星の行方
宇宙飛行を一か月間続けていた彼らの目の前に、青い惑星が姿を見せた。
星を映す画面上に『Earth』という文字が現れる。瞬間、宇宙船の中は湧きたった。
画面は映し出された星の住民の翻訳も兼ねている。つまり、文字が出るということは、文字を使いこなす高度な生命体が、星に存在することを意味していた。
「どうやら、あの星の生物は自分たちの星を『Earth』と名付けているようだな。それでは次に生命反応を調べようか」
宇宙人たちの期待は高まった。これほど美しい星を見たことがなかったからだ。
すると船内に、またどよめきがおきた。生命反応数は彼らが予想していたものより、はるか上をいくものだったからだ。
「すごい、生命反応が無数にあるじゃないか……この星は住みやすい場所に違いない」
「ああ、これなら我々の第二の故郷にできる。そのためには滅ぼさないといけないな」
「そうだな」
宇宙人たちの故郷は住めない状態になりはじめていた。星を蝕みはじめたガスや、突如、出現した巨大生物。人口は激減し、今でも巨大生物に仲間は食われ続けている。
「さてと……では、はじめるか。ガス放出開始!」
宇宙船から大量のガスが撒かれる。これは、彼らの世界を蝕んでいるガスだ。
死に至らしめるガスを撒き、Earthの生物を全滅させたうえで、侵略するという計画だった。
ところが、次に映し出されたのは、星の生物が平然と動きまわる姿だった。
「馬鹿な、奴らは死なないのか。くそ、第二段階だ。奴を解放しろ!」
次に彼らを食い続ける巨大生物が星に降ろされた。苦労して捕獲してきた生物が、星の住民を食らい尽くす姿を彼らは想像した。
ところが、巨大生物は簡単に星の住民たちに殺されてしまった。しかもその巨大生物が食べられるという奇行を直視することとなった。
「なんという恐ろしい生物だ。こんな生物相手に俺たちがかなうわけがない」
「そうだな、進化途中の生物と判断したのが間違いだった。こんな星は見切りをつけよう」
宇宙人たちは宇宙回線でトップの意見を聞くこともなく、その場を後にした。
どんな方法でもいいから、侵略しろと言われたら、星の住民に殺されてしまうと確信したからだ。
二日後、彼らが去っていった星である地球上では仰天ニュースと題して、科学者たちが討論会をしていた。
「上空に宇宙船が見えた途端、空気濃度が上昇しているのです。更に落とされた生物……地元の住民は、神がくださった贈り物として食したそうです」
「外見も味もそっくりだったようですね。それに、あんなに友好的な宇宙人はいないと思いますよ」
画面上には、宇宙船の中にいる生物がはっきりと映し出されている。
科学者は興奮を隠せないまま、更に話を続けた。
「魚類姿の宇宙人とはね……彼らには空気も毒だし、クジラなんて天敵でしょう。私たちのためにここまでしてくれるなんて。是非、友好関係を結びたいものです」




