表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/161

不死鳥フェニックス

 「・・・うまくいくかな・・・。」

 フレアバードが溶岩に潜って十分ほどが経過した。風太は、フレアバードの情報収集がうまくいくか、心配になっていた。

 「大丈夫よ。風太が契約した魔物なんだから。」

 「今は、彼に託すしかないよ。どのみち、僕達じゃ溶岩の中には入れない。」

 「・・・。」

 「それに、約一名、暇をうまい形で潰してるよ。」

 震が指すと、そこには大剣を使って素振りをする焔の姿があった。

 「・・・本当に鍛えるのが好きなんだな。」

 「彼、剣道部のエースだからね。しかも、新人戦で優勝しているほどだよ。」

 「・・・そうなのか。全然知らなかった。」

 「私も。あんまりスポーツに興味ないから。」

 「まあ、腕力は一流でも、ただの脳筋さ。実戦でどれだけ役に立つかは分からないよ。」

 震は、なかなか辛辣に焔を評する。

 『・・・主。ファイアバード達と接触に成功した。』

 雑談をしていた風太の脳内に、フレアバードの【遠隔疎通】が届く。

 『!見つけたか!』

 『情報を聞き出してみたが・・・ここにいる同胞は、守護者のことは知らないようだ。』

 『知らない?』

 『うむ。・・・だが、気になる言い伝えがあるらしい。それが守護者かもしれないとのことだ。』

 『なんだ、言い伝えって?』

 『『この地に眠りし神に仕えし三体の使徒あり。』・・・主の言う、三体の守護者と合致するのでは?』

 『きっとそれだ。それで、その使徒はどこにいる?』

 『そこまでは・・・。・・・!何、我々の主が何か知っているかもしれない?・・・まさか、フェニックス様か?』

 『!フェニックス!?フェニックスがいるのか!?』

 フェニックスの名前に、風太は反応する。自分が契約したいと考えている魔物なのだから。

 『どうやらその様だ。・・・フェニックス様か・・・我らファイアバード種の頂点に立つ方だ。我も是非会いたい・・・。』

 『・・・会えるように交渉してくれないか。』

 『了解した。・・・え?お会いになる?主にか?』

 『?フレアバード?』

 『主!フェニックス様がお会いになるとのことだ!』

 『!フェニックスが直接!?』

 その時、溶岩から何か巨大なものが飛び出す。それは、ファイアバードやフレアバードなどとは比較にならないほど大きな火の鳥だった。

 「何あれ!?」

 「・・・これが・・・フェニックス・・・!」

 あまりに巨大で神々しいオーラに、風太達は金縛りにでもあったかのような感覚に陥る。

 『・・・私に話があるのはお前達だな?』

 「うお!?こいつ、しゃべったぞ!」

 「相手はAランクの魔物だ。そのレベルなら、人間の言葉もしゃべることができる。」

 「・・・ああ。俺達だ。・・・聞きたいことがある。火竜ブレイの所に行くための方法についてだ。」

 『・・・私達の神に会う?何のために?』

 「今、世界はヤミーが暴れて大変なことになっている。それを止めるために、火竜の力を借りたい。」

 『・・・なるほど。最近、神殿の外が騒がしいのはそのためか。このままでは、神も眠りから覚めてしまうな。』

 「でも、そのためには、三体の守護者にどうにかしてもらわなければいけないと書かれていたんだ。だから、守護者に関する情報を持っている魔物を探していて、フェニックスに行きついた。・・・何か知っているか?」

 『・・・守護者なら知っている。私が、その守護者の一人だ。』

 「!守護者の一人だったのか!」

 まさかの展開に、一同は驚く。もっとも、守護者というのだから、強い魔物であることは確実だと思ってはいたが。

 『五百年ほど前に、先代が引退して私が守護者の任を引き継いだのだ。』

 「五百年前・・・お前、どれだけ生きているんだ?」

 『二千年ほど生きているが、まだまだ若造だ。あと千年ほどすれば、一人前になれる。』

 「二千年で未成年扱いかよ!」

 「・・・さすがは不死鳥。寿命もけた違いということか。」

 フェニックスは、老衰による死がない魔物と考えられている。詳しく調べた者はいないが、彼らは常々、数千年前のことを話し、それらは全て本当にあったことであることから、数千年は確実に生きているとは思われている。ここまで強烈なオーラを放っておいて、まだ未熟であるなどと言うことからも、彼らが想像もできないほど長い年月を生きていることを表しているのだ。

 『お前達の望みは、守護者に会い、神の許へ行くための道を開く。それに相違ないな?』

 「ああ。頼む、ブレイに会わせてくれ。」

 『・・・分かった。他の守護者達を集めてこよう。詳しい話は、その時にでもするといい。』

 「ありがとう!」

 『・・・だが、私はともかく、他の二体が認めるか・・・。』

 「?気難しいのか?」

 『うむ。二体とも、強き者しか認めない。心してかかるといい。』

 そう言い残すと、フェニックスは再び溶岩の中に潜っていった。

 そして、入れ違いでフレアバードが溶岩から飛び出てきた。

 『主!我は、フェニックス様に会ったぞ!同胞の王たるフェニックス様にだ!これほど喜ばしいことはない!』

 「・・・ああ・・・とりあえず、落ち着け。」

 嬉しそうなフレアバードを、風太は制する。

 「・・・フレアバード。これから俺達は、守護者達と話をする。お前はどうする?もうしばらく出ているか?」

 『そうだな。同胞と話したいことも多々ある。そうさせてもらうとしよう。』

 「分かった。でも、話が付いたらすぐ戻って来い。」

 『了解した。』

 フレアバードは、再び溶岩に潜っていった。

 風太達は再び、この場に残された。だが、フェニックスが現れた時よりも、待つ時間は短くて済んだ。フレアバードが溶岩に潜ってからすぐに、溶岩が不気味に揺れ始めたのだから。

 「!まさか・・・もう来たのか!?」

 「守護者って、どんな奴だ・・・?」

 「・・・強い人しか認めないって言ってたけど・・・。」

 「・・・ゲームのテンプレみたいに、戦って示せって言うタイプかもね。」

 彼らが口々に言っていると、溶岩からその魔物達は出てきた。

 一体は、フレイムリザードに似ていたが、その大きさは十倍以上で、纏っている炎の大きさも、比較にならないほどだった。

 もう一体は、下半身が炎と化した、筋骨隆々の大男で、厳格そうな表情をしていた。

 『・・・俺はサラマンダー。偉大なる神に仕えし守護者の一人だ!』

 『我はイフリート。炎の精霊を統べる者なり。汝らが、我らを呼んだ者共か?』

 二体の魔物は、風太達を凝視する。その圧倒的なオーラに、風太達に緊張が走る。

 「・・・サラマンダー・・・それに、イフリート・・・!二体とも、Aランクの中でも上位に位置する魔物だ・・・!」

 震は、二体の魔物の名を呟くと、頬から汗を垂らした。

イフリートのCVイメージは稲田さん(マテw)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ