ランド出る
『フィード、久しぶり。ようやく会えた。』
ランドは、涙目でフィードと再会できたことを喜ぶ。
『相変わらず泣き虫だね。でも、変わりなくてよかったよ。』
一方のフィードも、ランドとの再会を喜んでいた。最後に顔を合わせたのは、ヤミーを倒し、自身の力の強大さに気付き、共にいるのは世界を乱すと判断し、別れて以来だったのだから。
「・・・フィード。僕達は目的を達成した。早く、焔の所に・・・。」
震は、早く焔の救援に行こうとフィードに言う。だが、フィードは険しい表情になる。
『・・・それは無理だよ。風太が魔力切れで倒れてしまったんだ。残念だけど、僕は戦えない。』
「何だって!?それじゃあ、ブレイとランド、二体だけでセイクと戦わないといけないのかい!?」
『風太がこんな状態じゃあ、僕は戦力にならないよ。風太が万全でも、あのセイクは手に余るんだから。今の僕じゃあ無理だよ。』
「・・・最悪だ。折角、ランドと契約できても、やられてしまったら意味がない・・・。」
セイクに対抗する手段がないことに、震は愕然とする。あの時、セイクを制圧できたのも、風太の存在が大きかったのだ。風太がいなければ、勝率は下がるどころかないに等しかった。
『でも、ブレイを放ってはおけないよ。何とかしないと。』
「・・・ランド。セイクをどうにかしてダンジョン内に引きずり込めないかな?」
『セイクをここに?』
「ここなら、君はヤミーとも戦えるんだろう?なら、ここにセイクを入れて戦えば、勝てるはずだ。」
ダンジョン内ならランドの力は増すのを利用して、震はセイクに対抗しようと考える。だが、ランドは首を横に振る。
『こちらからセイクを引きずり込むなんてできないわ。私の権能は、ダンジョン内でのみ有効だから。外じゃ使えないわ。』
「・・・なら、ブレイにここに引き込んでもらうしか・・・。」
『どうやってブレイと連絡を取るんだい?風太が起きていれば、外にいる魔物を介して連絡できるけど、こんな状態じゃあ・・・。』
こちらから引きずり込めないなら、ブレイに手伝ってもらおうと考える震。だが、連絡を取る方法がないため、協力は見込めないとフィードは言う。震は、少々考え込むも、意を決して告げる。
「・・・少々危険かもしれないけど、僕とランドが直接出てブレイと一緒にダンジョンに無理矢理引きずり込むしかないね。というか、それ以外に方法が考え付かない。」
『それしかないね。・・・でも、問題はセイクが大人しくここに来てくれるかだね。ここがランドの領域だってことは、敵も分かっているはずだ。簡単にはいかないと思うよ。』
「だから、こちらもリスクを覚悟でやるしかない。君や緑川風太の魔物は戦力外な以上、やれるのは僕と焔だけだからね。」
『・・・分かったわ。じゃあ、今から入口の近くにまで転移するわ。』
「頼む。」
ランドと震は、ダンジョンの入口付近に転移する。フィードは、ランドと震が無事に帰ってくることを祈るのだった。