学校にて
どうも怠惰なペンギンです。やっぱり小説を書くのは難しいですね、でもそれ以上に楽しい!って事で次からも頑張っていきますので、感想よろしくお願いします!
静かな教室に入る。鞄を下ろし席に座る。そして毎朝ある朝の小テストの勉強をする。
「……」
(僕は中途半端だ。中途半端にサッカーをして中途半端に授業を受けて、中途半端に勉強をする。家に帰ったら勉強なんかしないくせに学校に入ったら勉強するのだ。目先のものしか見えていない。その場凌ぎを繰り返す毎日。こんなことしててなんの意味があるんだろう。)
「おはよう」
背後から声が聞こえた。
「ああ」
涼介は振り返った。身長は175センチ程でスラッとした足、冷静さを漂わせる落ち着いた黒い瞳、唇の横にはホクロがある。
全体的に知的な雰囲気の少年は僕の方に向かってきた。
「おはよう、昇生」
昇生と呼ばれた彼の名前は水橋昇生。
涼介が唯一親友と呼べる存在であり同時に尊敬もしている。成績優秀、整った顔立ち、おまけにサッカーも上手い。そして彼は努力家だ。将来の夢は医者らしい。
涼介が昇生を自分の目標に掲げているほどだ。
「りょう、今日の宿題......はやってないか」
「なんだと、失礼な、僕だってやる時はやる男なのだ
よ」
「え、本当?俺宿題の存在忘れててさ、見してくれん?」
「まぁ、いつやるとは明言してないけどね」
「……期待した俺がバカだったよ」
涼介はいつものように誤魔化しながらおちゃらける。本当はどうしようも無い気持ちで塗り固まれているのだ。
「宿題はやらないくせに小テストの勉強はするんだな」
「あはは、なんでなんだろうね」
それから少し話して昇生も自分の席について勉強を始めた。教室も徐々に騒がしくなってくる。
主にサッカー部の連中である。涼介は彼らと決して仲が悪いわけでは無いのだが、ノリはあまり好きでは無い。
人にレッテルを貼ってみんなでバカにしあってる連中だ。昇生もそれには同感で、2人はいつもサッカー部と距離をとっている。
(こいつらはこんなんでも僕よりはマシなんだよなぁ。)
学校のチャイムが鳴って、ぞろぞろと生徒が席についてゆく。教室の扉が開いて先生が入ってくる。
さっきまでうるさかった教室は少し静かになって、先生が話し始める頃には窓の外から雀の鳴き声が聞こえて来る。
(はぁ、今日は何回怒られたんだろう。)
放課後のチャイムが鳴る中、肩を落としながら部活の準備をする涼介。宿題を忘れてほぼ毎授業と言っていいほど先生に怒られた。
(まぁ、物理だけは休み時間に終わったからよかったか。物理の先生は鬼だからね、ちゃんとやらないとリアルに廊下に立たされるからな。)
そう言って部活の準備が出来た涼介は、昇生と一緒にグラウンドへ向かっていった。
周りは緑色のネットに囲まれる緑色の人工芝のグランドは、いかにもお金がかかっているのが分かる。
そんなグランドで部活の道具を準備しながら涼介はため息をついた。
「はぁー、今日も始まってしまうのか」
「相変わらずやる気なさそうだな、りょう」
「そりゃそうだよ、結局今日もみんなに怒られるんだから、自分から怒られに行きたいなんて思う奴いないだろ」
「ま、まぁそうだな、うん、頑張れ」
昇生から同情がこもった声ではげまされる涼介。そんな同情でも涼介にとっては嬉しいものだ。なぜなら。
「こんなこと言ってくれるのは昇生だけだよ、なんせあいつらと来たら部活が始まった瞬間、人が変わったように僕を怒鳴りつけるんだ。二重人格としか言いようがないよ。」
そんなこと言われても、と困り顔の昇生に謝りつつ、部活が始まる。
温かい風が吹いて若葉のついた木々が揺らぎ、それに見守られるグランド内は喧騒に包まれている。
そんな喧騒の被害者筆頭である涼介は誰から見ても惨めだった。
「やっと終わってくれた。」
部活が終わったことでやっと束縛から解放された涼介は、足早に帰る準備をする。
自分の無力さと周りから飛んでくる罵倒に途中何度か泣きそうになったが、水を飲むふりをして上を向き、なんとか堪えていた。
そして部活が終わって仕舞えば先程の罵倒は何事もなかったかのように涼介に笑いかけて来る。それに気持ち悪さを覚えつつ涼介は昇生に挨拶をして帰路についた。
「学校では家で勉強しなかったことを後悔して、部活ではこの学校に入ったことを後悔する。そんな後悔だらけの毎日が嫌だからって努力しようとしても、今までの自分をそう簡単に変えられる訳がない。本当に、僕はこのまま何かに虐げられながら生きていくんだな」
一人で駐輪場までの道を歩く。大きな満月が南の空に浮かび、その月光は真っ暗な道を仄かに照らしている。
涼介のため息は夜の闇に掻き消され、辺りは静寂に包まれる。まるで今の自分のようだった。
得体の知れない不特定多数に覗かれて、小さな頃からの悪癖によって未来は閉ざされお先は真っ暗。覗き穴からの光がほんの少しだけ地面に届いて真下だけを照らす。足元だけを見て無謀に、無為に歩いて、歩いて、それが惨めで。変なプライドで自分の悩みを打ち明けず、自ら静かになって、それに呼応するように周りの声も消えていって、覗き穴から聞こえるのは自分に対する影のある言葉。
全部、涼介が自ら招いた結果であり、事実だ。
(何もかも全部自分のせい。だけど自分じゃどうしようもない。これじゃもう終わりだな)
努力なんてしなくていい。
今回結構長めに書きました。とても疲れましたが、やっと物語が動き出しますね。まぁ二話しか書いていないのですが。僕からしたらやっとなのです。