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戦略的撤退?

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 「!?これは・・・!」

 神殿に入った風太達は、その中の状況に驚愕した。神殿の中は、申し訳程度の歩くスペースがある以外は、溶岩しかない天然の火山そのものだったのだ。

 「・・・神殿なのは外側だけで、中は完全に火山じゃないか・・・!」

 「おいおい・・・こんな場所通って火竜のいる所まで行くのかよ?嘘だろ・・・?」

 「・・・道はあるようだけど・・・一列でしか渡れないような細さだ。」

 あまりの状況に、風太達は動揺を隠せなかった。

 「・・・エリアス、ここ、私達を乗せて飛んでいけない?」

 渚がエリアスに、ブレイの所まで飛んで連れて行ってくれないかと提案する。

 『・・・行けなくはないですね。相当広いようですから。・・・ただ・・・。』

 「・・・ただ?」

 『・・・どうやら、神殿の防衛機能が働いたようですね。』

 「え?」

 すると、神殿の奥の方から、魔物達がやって来たのだ。数は分からないが、確実に百は超えていた。

 「!?あれは、ファイアバード!それに、フレアバードやそれの上位種のフレイムバードやバーニングバードもいる!」

 「おいおい・・・ファイアバードは大人しい魔物じゃねーのかよ!?」

 『おそらく、この神殿自体・・・・・・が彼らの縄張りなのでしょう。ファイアバードは、縄張りを侵されることを何よりも嫌いますからね。』

 「エリアス!強行突破だ!」

 『・・・無理ですね。相性は悪くありませんが、あれだけの大群では、渚の魔力の方が先に尽きます。』

 エリアスの言葉通り、ファイアバード達は、奥の方からどんどんとひっきりなしに湧いて出てくる。数は、もう数えることなどできないほどだった。

 「おいおいおい!どうしてあんなに出てくるんだよ!?どこに潜んでんだ!?」

 『ファイアバードの巣は、溶岩そのものです。おそらく、この神殿の溶岩にでも巣くっているのでしょう。』

 「それじゃあ、この火山自体が奴らの巣か!どれだけいるのか分からないぞ!」

 「・・・!皆!溶岩の中に何かいる!」

 震が言い終わるやいなや、溶岩から、巨大な何から現れる。それは、全身溶岩でできた巨大な岩石の巨人だった。

 「・・・マグマゴーレムだ・・・!ランクはB!全身溶岩でできていて、外に出れば大火事になるほどの魔物だ!」

 「あんな数のファイアバード達だけじゃなく、そんな強敵まで・・・!」

 「!ゴーレムだけじゃない!まだ他にもいるぞ!」

 風太は、他にも溶岩から出てくる魔物に気が付いた。それは、炎のように真っ赤な大蛇のような魔物と、大蛇同様真っ赤で、尻尾の先端に炎が付いているなコモドオオトカゲのような魔物だった。

 「あの大蛇は、マグマサーペントだ!口から溶岩を吹き出して攻撃するCランクの魔物だ!蜥蜴の方は、フレイムリザード!Cランクの凶暴なオオトカゲだ!」

 「溶岩の中に棲息しているなんて、本当に常識離れしているな・・・!」

 「でもよ、CやBなら俺達でなんとかできるんじゃねーか?モーゼ師匠が言うには、俺達はだいたいBランク程度までなら問題なく戦えるって・・・!」

 焔が戦闘を提案しようとしたその時、溶岩からさらにマグマゴーレムが現れる。その数は、軽く十体を超えていた。

 「・・・無理だな。」

 「・・・無理だね。」

 「皆!一旦撤退だ!」

 あまりの敵の数に、風太達は、速攻で逃走を選択した。わき目も振らず、神殿から逃げ出していく。彼らが逃げ出すのを見た魔物達は、何事もなかったかのように、元の場所へと帰っていくのだった。


 「・・・何の冗談だよ、あの魔物の数は!?」

 脱出した風太達は、魔物達の異常な集まり様に困惑していた。いくらなんでも数が多いように感じたのだ。

 「五大竜相手に明らかに喧嘩売ってたよな、あいつら。どういうことだよ?神様に喧嘩売るなんてよ?」

 「・・・エリアス。君はあの時、神殿の防衛機能と言っていたけど、心当たりがあるのかい?」

 『はい。あれは、おそらく侵入者対策用の特殊な魔法の一種でしょう。侵入してきた相手の強さに応じて、戦力を送り込む魔法です。似たようなものを、私も住処である隠れ里の神殿に施してあります。』

 「そんなことできるのか?」

 『あそこが溶岩を住処とする魔物の縄張りだからこそできることです。それに、ファイアバードが、付近に火があれば不死身であるという特性を持つからこそできるというところもあるのでしょう。通常の魔物では、難しいかと。私の場合、水があれば無限に作れる魔法生物で代用していますから。』

 「面倒くさいトラップ仕掛けやがって・・・。で、どうするよ?これじゃあ強行突破しても、エリアスは大丈夫でも、俺達は確実に死ぬぞ?」

 「・・・エリアス、カード化しても、私達に水の守りは施せる?」

 『問題ありません。カード化していても、それくらいなら問題なくできます。』

 「なら、私達だけで入るのはどうかな?エリアスがいたから、あれだけ大勢の魔物が出てきたと思うし。」

 「それしかないな。焔、震。この方法でいいか?」

 「そうするしかねーんだろ?だったら、そいつで構わない。」

 「僕もそれでいいよ。五大竜が使えないのは少々痛いけど、あの数に圧殺されるよりはマシだね。」

 「・・・よし、もう一度突入だ。」

 エリアスをカードに戻し、風太達は、再度、神殿に突入するのだった。

これは、逃走ではない!戦略的撤退である!

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