第八節 爆弾
ここのパートは、連続して書くと長くなりそうなんで
キリの良い所で分割していきます。
『あれ?私、今、眠ってた!?』
赤い髪のプリメーラから元の緑の髪のプリメーラに戻った時
彼女は自分が意識を僅かな間だけ失っていた事に気付いた。
ぼうっとクライドを見ていたハズなのに
ほんの僅かの間、意識が無くなっていた事に驚く。
そしてクライドの方を見れば、
彼は地面に横に寝転がって寝息を立てていた。
『クライド、眠っちゃってる…』
よほど疲れたのか、
直ぐに熟睡のレベルまで眠りに入っているクライドを見て、
その側に近付くプリメーラ。
『ま、クライドさんには出会い頭に
物凄い量の情報をお伝えしましたからね…
それこそ、姫様にまで今まで秘匿していた事も含めて…』
そんなプリメーラにそっと声をかけるシード。
プリメーラはその言葉に眉をつり上げた。
『フォレストの言い分で、何となく分かったけれど…
それでも騙されていた事はショックなのよ!
銀河最強、銀河最強っておだてては、
そんな気にさせておいて!!
とんだ背信行為だわ! まったく!!』
言って僅かに怒るプリメーラ。
しかしフォレストの説明で、クライドと共に知っていかなければ
これからの知識は1500億人を簡単に殺せるほどに
危険性があると理解出来たのである。
それならば、それは仕方のない事なのかとも思えた。
そう、目の前のこの人、クライドという青年に出会い、
彼によって自分がニンゲンに成らなければ
今までの説明を知らせる事も出来なかったというのは
何となく納得もできる。
もし仮に自分1人で、自分が銀河中をかき混ぜれる力を
今も持っていると知らされたら、自分はどうなっただろうか?
それを考えて、プリメーラは膝を抱えた。
きっと何も分からなかっただろう。
自分をガイドしてくれる人が…
自分と同じレベルで分からないなりに、
それでも一緒に考えてくれる人が居なければ
これだけの事を教えられても、
今よりも遙かに混乱したに違いない。
そう自覚すれば、フォレストやシードの対応は
もっともな事だと思えなくもない。
しかし、半分は騙されていた事も事実である。
それにプリメーラはどういう態度になればいいのか分からず
苛立つしかなかった。
そんな時…
「ミ、ミリネ……
な、泣くな…ミリネ…」
クライドが不意にそんな寝言を呟いた。
そんな寝言の言葉をしっかりと聞いたプリメーラ。
『ミリネ?』
プリメーラは思わずクライドをじっと見つめた。
クライドは夢を見ている状態になったのか
目を瞑りながらも顔に苦しそうな表情が浮かんでいた。
プリメーラ見つめられていたクライドは
その首を左右に振って苦悶の表情を深くさせては
寝言を呻き続ける。
「お前は、俺が命をかけて守る…
だから泣くな! ミリネ!!
お前は生きていていいんだ!!」
クライドはそう呻いて、体を震わせていた。
その呻き聞いてドキッとするプリメーラ。
『ミリネ?人の名前?
女の人の名前? 誰だろう?』
そんなクライドが呼ぶ「女の人の様な名前」と
『命をかけて守る』と強い言葉を使った事に
プリメーラは心の琴線を弾かれて、強い興味を抱いた。
じっとクライドを見つめるプリメーラ。
『話の流れ的に…
C級人類だった妹さんではないですかね?』
そんなプリメーラの疑問にシードは推理機構を使って
クライドが口走る女性の名前で該当しそうな人物を推理してみた。
クライドの人生の全情報を聞き出せているわけではないが
シード的にも笑って流せない存在である分
今までの会話の流れから妥当なのは、
その人だろうと推理したのであった。
『クリーンルームじゃないと生きていけない病気だった
クライドの妹さん?』
シードの言葉を受けてプリメーラは
物凄い形相で寝言を口をしているクライドの
夢の中の人物を想像して、それを口にしてみる。
と同時に、プリメーラは不思議に思った。
何でそんなC級人類病という奇病があるのかと。
『まぁクライドさんは、誤解…
いや誤解ではないですけれど…
今の時代には抹消されて改竄されている情報を
信じ込んでいますからね…
C級人類は『病気』なのだと…
いや、まぁ確かに、病気といえば…病気ではあるんですが…』
そう言ってシードは項垂れる。
『病気』という言葉を使われると、
どうしてもそれに苛立ちを覚えるしかないシード。
なんとも宇宙は過酷だ…と笑うしかなかった。
『どういう事?シード?
C級人類って、このクリーンルームでしか
生きられない人が生まれるのは
クライドが言っている様に、病気なんじゃないの?』
プリメーラはシードの言葉に違和感を覚え
眉をひそめながらそれを問うた。
その問いに電脳空間で頭の様な意識的なモノを振りながら
シードは返す。
『病気は病気ですよ…
この過酷な宇宙では生きていけない程に
肉体が『先祖返り』してしまうんですから…
でも、私は言いましたよ、姫様…
このクリーンルームで生きている者達、
そこにしか住めない者達の事を『自然』…
地球に広がっていた自然なのだと…』
そう言って意識空間で肩を落とすシード。
『どういう意味?シード?』
そんなシードの言葉が直ぐに理解できないプリメーラ。
シードは苦そうに主に真実を語った。
『つまり…C級人類とは…
地球で暮らしていた、原生人類…
元々の地球人の事なのです…』
シードは震えながら、その真実を姫に伝える。
『C級人類は…元々の地球人!?
どういう事なの!? 病気ではないの!?』
そんなシードの言葉に目を見開くプリメーラ。
クライドは切ない病気だと言っていたが、
そうではないと言うシード。
それも元々の地球人だという。
プリメーラは驚くしかなかった。
そんなプリメーラを前に、シードは溜息を付きながらボヤいた。
『今のこの銀河で繁栄している99%の人類…
『B級人類』と呼ばれる人類種で
クライドさんの様な、固有能力を持っていない人々ですが…
彼等『B級人類』は、元々は『作られた人類』なのです…』
言ってシードは遙か昔のデーターベースを
自分の知識空間で参照して、電脳空間の中で溜息を付く。
それを観察していた『フォレスト』も『アストラスト』も
同じ様に溜息をつくしかなかった。
『クライドさんの様な人類が…
『B級人類』が、作られた人類ってどういう事!?』
衝撃的なシードの言葉に体を震わせるプリメーラ。
シードの言葉を強く聞き返した。
『言葉のままです…
人類の体にある細胞を作る為の情報体『染色体』
これは、元々、地球で自然発生した原生人類…
今の言葉で言う『C級人類』には
46本しかその情報体はありませんでした…
自然発生した元々の地球人は
46本の染色体を持つ生命だったのです。
しかし、クライドさんの言った様に
原生人類は、宇宙で暮らすには余りにも脆弱…
原生人類は地球で暮らす事に最適化された生物だった…
C級人類、つまり、元々の地球人は
宇宙で暮らす事は出来ないのです…
長期間での宇宙生活が、特に…。
本来は、それこそが特徴である『環境適応能力』
生命の持つ自然のメカニズム…
それが宇宙に出てしまうと悪い方向に働いてしまうのです。
それもクライドさんの説明の通りに…。
しかし、その当時、人類はどうしても
宇宙で暮らしていかなければならなかった…
だから…地球に生きた人類は、自分自身で自分達を
宇宙に適合できるように『造り替えた』のです…
自分達自身が自分達をC級人類からB級人類に進化させた…
それが今のクライドさん達…
宇宙適合型人類『B級人類』です…』
シードはそう言ってより深く溜息を付く。
その記憶があるが故に、その時の状況が思い出され
それに項垂れるしかなかった。
『そんな、自分達が自分達を造るなんて!!』
そのシードの告白に衝撃を受けるプリメーラ。
プリメーラには自分達を改造して造り替えるという事が
とても不自然な事に思えたので、それを歪に感じたのだった。
そんなプリメーラの『自然』な反応に苦笑するシード。
『その当時の事情で、
生きて行くための仕方ない事でした。
宇宙適応の調整状態に肉体を維持するための
肉体調整、及び、肉体強化の為の人工遺伝子
『カリアザクタ』と『アリアザクソン』
この人類が造った2本の『宇宙人』に成るための
人工遺伝子を、元々の自然染色体の46本に追加し
48本の染色体を持つ生命体として強化した事で
人類は、地球外の過酷な宇宙環境においても
その生存圏を広げれるようになりました…』
そう言ってシードは、2つの人工遺伝子の立体映像を
その空間に浮かび上がらせた。
とは言っても、そこに映したのは最も古い
『カリアザクタ』と『アリアザクソン』の遺伝子配列。
その後の時代に、より改造が施され、より洗練された
今の『カリアザクタ』と『アリアザクソン』ではない。
今の『B級人類』は厳密には『後期B級人類』という。
『前期B級人類』で大量のバグを出し、大量の遺伝疾患が起きて
元々の46本の自然染色体と協調できるように
デバッグし続けた末の最終状態が今の『後期B級人類』であり
今の『カリアザクタ』と『アリアザクソン』だ。
そんな『今』の人工遺伝子ではなく、最初に作った人工遺伝子の
『カリアザクタ』と『アリアザクソン』を見て
溜息をつく、作った本人の『フォレスト』と『アストラスト』
最初から完璧なモノが作れたら、どれだけ良かっただろう?と
今になってみれば、そう思う。
そんな映し出された塩基配列を見て、
呆然とつぶやくプリメーラ。
『人工遺伝子…
じゃぁ、クライドさんが言ってた…
B級人類に成るための必要な遺伝子…
カリアザクタとアリアザクソンの欠損って…』
シードの説明から1つの予想をして、それに青ざめるプリメーラ。
シードはその言葉に頷いた。
『B級人類の繁殖において、僅かな確率で残された…
48本の染色体から、人工遺伝子の2本が抜け落ち
46本の元の状態に戻ってしまう事…
『現生人類、地球人への先祖返り』
それを現代では『C級人類病』という遺伝病で扱っています。
元々は、そっちの方が『自然』だったんですけどね…』
そう言ってシードは哀しそうに笑った。
『どうして!?
どうしてそんな奇妙な性質を残したの!?
宇宙では生きていけない…
地球でしか生きていけない人類に先祖返りするなんて!』
そんなシードの説明を聞いて絶句するプリメーラ。
それはどう聞いても合理的な性質には思えなかった。
『それは…』
プリメーラにそれを尋ねられシードはその説明の難しさに口籠もった。
このまだ子供の様な魂に、「その機微」をどう説明すればいいだろう?
それはとても難しい事の様に思えて、理解の為の思考のアシスタント
クライド氏が今は眠っている事に苦しさを覚えた。
こういう時にクライド氏が居れば、軽快な絶叫と共に
その機微に踏み込んでいく事もできるのだが…。
そんな風に思考空間でシードが笑った、その時だった。
「うっ!! ううう!!!」
横で寝ていたクライドが、
突然、苦悶の声を上げ始めたのだった。
『クライド!?』
クライドが明らかに異質で苦しそうな声を上げたのに驚き
そっちの方を向くプリメーラ。
クライドは、眠っているのに自分の胸を押さえ、
そこで激しく左右に転がりだして、
地面に寝そべりながら七転八倒し始めた。
『どうしたのクライド!?』
明らかに異常な様が目の前で起き始めて
苦しんでいるクライドに声をかけるプリメーラ。
しかし、クライドは意識が起きずに、そのままその場で苦しみ…
「カハッ!!」
そんな悶絶していた次の瞬間には、クライドは吐血した。
『なっ!! 何が!!』
その突然のクライドの吐血を伴った豹変に
流石のシードも驚いて、その様子を強く観察する。
直ぐさま、彼の空間操作能力による、
肉体スキャンシステムがクライドの状況をモニタし始めた。
『どうしたの!?クライド!?クライドさん!?』
悶絶するクライドに近寄って、
苦しんでは血を吐いている所に手を差し伸べるプリメーラ。
しかし、伸ばしたその手は彼を捕らえることなくすり抜ける。
『何だこれは!?
体の至る所が、物凄い速度で壊死し始めている!!
いかん!! このままではクライド氏が死んでしまう!!
フィールド・フォトニカ!!』
シードはクライドの体内を瞬時に調べ上げ、
その肉体が、自己壊死している様子を感知し
あまりの壊死速度の速さに驚いた。
そして、クライドの時間の進行速度を遅らせなければ
このままでは対応できないと判断し、
瞬時にクライドの周囲空間球を光速空間に変換し
亜光速振動を与える事で、
彼の時間が静止時間に対して『遅れる』様にして
それで病気状況進行も遅れるように空間を変えたのだった。
『どうしたのシード!?
どうなったのクライドは!!』
余りに突然の事が起きて、それに涙目になって
シードに状況説明を尋ねるプリメーラ。
『ともかくクライド氏の体が突然、病変し
このままでは直ぐにでも致死に至りそうなので
時間の進行を遅らせて、病気が進行するのを食い止めました…
………
体のスキャンによる検査データーのレポートが来ました…
…………
何!?
DNAウィルス爆弾が、
クライド氏のDNAに埋め込まれていただと!?』
シードは応急措置をクライドに施して、状況を一端遅延し
何が起きたのかを、肉体スキャンで得た情報を調査機構に回し
そこが行った調査レポートを貰って、それを読んだ。
そして、そこに書かれている事を知って愕然とする。
『DNAウィルス爆弾?何それ?』
プリメーラはシードが大慌てで叫んだその言葉をなぞり
それに首を傾げる。
『遙かな過去に作り出されて
今では使用禁止兵器として、普通の宇宙では
条約の上で使用禁止になっている禁忌のモノですよ!
生命の体内を作る、源情報体であるDNA。
そのDNAの中に自己崩壊を起こすRNAを組み込んで
特定の時間が過ぎたら発動させて殺すウィルス兵器です…
遙かな昔に、捕虜が逃げても逃亡先で死ぬ様にと造られた
忌まわしいウィルス兵器ですが…
それをこんな時代になってまで、使う奴等が居たとは…』
そう言ってシードは愕然とした。
そういえばこのクライド氏は、虜囚兵として
収監されていた宇宙船から脱出ポッドで逃げ出して来たのだ。
そこまでは、この惑星でずっとモニターしていた。
となると、こんな措置をしたのは
上で捕虜を収監していた宇宙戦艦の艦隊か…
それを理解して、論理機構を怒りの炎で染め上げるシード。
サファナムは現在、他の白色領域に比べて荒れに荒れてはいるが
よもや、人が人を収監するのに、DNAウィルス爆弾を使うなど。
このサファナム宙域が、色帝の緩やかな支配を受けていたら
絶対に色帝の駐留艦隊がそれを許さず、
連邦憲章違反で制裁対象として国家殲滅まで行う、
宇宙の普遍的な憲章違反である事を思い
シードはそれに焦れるしかなかった。
200年前に華帝国が自分達の存在に気付き、
それが故に、この宙域から撤退した事が事の起こりだったとは言え、
そのせいでこの宙域の人が、こんな非道を平然とやれる
色連邦帝国にも入らない銀河外周領域のような
荒れた宇宙と人間感になってしまっているのだ。
それにシードは電脳空間の中で
苦悶の雄叫びを上げるしかなかった。
今のこの宇宙状態をサファナム宙域に作ったのは
自分達であるとこの瞬間に自覚してしまえば…。
『シードッ助けて!!
クライドを助けて!! 貴方には出来るんでしょう!?』
そんな思考空間で悶絶しているシードを
現実世界に引き戻したのは、プリメーラの絶叫だった。
球状の空間に浮いた状態で
ゆっくりと時間が進行しているクライドを見つめ
その命の救済を求めるプリメーラ。
その声にシードは冷静さを取り戻せた。
『私の意地にかけて、クライド氏は死なせません…
こんな古典的な事をされて、
どうにもならないとサジを投げるなんて
銀河最強の複素結晶としての私のプライドが許さない
しかし…』
そう言ったとき、シードは不意に考える。
『どうしたの?シード?』
シードが最後に留まった事に首を捻るプリメーラ。
『プリメーラ様に協力していただければ…
クライド氏の治療をよりやりやすく成るなと…
不意に思いまして…』
そう言ってシードは目の前の、最もこの銀河のイカサマな存在
複素光子体の主を思い出し
『全ての電磁気を操れる』という特異能力を使えば
クライド氏の肉体治癒が、より簡単になる事を思いついた。
『私の力を使えば、クライドを治す事が出来るの!?』
シードのその言葉を聞いて顔を明るくさせるプリメーラ。
『あ、いやしかし、汎銀河帝国皇帝陛下の
深淵の力を使わせて貰うなんて…』
自分で言いながら、『それが一番早い』という効率の問題だけで
宇宙最高の至宝の力を使わせて貰いたいと思った
臣下としての不遜な思いを前に、それに怯えるシード。
慌てて言葉をそう取り繕った。
『構わないわ!!
クライドは、私を今日、ニンゲンにしてくれた大切な人なの!!
私の力を使えばクライドが死なずに済むのなら!!
私の力を使って!シード!』
そんなシードの逡巡に、しかしプリメーラは首を左右に振って
その言葉を払い、自分の力を使う事を求める。
『しかし…』
主にそう言われたものの、やはり逡巡するシード。
皇帝陛下の力を使わなくとも、自分だけで出来ない事は無い。
ただ、陛下の力を使えば「一瞬で終わる」
その圧倒的な早さが魅力的なだけだ。
自分もフォレストが作った銀河最高の複素結晶。
この程度の事なら1人で時間をかけても…
そうシードが迷っていたときだった。
僅かな瞬間に、緑のプリメーラは
赤いロングストレートの髪のプリメーラに入れ替わった。
その赤い髪のプリメーラの方は、言葉を発せず、
しかしただ首を縦にしてシードに微笑んだ。
そして、次の瞬間には消えて、元の緑のプリメーラに戻る。
『私の力を使ってクライドを助けなさい!!
シード!! これは命令です!!!
私はクライドを殺させない!!!
絶対に!!』
プリメーラはそう叫んで、シードに詰め寄る。
そんな仕草に、そして陛下の無言の承諾に
シードは、フーと軽い息を電脳空間でついて
その命令にようやく決心がつく。
『分かりました、
プリメーラ様の、高階複素光子の体を使わせて貰います』
『そうっ!なら、どうすればいいの!?私は!?』
シードの決心の声に顔を明るくさせて
次には具体的にどうすればいいのかを尋ねるプリメーラ。
『クライド氏の肉体への具体的な手術は
私が全てを行います。
姫様はその為の、クライド氏の体の全ての電子制御を
その体でして貰います…』
そう方法論を説明するシード。
しかしプリメーラはその説明に眉をひそめた。
『えっと、つまり、どうすればいいの?』
シードの曖昧な説明に、
もっと具体的な行動を尋ねるプリメーラ。
『まぁ簡単に言えば、プリメーラ様は
クライド氏の体に重なってくれればいいのです…
姫様のその体は光子。
その体でクライド氏に重なり合って貰えれば
姫様の体の光子で、
クライド氏の肉体原子の全ての電子を操って
肉体の再構築が行えます。
なので、姫様がクライド氏に重なればいいのです』
プリメーラの具体的な行動の要求に
自分の慌て振りを笑いながら、
シードはそう言って彼女にして貰う
『具体的な事』を説明した。
『私はクライドに重なればいいのね!?』
ようやく分かり易い具体行動が聞けたので
プリメーラはそれを理解して直ぐさま飛んだ。
プリメーラはクライドの時間進行が遅延した
球空間の中にその身を飛び込ませる。
そこは亜光速振動して、時間が遅延している世界。
光子さえその動きが遅延してしまう世界。
しかしその中に入った瞬間、
プリメーラの高階複素光子は強震動を起こし
重力波波動関数に変わって
遅延する時間での光子運動遅延を無視し
光子さえ伝達遅延する球の世界で
光速でクライドの体の中に重なりあった。
『クライド…
貴方は初めて出来た私の大切な人なの…
だから、私は貴方を絶対に死なせはしない!!』
その遅延する世界の中でプリメーラはそう叫んだ。
そしてシードはプリメーラのその体を使って、
彼女の肉体の高階複素光子を手術用のメスとして
クライドの体で進行している、ウィルス爆弾の全撤去作業と
損傷した体の再構築を始めるのだった。
さぁ、次は大変だぞ~~
昔書いた、第三章のを再編集して加筆しないと…\(^o^)/




