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恋のチカラ ~奇跡のひだまり~  作者: 小林汐希
第1部 いつか並んで歩いた道
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第17話 ホッとしたような…肯定されたような…




 あの陽咲の部屋で過ごしたクリスマス以降、彼女も相当頑張っていることが分かる。


 正月の初詣は夏の花火の時に浴衣で登場したように、今度は振袖姿で玄関から出てきた。先の成人式と一緒だし、結婚したら留袖に作り替えると笑っていたくらい。いや、この若さで和服のTPOを心得ているなんて、相当しっかり仕込まれている。


 バレンタインも手作りのチョコブラウニー。本当に彼女の家事スキルの高さを目の当たりにすると、彼女を育てたのはどんな実家なのかと気になってしまうほどだ。


 口には出していないけど、今回なにをしたいかはお互いに何となく分かっている。だから、緊張が消えなくても仕方ない。


「剛さん、ありがとうございます」


「俺たちが出会った日だもんな」


「あっという間の1年でしたね。本当に、楽しく過ごせました」


「俺も。だらだらの1年間じゃなかった」


「私に交際を申し込まれて、後悔しませんでしたか?」


「いや、一度も!」


 紛う事なき本音だった。確かにゆっくりだったかもしれない。陽咲と少しずつ大人への階段を登っていくのを一緒に歩いていけるのはありがたかった。


「今日は特別な日です。私も頑張りたいんです」


「先に聞いておくよ。ひなちゃんの今日のゴールは?」


「ずっと、イメージはしていたんですけど、剛さんの腕に抱かれたまま今夜は眠りたいんです」


 大きな瞳には俺が写っていた。


「頑張りすぎてないか?」


「だって、夜のお話ですし、これからなにもしないでいきなりゴールじゃないですよね?」


 細い体を抱き寄せ、キスからスタート。


 いつも通り。服の上からお互いの存在を求めていく。


 セーターを脱がせようとしたとき陽咲は体の向きを変えてくれて、ブラウスだけにすると、いつも通りに俺の手を自分の胸元に持って行く。


 いつも部屋でと違うのは、畳の上で寝ている状態ということ。


「ドキドキしちゃいます。でも、もう平気です」


 あのクリスマスの夜から今日までお互いに足踏みしていたわけじゃない。


 バレンタインもホワイトデーも、部屋の中で時間の許す限り手を回して抱き合ってきた。


 それでも横になって並ぶと視点や感覚が異なる。


 仰向けの胸元に手を導かれるのだから、普段とは違い、下着や陽咲の胸元の膨らみまではっきり感じられる。


「剛さん、残念ですか?」


「なにが?」


「私のおっぱい小さくて……」


「何度も言ってきたけれど俺、最初からそんな基準でひなちゃんを選んでないぜ?」


「ホッとしたような……、でもある意味肯定された複雑な気分です」


「そっか。それは悪かった。ごめんごめん」


 初めて出会ったときに、高校生かと思ったくらいなのだから。


 彼女の魅力はそんな体の特定の部位などで決められない。実際に交際を始めてから、その見た目とは違う達観した考え方、高度な家事スキルの反面、どこか影が見え隠れする彼女の不安を取り除いてやりたいと思う。


 そんな彼女の全てを愛しいと思うし、この陽咲を誰にも渡したくないという独占欲が俺にも湧いている。


 身長もなく、あどけない顔をしている彼女も、身体は大人の女性の仲間入りをしている。


 サイズは決して大きくないけれど、精一杯の成長をしているように見えた。


「でもさ、少し胸大きくなったか?」


 手のひらで小さな膨らみを感じていると、これまでより弾力が強くなった気がする。


「分かっちゃいました? サイズはAカップのままなんですけどね」


「よかったじゃん」


「剛さんに揉まれるようになってからですかね。好きな人に揉まれると大きくなるって本当なんですねぇ」


 まんざらでもないらしい。なにしろ子供服まで着られてしまうというのが悩みだと最初話していたけれど、今の子供服は陽咲の体格を十分に凌駕してしまうものもあるから、レディースのSサイズとの垣根がなくなってきている。


「ドキドキと違うもの、ちょっと感じちゃいます。やっぱり場所がいつもと違うからでしょうかね……」


 それはあるかもしれない。やはり旅先の旅館の部屋であるということも大きいだろう。それがプラスに働いてくれるようであれば、この宿代だって決して高いものじゃないと思う。



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