反省会
「・・・ふう。何とか勝てたな。」
オロバスが燃え尽きたのを確認した風太は、緊張が解け、その場にへたり込んだ。
「やったね、風太!」
「うまくいったようだね。」
上空にいたソウと渚も、ガルーダから降り、風太の許に駆け寄る。
「・・・ああ。契約していた魔物達・・・そして、ソウと渚がいたおかげだ。そうじゃなければ、勝てなかった・・・。」
「・・・そうだね。あの魔将軍、凄く強かったし。」
「あれが、魔将軍の一番強い部類だよ。魔王となれば、当然、あれより強い。」
「魔将軍でこうなんだ。・・・アロンみたいな魔王相手じゃ・・・まだ勝てそうにない。ヤミーなんて夢のまた夢だ。」
「僕の言ったこと、分かってくれたようだね。今の君達は、まだ魔将軍レベルなんだ。それだと五大竜の力も大して引き出すことはできない。もっと強くならないといけないって言ったのはそういうことだよ。」
「・・・悔しいけど、その通りだ。よし、このままヤミーの軍勢に挑んでもっと強くなるぞ!」
「風太、少し休んだら?あんなに魔力使ったんだから、少しは休まないと・・・。」
「?まだ大丈夫だって。」
「いや、渚の言う通り、休んだ方がいい。いくら君の魔力が並外れているとはいえ、無限じゃないんだ。」
「・・・分かった。でも、どこで休憩するんだ?」
「開けた場所でするのは危険だ。敵に見つかりやすい。森の中で休もう。」
ソウは、近くにある森を指す。
「分かった。行こう。」
風太達は、近くの森で一旦休むことにした。
「・・・やっぱり、魔物と一緒に戦えるのは利点だな。俺一人じゃ絶対勝てなかった。」
休憩時、風太は今回の戦いを振り返っていた。今回の戦いは、ヴァサーゴ以上に魔物の協力がなければ危ない戦いだった。ファニックス達がいなければ、倒すことは叶わなかったであろう。
「何より、魔物をあれだけ召喚しても、俺は魔力切れを起こさなかった。普通なら、あれだけ召喚して戦わせればすぐに切れてしまうって本には書いてあったのに。」
「君は、自身を強化した肉弾戦や魔法戦もいいけど、魔物と協力して戦う方が向いてるかもね。君の魔力なら、相当数の魔物を使役しても問題なさそうだし。」
「私達より、魔物をたくさん契約しているから、風太はテイマーの方が向いてるのかも。」
渚とソウも、風太はテイマー向きであると同意する。
「そうなると、もっと色々な魔物と契約した方がいいかもしれないな。」
「そうだね。それと、今回は属性が偏って危ないところもあったからね。他の属性の魔物と契約を勧めるよ。」
ソウは、風太に多様な属性の魔物と契約することを勧める。風太もそれに同意する。今回、主戦力になったのは火と風だけであり、他の属性での攻撃は、渚に手伝ってもらっていたため、ソウの指摘はもっともだと風太も思った。
「今の俺は、風属性と火属性の魔物達と契約している。・・・となると、土属性や水属性か。・・・いい魔物がいるかな?」
「それと、風太は鳥系の魔物と相性がいいよね。やっぱり鳥系にするの?」
「別の種類の魔物もできなくないとは思うけど、やっぱり仲間にしやすい方がいいな。」
「だったら、この近くにある泉にいい魔物がいるよ。水属性だし、鳥系に限らず、いろんな魔物がね。」
「本当か?」
「うん。それに、水属性の魔物なら、渚も契約しやすいかもしれないよ。」
「私も新しい魔物と契約か・・・できるかな?」
『できますよ。あなたなら。自信を持って。』
エリアスは、契約を不安がる渚に、大丈夫だと告げる。
「ありがとう、エリアス。」
「じゃあ、もう少し休んだら行くとしよう。僕も、あそこに用事があるからね。」
「用事?何の?」
「それはちょっと言えないんだ。今も使えるか分からないからね。でも、使えれば君達の助けになるはずだよ。」
「・・・分かった。」
風太は、それ以上は聞かず、身体を休めることに専念するのだった。
果たして、その泉に何があるのか・・・?




