捜してくれてありがとう御座いますそして申し訳有りませんでした
「‥‥て‥さい‥‥‥おきて‥くだ‥‥‥おきて下さい。元勇者様」
「‥‥んぁ?‥‥‥なんでいる?」
「私は元勇者様の付き人ですよ?お忘れですか?」
いや、クレアは部屋の前でドンドンと扉叩いて起こしてきたけど?
「早くしてください。ナギ様はもう先にクレアお姉‥‥クレア様と一緒に食堂へと向かいましたよ」
そう言ってそのまま部屋の外へ出るキナ‥‥‥なんか変なこと言ってなかったか?
起きたばかりで寝ぼけていたのだろうと思い、着替え始める。置いてあった着替えは、ほんの少し前まで使っていた、勇者少し前時代の装備だった。
「懐かしい‥‥いや、そうでもないか?まぁ、いいか。けど、これ今の俺じゃデカすぎないか?」
試しに着てみると、ピッタリの大きさだった‥‥なんでピッタリなんだ?
『私が直しておきましたから、ピッタリの筈です。大きかったり、キツかったらいってください』
外からキナの声が聞こえる‥‥‥いつの間に計ったの?少し怖かったが、まぁ着れるなら何でも良いかと思い、そのまま部屋の外に出る。
「よくお似合いですよ‥‥では、行きましょうか」
ーーーーーーーーーーー
「あっ、パパ!おはよう!!」
「ほらナギ、物を食べながら喋ってはダメですよ。お行儀が悪いです」
「あぅ‥‥」
食堂に着くとユリウスとレラ、ラフムに蓮見意外は皆居た。ナギ、確かに行儀悪いけど俺に一番に挨拶しようとしてくれたんだな‥‥マジで可愛い。
「おはよう、ナギ‥‥レラが居ないのはわかるけど、ユリウスにラフム、それに蓮見が居ないってどうしたんだ?」
「兄様は仕事。昨日の夜に蓮見さんはラフムに引きずられて行ったわよ。同じ数少ない闇魔法の使い手だから、自分が育てるんだって。少し前にラフムが朝ご飯取りに来たわ。レラはいつも通り寝てる」
蓮見、南無三。
「そっか、サンキューなティナ」
「どういたしまして。じゃ、私も仕事あるから先に行くわね。明日からは私もそっちに行けるから、今日はよろしく」
「あぁ。じゃあな」
手を振りながらそのまま食堂を出るティナ。やっぱり聖女って忙しいんだな。
「じゃあ俺が食べ終わったら訓練しに行くぞ。早く食っちまえよ」
今までゆっくりとしていた奴らが、急いで手を動かし始める。そんなに急がなくてもいいのに‥‥
「アンタは食べるの早いからね。皆急いでるのよ」
「おはよ雫。昨日は居なかったな?どこ行ってたんだ?」
「おはよ、昨日はアンタを捜してたから居なかったのよ?私がどこにいたかわかる?城下よ?ずっと捜してて王宮からの使いに見つかったのは夕方よ。何か言うことは?」
「捜してくれてありがとう御座いますそして申し訳有りませんでした」
椅子から落ちるように土下座。居なかったのそういう訳かよ‥‥つか、雫見つけるまで始めずに待ってあげれば良かったのに!!俺が怒られただろ!?
そもそも自分が抜け出さなければこんな事にはならなかったのだが、そんなことは忘れたとばかりに他人に八つ当たりをする元勇者。本当にコイツが五年前、世界を救ったのか疑わしくなる雫だった。
ーーーーーーーーーーー
ハルが土下座を辞めて、食事を終える。そのまま休まずにクラスメートを引き連れ地下にある訓練所へと向かう。訓練所には五年前には無かった結界が張られていた。
「この結界を張ってるのはレラか?」
「はい。レラ様が王宮の魔法騎士団との複合魔法で作られております。城に張られている結界も、同様のものだと聞いております」
クレアとは反対の方のナギの手を繋いでいるキナが、ハルの後ろから説明してくれる。だが、その説明を自分から求めたにも関わらず、右から左に聞き流すハル。原因は
‥‥ナギさん?お二人に囲まれて満面の笑みですが、パパの隣も開いてますよ?
ナギだった。
まぁそんな事は口に出せず、肩を落としながら階段を降りていき、結界を潜って訓練所へと着く。中にはボロボロの蓮見が居たが、ラフムの姿は無かった。
「よし、んじゃ改めてステータスの確認してから、数チームに分けるぞ‥‥蓮見、寝っ転がってないでこっち来い」
『ステータス・オープン』
宇都宮 雫
称号 異世界人
侍
スキル 異世界言語
魔法 火魔法初級
風魔法初級
狭間 龍一
称号 異世界人
侍
スキル 異世界言語
魔法 火魔法初級
涼宮 皐月
称号 異世界人
魔物使い
スキル 異世界言語
魔法 水魔法初級
聖魔法初級
精霊術(使用不可)
蓮見 廉太郎
称号 異世界人
漆黒の暗殺者
スキル 異世界言語
魔法 闇魔法中級
取りあえず、主要メンバーはこんな感じだ。皐月が現代二人目の精霊術使いになってるし、昨日の今日で蓮見が闇魔法中級になってる。他の面々も何かしらの称号か魔法を最初から持っていた。
‥‥皐月だけ異様に強いな。雫が勇者の可能性あるんじゃないのか?
取りあえずチーム分けをしてみる。すると、後方支援が得意な奴が殆どで、前衛を担当出来るような人材は殆ど居なかった。というか、雫とタツしか居なかった。偏りすぎだろ、どうなってんだよ‥‥
「ま、まぁ取りあえず、主要メンバーを発表しよう。殆ど分かってると思うけど、雫とタツ、それに皐月と蓮見だ。この4人が、勇者パーティーの代表と言うことで」
唯一の前衛職二人は当然だし、勇者パーティー代表だった雫よりもチートなステータスを持った皐月に、闇魔法を持った蓮見。これは当然だと思っていたのか、なんの反論も出ない。
「よし、んじゃあまずは、コレを覚えてもらう」
そう言って俺が出したのは、光球だった。
「自分の属性に合った初級魔法の使用。コレをやってもらう。昨日ステータスを表示するために魔力の流し方を覚えてもらったが、次は一点に集めるって事をやってもらう」
昨日の魔力の流し方は、身体に流れる魔力を捉えて、その動きをコントロールする。と言うものだが、まぁコイツらがそれを分かってる訳ないからな。何となく出来た。って感じだったろうから、今度は何となくではなく、ハッキリと魔力がどんなものかを分かってもらわないとな。
「さ、訓練開始だ。自分の利き腕に集める感じから始めろ。何か質問がある奴は聞きに来い‥‥蓮見、お前は中級まで使えてるからな。こっちで俺と実践訓練だ」
自分は中級まで使えるから今日は皆のコーチ役で、ゆっくり出来ると思っていたのかハルに背を向けクラスメート達と話を始める‥‥と言うところでハルからの一言。
‥‥酷い顔だな。この世の終わりみたいな顔してるぞ。
「まぁ俺も本気を出す訳じゃ無いしさ、気楽に行こうぜ」
「いやいや、無理だって!ラフムさんに昨日の夜から休まずに闇魔法の訓練受けてたんだぜ!?休ませてくれよ!!元勇者のお前となんて、ガチで死ぬから!!!」
「えー‥‥しょうがないな。じゃあ俺は魔法使わないからさ。『魔闘拳』しか使わないよ。これでいいだろ?」
「なんだよ?その『魔闘拳』って?」
「そのまんま。魔力を体に纏わせて、素手で戦うんだよ。前衛職の称号を持ってない奴は、この『魔闘拳』を使うか、後衛職に全力を注ぐかのどっちかなんだ」
「ふーん‥‥けどおまえ片腕じゃん。それ大丈夫なのかよ?」
ん?なんか舐められてるのか?
「別に、片腕だろうが両腕なかろうが今のお前らには負けないよ」
その言葉を聞いて、イラッとしたのだろう。蓮見が魔力を込め始める。
いいねー、やる気になったじゃん?今の俺がどこまでやれるのか計るいいチャンスだし、蓮見も鍛えられる。と言うことで全力出すけど言いよね!
言言葉にはせず心の中で了承を得るハル。
「上等じゃねーか。来いよ!!」
はい。ではいかせてもらいます。
慌てて離れるクラスメート達。そう言えばナギは大丈夫か?と思ってチラッとみると、観覧席の方でクレアとキナ、ナギの3人で楽しそうに話していた。俺もそっち行きたいなー
「マジでスンマセン。ラフムさんに鍛えられて調子乗ってました。今の俺クラス最強だし、元勇者楽勝じゃね?とか思ってました‥‥いえ、ラフムさんには指一本触れられてません‥‥‥はい、ラフムさんは元々後衛職ですよね。勇者がそれより弱いわけ無いですよね。スンマセンでした」
はい。圧勝です。流石に中級覚えたてのひよっこには負けませんでした。
「まだまだ魔法の使い方がなってない‥‥まぁ、それはしょうがないな。うん。と言うわけで、一週間後にまたやるからな。もっと鍛えとけ」
正座して、体も心もボロボロの所にこの追い討ち。自分でも鬼畜だとは思う。けどこれくらいはやってもらわないとな。
「ほら、そっちでボーッとしてないで、さっさと降りて初級使えるようになれよ。俺は用事が有るから、後はクレアに任せる」
「ちょっ!?ハルさん!?」
何も聞こえない。後ろでクレアがギャーギャー言ってる気がするけど気のせいだな!!




