合わない事もあって疑ったまま、周りの言う事を一切受け入れていないそうだ。

「そうだ、先生達は?」

 鮎川は湊に尋ねた。

灯華(とうか)さんと灯樹(とうき)君が話しに行ってる」

 その後朝のSHRが始まり、担任が鮎川達に疑った事を謝罪した。意固地になっているおしゃれ系グループを除いて、クラスの雰囲気は問題が起こる前の物に近付いた。

 放課後が始まってすぐ、他のクラスの女子生徒が3組に顔を出した。

蛇田(へびた)さん!」

 灯華が蛇田を迎え入れた。

「あれから3組どう?」

「ほぼ元通り。あの頑固な子達以外だけどね」

「そっか」

「で、真犯人分かった?」

「まだまだだよー」

「そうなんだぁ……1組の事もあるし、頑張って!」

「うん!」

 蛇田が帰った。その後3組はそれぞれに普段通り過ごした。

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