6 ショッピング
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「エリカちゃん、お待たせ~。 さて、行こうか」
ショーパブ『マスカレード』で働き始めた私は、その週末、先輩ニューハーフのリエさんに付き添ってもらい、化粧品と化粧道具を買いに行くことになった。
「お休みなのに、すみません。なにしろ、これまでお化粧なんてしたことなかったから」
恐縮する私に、「ううん、全然! 気にしないで」とにっこり笑い、リエさんは私の腕を取って歩き出した。
「あの、今日はどこへ……?」
ナチュラルメイクでも人目を惹く美しさの、リエさんと一緒に人込みを歩くのは、ちょっとうれしいような恥ずかしいような感じがした。
「まずは、○○のカウンターに行きましょ。なじみのアドバイザーさんがいるから、一通りメイクしてもらって、必要なものだけそこで買うわよ」
リエさんは、有名デパートの名前を口にしたが、そんなところで化粧品を買ったら高くつくのではないか。
「あの~、私、そんなにお高い化粧品は買えませんけど……」
恐る恐る言うと、「大丈夫、大丈夫! わかってるって!」と、リエさんは私を引っ張るようにして、どんどん歩いた。
「えーい、なるようになれ!」
私は、半ばヤケになって、リエさんの後に続いた。
※※※
「新庄さーん、こんにちはー」
デパートの化粧品売り場につくと、リエさんはまっすぐ国産化粧品メーカーのカウンターに私を引っ張っていき、慣れた様子でアドバイザーの女性に声をかけた。
「あらリエさん、いらっしゃいませ。ちょっとそちらにお掛けになってお待ちくださいね」
忙しそうに立ち働いていた新庄さんは、笑顔でそう言うとほかのお客さんの接客に戻って行った。
私が「新庄さんってかっこいい女性ですね」と言うと、リエさんも「そうなのよ。新庄さんって、超頑張り屋さんだから、私も応援してるんだ」と言った。
「お待たせいたしました。今日は弟さんとご一緒ですか?」
新庄さんがニコニコしながら聞くので、リエさんは「やあねぇ。ウチのはこんなにかわいくないわよ!」と言って笑った。
「この子、お店の新人なんだけど、お化粧のことなんにも知らないのよ。ちゃんとプロの意見を聞いて、この子に合ったメイクを教えてもらいたくて来たの」
リエさんの話を聞いた新庄さんは、「任せてください!」と言い、プロによる正しいお化粧講座が始まった。




