表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/161

強敵!ジュエルゴーレム現る

 「待っていたぞ、勇者共!」

 魔将軍の一人が剣を抜き、不敵に告げる。

 「随分と好き勝手暴れてくれたようだが、それもここまでだ!」

 その隣の魔将軍が、手に持つ槍を構えて告げる。

 「お前達の命、ヤミー様に献上する!大人しく殺されろ!」

 最後の魔将軍が、大きな斧を振り回して告げる。

 魔将軍達は、自分達が風太達を殺せると自信満々である。だが、風太は彼らの強さをおおよそ察していた。

 「・・・ソウ。あいつらヴァサーゴより弱いよな。」

 「うん。三人がかりでもヴァサーゴには勝てないよ。魔将軍は力の差が激しいからね。強いのは魔王に次ぐ実力者だけど、弱いのは君達でも簡単に倒せるよ。」

 ソウも魔将軍達の強さを察しており、思わず苦笑する。

 「そうか。・・・じゃあ、フェニックス達を使う必要はないな。」

 風太は、ソード・オブ・フィードを構える。

 『フェニックス。お前は待機だ。俺一人でやる。』

 風太は【遠隔疎通】で、フェニックスに待機を命じる。

 『了解した。』

 「おお?武器出して何する気だ?まさか、俺達に挑もうって言う気じゃ・・・。」

 馬鹿にする魔将軍達に対し、風太は一気に風魔法で加速して三人に接近する。

 「!?」

 「何!?」

 「は・・・速い・・・!」

 三人の魔将軍は、抵抗する間もなく首を切り落とされ、倒されていた。

 「・・・。」

 「・・・すごい!あっという間に三人も・・・!」

 「・・・まあ、彼らはかませ犬だから当然だね。」

 「?かませ犬って、どういう・・・?」

 ソウの言葉に、渚は理解できないといった様子で首を傾げる。だが、風太は敵を片付けたというのに、警戒を解いていなかった。

 「・・・おい、そこにいるんだろ。出てこい。」

 風太はいきなり、誰もいない場所に声をかける。すると、いつからいたのか、そこには将軍がいたのだ。その魔将軍は、ヴァサーゴと同様の鎧を着、外見も彼と同じく角のない茶色の肌の人間の姿だった。見た目からして、先ほどの三人より格上であることが窺え知れた。

 「!魔将軍!?いつからあそこに!?」

 「隠蔽魔法で隠れていたんだよ。かなりうまくね。」

 「・・・まさか気付くとはな。」

 「こいつらを囮にして誤魔化したつもりだろうが、油断しすぎだろう。魔力が駄々漏れだ。」

 「・・・魔力を流したのはついさっきだったんだが・・・それに気付くとはいい集中力だな!」

 魔将軍は、嬉しそうな表情に変わると、剣を抜く。その剣は、刀身が真っ黒の禍々しいもので、一目で魔剣であると分かった。

 「俺の名はオロバス。ヴァサーゴを倒したその力、俺に見せてみろ!」

 オロバスは一気に風太に切りかかる。そのスピードに、風太は一瞬ギョッとするが、すぐにソード・オブ・フィードで防ぐ。

 「・・・お前も俺と同じ風属性か・・・!」

 「そうだ。しかし、あいつらをかませた時は驚いたぞ。お前も俺と同じ戦い方ができるとはな・・・!だが、お前と俺とは決定的な差がある!」

 そう言うとオロバスは、剣に力を込めて押し始める。

 「!」

 「お前には経験が足りない!」

 「ちぃ!」

 風太は、一度距離を取ろうとするも、オロバスは、それを逃がさない。すぐにそれに反応して、風太を攻撃する。風太はソード・オブ・フィードで受け止め身を守るも、距離を取ることはできない。

 「俺は、魔将軍になる前に様々な死線を潜り抜けてきた!己を鍛えるために幼い頃から鍛錬を積んできた!だが、お前にはそれがない!それがお前と俺の差だ!覆しようがないぞ!」

 (・・・まずい・・・!基礎能力が違いすぎる!このままじゃ・・・やられる!)

 「ソウ!風太を助けないと・・・!」

 「駄目だ。」

 風太の危機に、渚は魔法で援護しようとするもソウはそれを制する。

 「どうして!?このままだと・・・!」

 「君の魔法で援護しても、あいつの魔法でかき消されてしまうよ。君達二人がかりで戦ったとしても、勝てるかどうか分からない。あいつの強さは、ヴァサーゴより上だ。」

 「・・・でも・・・!」

 「まあ、風太に任せるんだ。君は、風太が指示を出した時に援護すればいい。」

 「・・・。」

 ソウの言葉に、渚は不満を覚えるものの、渋々従うのだった。

 一方、風太の方は、相変わらず劣勢を強いられていた。ソード・オブ・フィードの力で身体能力は強化されているため、何とか攻撃をさばいてはいるものの、こちらからは一切攻撃はできなかった。

 (・・・どうすればいい?・・・魔法を使うか?・・・駄目だ!そんな隙はない!・・・!そうだ!)

 『フェニックス!ブレスで攻撃してくれ!』

 風太は【遠隔疎通】で、フェニックスに攻撃を命じる。

 『!危険だ!この距離で攻撃すれば、主も巻き込む!今まで攻撃しなかったのは、奴と近すぎるからだ!最悪、焼け死ぬ!』

 『いいからやってくれ!』

 『・・・了解した。火の鳥の息吹ファイアバードブレス!』

 フェニックスは、オロバスと風太に向けてブレスを放つ。

 「!ちぃ!」

 それを見たオロバスは、後ろに下がって回避する。風太の方も、後ろに下がってブレスを避ける。双方、ブレスによるダメージを受けることはなかった。

 「・・・自分諸共攻撃させるとは・・・無茶苦茶な奴だな。」

 「でも、お前でもフェニックスの炎は逃げるんだな。当然だよな。弱点なんだからな。フェニックス!奴を近付かせるな!焼き払え!」

 『火の鳥の息吹ファイアバードブレス!』

 フェニックスは、オロバスにブレスを放つ。風太と距離が離れている今、躊躇う必要がないフェニックスは、一切加減のない攻撃を行う。オロバスは炎に呑み込まれ、姿が見えなくなった。

 「やった!」

 「凄い!やっぱり風太は・・・!」

 「・・・いや、まだだよ。」

 勝利を確信する風太と渚。だが、ソウはまだ決着がついていないことに気付いていた。

 「甘いぞ、勇者!」

 「!?」

 なんと、炎の中からオロバスの声が聞こえてきた。

 「あいつ・・・生きてるのか!?」

 『あり得ない!これだけの炎を直撃して無事でいるわけが・・・!』

 「テイマーが自分だけだと思うな!」

 すると、炎を押しのけるように一体の魔物が姿を現す。それは、綺麗な赤色のゴーレムだった。

 「!?何だあれは!?マグマゴーレムか!?」

 『マグマゴーレム程度なら、私の炎で溶けるはず!あれは、マグマゴーレムではない!』

 「・・・ジュエルゴーレムか。彼は、テイマーであると同時に、ゴーレム製作者クリエーターのようだね。」

 「・・・ソウ、あのゴーレムのことを知っているの?」

 「ジュエルゴーレム。素材に宝石を使用して作られるゴーレムだよ。ランクはA。マグマゴーレムの比じゃない強力な魔物だよ。宝石に応じて、属性攻撃を無効化できるんだ。火属性を無効化しているから、素材はルビーを使っているね。」

 「宝石もゴーレムになるのかよ!普通は銅とか鉄だろ!」

 「ルビーゴーレムの前に、火属性の攻撃は通らない。いくらやっても無駄だ。」

 「・・・フェニックス!一旦ブレスを止めろ!」

 風太はブレスを止めるよう命じる。ブレスは止み、炎は消えた。

 「渚!貫通力のある魔法で攻撃してくれ!水属性の魔法なら無効化できないはずだ!」

 「分かった!」

 渚は、オロバスに向けて魔法を放つ。

 「【アクアレーザー】!」

 中級の水属性魔法【アクアレーザー】。原理としては、水圧カッターのような魔法で、貫通力に優れており、固い岩でさえ貫いてしまうほどである。

 【アクアレーザー】は、ルビーゴーレムに向かって一直線に飛んでいく。

 「こいつでゴーレム諸共貫いてやる!」

 「水か。ならこれだ!」

 ルビーゴーレムに魔法が当たる直前、また一体のゴーレムが現れ、魔法を受け止めてしまう。そのゴーレムは、綺麗な青色の身体だった。

 「受け止めた!?」

 「・・・今度はサファイアゴーレムか。あれは水属性を無力化する。渚の魔法でも貫けない。」

 「・・・なら、俺が砕いてやる!」

 風太は、今度は自身の魔法を放つ。

 「【エアロバースト】!」

 【エアロバースト】が、サファイアゴーレムを砕かんと迫る。

 「それにはこれだ!」

 今度は、綺麗な緑色のゴーレムが現れ、魔法を遮ってしまう。

 「おいおい・・・まだいるのかよ・・・!」

 「エメラルドゴーレムか。風属性を無効化するゴーレムだよ。まさか、これほどまでジュエルゴーレムを使役しているなんてね。まるで宝石箱だね。」

 「呑気なこと言ってる場合!?」

 「・・・そうだね。ここは危ないね。」

 「え?」

 その時、渚とソウの目の前の地面から綺麗な黄色のゴーレムが飛び出し、二人に襲いかかる。

 「!」

 「おっと。」

 ソウは渚を抱き寄せると、【短距離転移】を行い回避する。

 「あ・・・ありがとう・・・。」

 「どういたしまして。」

 「渚!ソウ!大丈夫か!?」

 「だ・・・大丈夫!」

 「僕も平気だよ。この程度の【短距離転移】なら、そこまで疲れないから。」

 「・・・でも、あのゴーレムは?」

 「トパーズゴーレムだよ。土属性のジュエルゴーレムさ。」

 「・・・くそ!これじゃあどの属性で攻めても防がれる!どうすればいい!」

 さすがの風太も、属性無効化能力を持つ多様なジュエルゴーレムに、どうやって戦うべきか考えが浮かばない。

 「ふふふ。では駄目押しだ!」

 オロバスが手を上げると、地面からまた別のゴーレムが出てきた。今度出てきたゴーレムは、無色透明の光輝く身体をした、先ほどのゴーレム達よりも綺麗なゴーレムだった。

 「・・・なんだ、あのゴーレムは・・・?」

 「これぞ、最強のジュエルゴーレム、ダイヤモンドゴーレムだ!こいつは自体は光属性だが、四属性全ての攻撃を無力化し、物理攻撃にも高い耐性を持つ。お前でもどうしようもあるまい!」

 「とうとうダイヤモンドかよ!宝石屋でもやってろ!」

 「ははははは!これで終わりだ!全ゴーレム、奴らを始末しろ!」

 オロバスの命令を受け、ジュエルゴーレム達は風太達へと迫っていく。風太達は、絶体絶命の危機に陥っていた。

こんなゴーレム実際に作るとしたら、いくらくらいになるでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ