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銃後(2)
スヴェルドロフスク州エカテリンブルク
オビラロフカ街 マトロスカヤ通り八十番地
エアフルトにて、六月四日
三日前、エアフルトへと到着した。接収したホテルの部屋でこれを書いている。
帝国にはきれいな街がたくさんある、ここエアフルトも例外じゃない。
現地の人々は我々をさほど嫌ってはいないらしく、食べるものにも今のところ困ってはいない。経済的にはかなり不安なところがあるとは聞き及んでいたが、金を出せば取引だってしてくれるし、この絵ハガキだって街の土産屋で譲ってもらったものだ。なにも悪鬼の巣窟に足を踏み入れたわけじゃない。明日明後日で揃って飢え死に、といったことにはならないと思う。
先月のように、凍え死にをおそれて進軍していたころとはえらい違いだ。不謹慎とはいえ、ものごとが上手くいっていると気分がいい。
そちらはどうだろう。健康を害することなく、家族そろって夏至祭を迎えられるよう祈っている。
親愛なる母さん、そしてふたりの妹たちに心からのキスを贈りつつ。




