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あの説明要らなかったじゃん‥‥‥


クレアにクラスメートの初級魔法の使用訓練を押し付けて、そのまま自室に戻る。


「あー、マジでキツい‥‥」


何ともない。なんて顔をしていても、ルークにやられた傷はまだ完治しておらず、一歩間違えれば開いてしまう。そんな状態だった。


「くそっ、聖魔法。ちゃんと上げれば良かったな。シルが居たから回復は必要なかったんだよなー」


布団に倒れ込む。先ほどから身体中に激痛が走り、全く寝れそうもないが取りあえず目を閉じておこう。その位の気持ちで目を閉じる。


ヤバい、意識が‥‥‥


ただ目を閉じる。それだけのつもりだったのに、考えていた以上に身体はボロボロだったらしい。

そう言えば、昨日の夜も寝たんじゃなくて、気絶したんだっけ‥‥‥


ハルはそのまま、意識を失った。




     ーーーーーーーーーーー




「‥‥起きた?」


「‥‥‥レラ、お前なんで‥‥」


ハルが目を覚ますと、膝枕をしながら聖魔法を使って傷を治しているレラが目に映った。


「まだ動いちゃダメ。今ティナを呼び戻してる。だからもう少し待ってて」


「いや、アイツ仕事中なんだろ?だったら邪魔しちゃ駄目だから、来なくて良いって‥‥」


急に聖魔法の光が強まり、レラの手に力が入る。泣き出しそうな顔で此方を見てくる。


「ハルは、いっつもそう‥‥‥皆に心配掛けないように、毎回死にかけの身体で平気で無茶する。そんな事してるから、今回みたいなことになった」


「今回って‥‥ただ眠かったから寝てただけだぜ?別に傷もそんなに酷くないし‥‥‥」


「あと少し遅かったら、ホントに危なかった!!私がこの部屋に着たとき、ベッドのシーツは血まみれだった!!!」


首を少し捻ると、確かにベッドのシーツには血が付いていた。結構な時間が経ったのか、固まっている。


「そっか、俺そんなに危なかったのか‥‥‥」


「そう‥‥っ!だから、もう少し自分を大切にして?もう勇者じゃない。五年前みたいな力も、治癒能力も無いの!お願い。ハルまでいなくならないで‥‥‥っ!!」


聖魔法を維持したまま泣き出してしまうレラ。ハルは全く力が入らない左手を動かして、レラの頭を撫でる。

こんなに心配掛けてるとはな。

‥‥ゴメンな、レラ‥‥‥


ハルは、扉を蹴破って荒い息で飛び込んできたティナが来るまで、ずっとレラの頭を撫でていた。




      ーーーーーーーーーーー




「まったく!!こんなになるまで黙ってるなんて、なに考えてるのかしら?ねぇハル?」


聖魔法上級『治癒の楽園』を発動させながら怒るティナ。苦笑いでコクコクと頷くハル。傷を癒やしてもらうのだから、取り敢えず聞いてる振りをすればいいか。と思い、右から左へ聞き流すハル。全く反省する気は無い。


「だいたい、ハルは城に居たときもいっつも‥‥‥」


ずっとクドクド言ってくるティナを無視して、レラの方を見る。泣き疲れて、ハルのお腹に頭を乗せて寝ている。時折、握っているハルの手にキュッと力を入れてくる。それが可愛くて、頭を撫でてやりたいが唯一残っている手はレラが握っていて動かせない。


「ちょっとハル、聞いてる!?」


「聞いてない」


顔を真っ赤にして更に説教を追加‥‥させる前に先制攻撃。


「俺はもう大丈夫だから、アイツらの様子見てきてくれないか?大丈夫だって思わせる為に蓮見と試合みたいなのしたんだけどさ、そこでもう限界きちゃって、何も教えて無いんだよな。蓮見居るけど心配で‥‥‥」


「‥‥見てくるのは分かったけど、その前に蓮見君との試合について聞かせてね?」


「それは無理。と言うわけでさっさと行ってこい」


レラを起こさないように腕を放させ、ギャーギャー言ってるティナを部屋の外へと追い出す。ティナがブツブツ言いながら地下へと向かうのを確認してから侍女を呼び、ベッドのシーツを変えてもらってそこにレラを寝かす。最後に一度、レラの頭を撫でて部屋をでる。


「さて、怪我も治ったし、俺も戻るかな」




     ーーーーーーーーーーー




「あっ!ハル!!どこ行ってたのよ!?蓮見の説明意味わかんないの。どうにかして!?」


地下に戻ると、『なんでわかんないかなー!?』と言って頭をガシガシ掻いている蓮見と、『なんだよ、身体の中からブワーッて出して、グッと押さえ込むんだ。って!!意味わかんねーよ!?』と、蓮見に向かって叫んでいるタツの姿があった。


アイツ、ラフムに教えてもらったんじゃ無いのかよ‥‥


取りあえず雫を落ち着かせて、蓮見とタツの所へと歩いていく。


「蓮見。お前ラフムに何教わったんだよ?ブワーッでグッてなんだそりゃ?頭大丈夫か?」


「大丈夫だよ!!つか、お前どこ行ってた!?」


「それは置いとけ。取りあえずお前が役に立たないことはわかった‥‥ティナはどこいった?」


「少し様子見た後、仕事あるから戻るって」


アイツ‥‥‥


これを聞いて憤ったハルだったが、仕事の途中で抜け出させたのは自分だし、ずっと居ろ。なんて言ってないので戻って当たり前か。そう思いティナの事を頭から外す。


「よし、使えない蓮見は放っといて、説明から始めるか‥‥まぁ、取り敢えずお前ら、ステータス開くところからやってみろ」


『ステータス・オープン』


「よし、皆できてるな‥‥忘れてた。皐月は『精霊術』持ってるんだったな。後で使い方教えてやるからな」


「うん!!」


うん。いい返事だ‥‥なんかフィーに似てるところがあると思うんだよなぁ?気のせいか?


「よし、さっきは利き腕に集めろとか言ったけど、それじゃ分からないみたいだから一から説明してやる。いいか、魔力は身体の中を流れてる血液と同じだと思え。血液の流れる通路の他にもう一つ、通路があると思え。そこに流れてるのが、『魔力』だ」


頭に?を浮かべている奴らが殆どで、唯一蓮見だけがウンウンと頷いている。


「難しかったか?うーん、じゃぁ、実際に魔力流してみるか?そうすりゃわかると思うし‥‥‥よし、一列に並べ」




     ーーーーーーーーーーー




できた。少しだけ魔力流してやれば全員が魔力を感じ取って、流すことが出来た‥‥最初からこれやれば良かったな。


「よし、じゃあもう使えるだろ。やってみろ」


皆、自分の適性魔法の球を作る。これも、五分位で終わった。あの説明要らなかったじゃん‥‥


「よ、よし。じゃあこれをどんどん増やして、自分の狙ったところに当てられたら次の段階に進もう」


「何個位に増やせばいいのー?」


「ん‥‥そうだな、俺の全盛期。勇者時代が二百ぐらいだったから‥‥‥百は出来て欲しいなぁだ!?」


いきなり後頭部に衝撃が走る。後ろを振り返ると信じられないという顔のクレアがいた。


「無理に決まってるでしょう!殿下でさえも初級は五十個なんですよ!?百って何言ってんですか!?」


「けどレラは百個ぐらいだし、コイツら一応勇者パーティー‥‥‥」


「そんなの関係無いです!それに、レラ様はまさに天才!!そんな人と、此方に来て一週間経ってない人達を一緒にしたら駄目です!!!」


いや、確かにレラは天才だし、コイツらはまだこっちに来て日が浅いけどさ‥‥


「わかったよ、じゃあ最低でも三十個。これを一週間以内にやってみろ。『魔闘拳』使いたい奴も居るだろうけど、コレが出来てから教えてやるから頑張れー」


そう言うと、後衛職であまりやる気がないって感じの奴らの目が変わって、必死になって練習を始めた。


「やっと練習始まった‥‥疲れたなあぁ」


『ハル!お前に客だ!!』


まだ何かあんの‥‥‥



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