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ビギの町の戦い

 『どうしたどうした!それで終わりか!』

 二人が救出を行っている時、サラマンダーは、魔兵士相手に無双していた。サラマンダーが、ただ突進と尻尾を振り回しただけで、周囲の敵は薙ぎ払われていく。

 「くそ!何だこの魔物は!?強すぎる!」

 「俺達は、Fランククラスの力を持っているんだぞ!これだけの人数でかかれば、Eランクはあるというのに・・・!」

 「何を手こずっている!?」

 そこに、一人の魔将軍が現れる。捕虜の盾を命じたトーンである。

 「!トーン様!」

 「たかが魔物一匹退治できんのか!」

 「で・・・ですが、あの魔物、想像以上に強く・・・!」

 「私が相手をする。お前達は、捕虜の所に行け。敵の狙いはそれだ。」

 「は・・・はっ!」

 兵士達は、サラマンダーの相手をやめ、捕虜の捕らえられている場所へと向かって行く。

 「・・・貴様、ただの魔物ではないな?何者だ?」

 『ほう、俺の強さが分かるか!なら楽しめそうだな!』

 サラマンダーは、トーンに突進する。トーンは腰を屈めると、右手でサラマンダーを殴りつける。サラマンダーは、動きを止められる。

 「!固い!」

 だが、トーンの攻撃もサラマンダーにダメージを与えることはできなかった。マグマで暮らすサラマンダーの皮膚は、如何に魔将軍であろうと容易に傷付けることはできなかったのだ。

 『へー・・・お前、拳士か。俺の体当たりを止めるとはやるじゃねーか。だが、俺に下手に触らねー方がいいぜ!』

 「!」

 右手が急激に熱くなるのを感じ、トーンは手を放し、距離を取る。

 「・・・身体に熱を帯びているか。属性は火だな。拳士であり、風属性でもある私とは相性が悪いか・・・。」

 「何を手間取っている!トーン!」

 そこに、また別の魔将軍が現れる。手には槍を持ち、着ている鎧も動きを阻害しないような軽装だった。

 「コーン!」

 「こんな魔物一匹倒せないとは、魔将軍の名が泣くぞ!俺がやる!」

 コーンは自身の槍でサラマンダーを突き刺そうとする。サラマンダーは、尻尾でそれを弾く。

 「!固い!」

 「油断するな!少なくとも、私達と同格だ!それと、あの強靭な皮膚・・・武器での戦いは不利だ!」

 「属性は!?」

 「火だ!私では勝てない可能性が高い!」

 「なら、魔法を使うまでだ!」

 コーンは、呪文を唱え、サラマンダーに放つ。

 「【ロックキャノン】!」

 【ストーンバレット】より巨大な岩が、サラマンダーに向かって行く。

 『土属性かよ・・・相性わりーな。』

 サラマンダーは、【ロックキャノン】を頭部で受け止める。ダメージはあるが、耐え切れないほどではない。

 『・・・ちったぁ効いたぜ・・・!』

 「やはり、土属性なら対抗できるか。俺なら勝てそうだ。」

 「なら、ここは任せるぞ。私は、捕虜の様子を見に行く。」

 「捕虜?何故だ?」

 「敵の目的は、捕虜の奪還だ。だから、五大竜は攻撃してこない。そうでないなら、とっくに私達はこの町諸共消し炭だ。なら、捕虜を押さえてしてまえこちらのものだ。」

 「よし、ここは俺に任せろ。」

 「頼んだぞ。」

 トーンはこの場をコーンに任せ、兵士達が向かった方に駆けていく。

 「・・・お前の飼い主がどれほどの者かは知らないが、トーンが行けば終わりだ。お前も俺との相性は悪い。勝負はあったな。」

 『・・・そいつはどうかな?』

 サラマンダーは、ニヤリと笑っていた。


 『おい。』

 突然、焔にサラマンダーからの【遠隔疎通】が届いた。

 『!どうした、サラマンダー?』

 『兵士と魔将軍がお前らの所に向かってるぞ。拳士タイプで属性は風だ。お前でも問題ねーだろう。』

 『兵士の数は?』

 『さあ?まあ、五十人以上はいたかな?よく覚えてねー。』

 『・・・分かった。そいつらを片付けてすぐに戻る。』

 『おう。俺はこいつと楽しむとするぜ。』

 『・・・サラマンダー。もう加減はしなくていい。俺達の連れている人間以外に捕虜はいねー。思い切りやれ!』

 『・・・それを待っていたぜ!』

 「・・・震。サラマンダーからだ。そろそろ魔将軍が大勢兵士引き連れて来るそうだぜ。」

 「・・・そうか・・・!」

 焔から魔将軍が来ることを告げられ、震は表情を険しくする。

 「!いたぞ!あそこだ!」

 そして、ついに魔兵士の一団が、焔達を視界に捉える。

 「!捕虜を連れているぞ!捕虜を逃がすつもりだ!」

 「そうはいくか!ここで食い止めろ!」

 「【サンドストーム】!」

 武器を構えて行く手を阻もうとする魔兵士達に、震は魔法で先制する。突如として生じた砂嵐が、魔兵士達を襲う。

 「ぐわ!?何だ、この砂は!?」

 「ただの砂じゃない!これは・・・土魔法だ!」

 「どけ!」

 【サンドストーム】で動きを止められた魔兵士達を、焔は容赦なく切り倒す。

 「助かったぜ。」

 「これ以上君を消耗させるわけにはいかないから、ね!【ストーンバレット】!」

 震の援護もあり、焔は魔兵士達を次々と倒していく。

 「こ・・・こいつら強い!」

 「二人だけだぞ!何故勝てん!?」

 二人の凄まじい強さに、魔兵士達は動揺し、攻撃の手が止まってしまう。

 「お前達!何をしている!」

 そこにようやくトーンが追い付き、魔兵士達を叱咤する。

 「!トーン様!」

 「や・・・奴らは強すぎます!我々では歯が・・・!」

 「・・・なるほど。やはり契約者自身が出向いて来たか。大胆だな。お前達!奴らを遠巻きに包囲しろ!私が相手をする!私の指示なく攻撃はするな!」

 「は・・・はい!」

 魔兵士達は、焔達から距離を取る。そして、トーンだけが前に出た。

 「私の名はトーン。この町の守護を任されている魔将軍の一人だ。」

 「俺は、赤羽焔。ブレイの契約者だ。」

 「お前が契約者か。なら話は早い。消えてもらおう!」

 トーンは、一瞬で焔の目の前にまで駆け寄ると、右手で焔を殴りつけようとする。

 「!筋力強化!」

 焔は、咄嗟のことで防御を諦め、筋力強化で攻撃を防ぐ。トーンの拳は、焔の顔面に直撃する。

 「!・・・いって~・・・な!」

 攻撃に耐えた焔は、ブレイカー・オブ・ブレイで切り払おうとするが、トーンは軽々と攻撃を回避する。

 「・・・筋力強化・・・属性は火か!それにしても、筋力強化をこのような形で使うとは・・・!」

 「その速さ・・・お前は風だな。それにしては、結構威力あんじゃねーか。」

 (風か・・・そして、奴はスピードに重きを置いた魔将軍。僕じゃ、属性的にも戦闘スタイル的にも分が悪い。属性的に有利な焔も、戦闘スタイル的には分が悪い。これは強敵だ。)

 震は、トーンの属性と戦闘スタイルを見て、自分達が戦うには厳しいと判断した。

 「だが、そんな大きな剣で私を捉えるのは難しいぞ。私のスピードに対応できまい。」

 「だったら、剣で戦わなけりゃいい!」

 焔は、剣を地面に突き刺すと、トーンに殴りかかる。

 「!馬鹿!相手の土俵に立つやつがあるか!」

 焔の短慮な行動に、震は慌てて制そうとするが、焔は聞く耳を持たず、トーンを殴ろうとする。だが、トーンはそれを軽々と避け、焔を蹴りつける。しかし、焔はそれを手で止めると、そのまま足を掴み、トーンを地面に叩きつけようとする。トーンは、うまく受け身を取り、もう片方の足で焔を蹴る。焔はそれをかわすが、手を放したことで、トーンは解放されて距離を取られてしまう。

 「・・・意外だな。剣以外もできるのか・・・。」

 「一番は剣だが、一通りの武術はできるぜ。」

 「・・・なら、魔法ならどうだ!」

 トーンは、焔に風の魔法を放つ。風太の得意とする【エアロバースト】の上位の魔法【トルネードバースト】である。凄まじい風の魔法が焔に迫る。

 「【ファイアウォール】!」

 焔は、火の防御魔法を発動する。焔の前を火の壁が立ちはだかり、【トルネードバースト】を遮る。

 「!焔!それ以上魔力を使うのは・・・!」

 焔の魔力が残り少ないのもあり、震は気が気ではない。魔力が切れれば、確実に焔は負けるだろう。

 「安心しろって。俺が何のペース配分もなくやってると思うのか?」

 「思ってないから言ってるんだ!」

 「雑談とは余裕だな!自分達の状況が分かって・・・!」

 ドゴーン

 その時、焔達の戦っている所から遠い場所で、大きな爆発が起きる。それと同時に、爆発が起きたあたりから火の手が上がりあっという間に家屋は燃え始めた。

 「!何だ!?」

 突然の出来事に、トーンは魔法の発動をやめてしまう。

 「・・・『サラマンダー。勝ったのか?』。」

 焔は、【遠隔疎通】でサラマンダーから状況の確認をする。

 『ああ。こいつはもう、ただの黒焦げの死体だ。本気でやりゃこんなもんだぜ!』

 『そうか。じゃあ、そのまま焼き尽くしちまえ!もう被害のことなんて考えんな!』

 『おう!もっと暴れてやるぜ!』

 「・・・どうやら、お前のお仲間は死んだようだぜ。」

 焔は、サラマンダーの勝利をトーンに伝える。

 「馬鹿な!コーンがやられただと!?信じられん!そもそも、あの魔物は一体・・・!?」

 「あいつは、火竜ブレイの眷属だ。普通のAランクモンスターなんかより数倍つええぞ。」

 「くっ!」

 「さてと・・・仕切り直し・・・。」

 『・・・焔。何サラマンダーだけ暴れさせてやがる?』

 戦いを再開しようと思った焔に、突然ブレイが【遠隔疎通】をしてきた。

 『!ブレイ!?何だよ!?』

 『俺にもやらせろ。』

 そう伝わり切るや否や、上空から凄まじいスピードで何かが落ちてきた。

 「!マジかよ!」

 「焔!彼を止め・・・!』

 そして、落ちてきた何かは、焔達の前に落下した。周囲に凄まじい地響きと土埃が漂う。

 「・・・この馬鹿・・・!お前はまだ出番じゃねーだろが・・・!」

 土埃が晴れ、落ちてきたものの姿が明らかになる。それは、全身が炎のように赤い竜、火竜ブレイだった。

 『・・・この臭い・・・ヤミーの野郎の臭いだな・・・!』

ソウルイーターの時も言われていましたが、同じランクでも、強さには相当ムラがあります。

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