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ダイオス到着

 風太達がダンジョンに突入してから半日以上が経過した。ダンジョンの入り口に待機していた焔は、いつ敵が来てもいいよう構えていた。

 「・・・まだ来ねーな。まあ、できれば来ない方が一番いいんだけどな。」

 『ふん。俺は来る方が断然いい。魔王も魔将軍も根絶やしにしてやらなければ気が済まん。』

 「好戦的だな。・・・まあ、風太の貸してくれた魔物とお前がいるんだ。魔王どころか蟻の子一匹だろうと入れねーぜ。」

 『お前もやる気満々じゃねーか。・・・!どうやら来たようだぞ!』

 とうとう焔達の前に大勢の魔兵士や魔物が現れた。地平線を埋め尽くすほどの軍勢が、ランドのダンジョンに向かって行進していた。

 「・・・大軍だな。一万は下らねーな。」

 『桁が少ないぞ。最低でも十万はいるぞ。』

 「十万か。面白いじゃねーか!こっちに来る前に全滅させてやるぜ!」

 『契約者の友よ。我らもいるのを忘れるな。』

 『勇者の邪魔はさせぬ。』

 『我らの神を穢した報いを受けさせてやる!』

 風太の魔物達も、戦う気満々であった。今すぐにでも攻撃を加えようとしていた。

 「よし!敵がここに来る前に先制攻撃だ!ブレイ!やっちまえ!」

 『契約者の友よ。火竜ブレイだけではなく、我にも攻撃させろ。』

 「なるほど。風で火力を上げる作戦か。ならやっちまえ!」

 『腕が鳴る!ガルーダテンペスト!』

 ガルーダは、進化前とは比にならないほどの暴風を生み出し、敵の大軍に向けて飛ばす。

 「嘘だろ!?これだけで倒せるんじゃねーか!?」

 『倒すのは俺だ!火竜の息吹ドラゴニックファイアブレス!』

 ガルーダの暴風に向けて、ブレイはブレスを放つ。敵の大軍は、ガルーダの風で火力が上がったブレイのブレスに包まれていく。遠く離れている焔達の所にまで聞こえるほど大きな悲鳴が響き渡る。まさに、一方的な虐殺だった。

 「・・・こりゃ、勝負有りだな。あんなんで生き残れる奴はいないだろう。風太からここまで借りなくてもよかったかもな。」

 『・・・いや、まだだ。・・・魔王の奴は生きている・・・!』

 「!?」

 しばらくして、炎は消えていく。魔物も魔兵士達も何も存在していなかった。全てブレイのブレスで完全に焼き尽くされていた。だが、唯一黒い球状の物体だけが残っていた。

 「何だありゃ!?」

 『あれは・・・闇の結界!?闇の神の力を感じる!』

 「結界だと!?」

 『大方、ヤミーが渡した魔法の一種だろう。・・・余計なものを・・・!』

 しらばくして、結界はガラスが割れたように砕け散り、その場には魔王ダイオスだけが無傷で立っていた。結界の想像以上の強度に、焔は驚愕する。

 「・・・あれに耐え切るなんて・・・無茶苦茶だぜ。」

 『だが、何度も使えるはずがない。あの一回で終わりのはずだ。仮に何度も使えたとしても、所詮は借り物だ。先に回数が尽きる。もう勝負は付いたも同然だ。』

 一方、攻撃を受けたダイオスの方も、ブレイのブレスの威力に戦慄していた。

 (・・・恐ろしい・・・!ヤミー様から頂いた結界を使わなければ、私もやられていた!やはり、勇者は油断ならん存在だ!)

 ダイオスは、ランド確保のためにヤミーから様々なものを渡されていた。その一つが闇の結界石である。この結界石は、五大竜の攻撃であっても身を守ることができる強力な結界を張ることができる。ただし、一度しか使うことができない使い捨てのアイテムであり、ダイオスはランドとの戦いに使うつもりだったのだ。

 「・・・よくもヤミー様から頂いたアイテムを無駄に使わせてくれたな・・・!」

 ダイオスは、計画を狂わせたことよりも、ヤミーからもらった力を無駄に使わせられたことに憤っていた。

 「知るか!もうその結界は使えねーんだろ?観念してやられやがれ!」

 「・・・だが、まだ想定の範囲内だ。まさか、私の切り札が結界石だけと思ってはいないだろうな?」

 「何だと?」

 『・・・!?』

 突然、ブレイは自身と焔達を囲むように炎の障壁を展開する。それと同時に、凄まじい轟音が周囲に響き渡り、衝撃が襲い来る。あまりの衝撃に、炎の壁も消えかけるほどだった。

 「!?」

 『・・・来やがったな・・・!』

 炎の壁が消え、周囲が見えるようになり、焔は何が起こったのか理解した。ダイオスの上に、見慣れた相手がいたのだ。

 「・・・光竜・・・セイク・・・!」

 『!神!何故ここに!?』

 「ヤミー様から頂いたのは、結界石だけではない!お前達の相手はこいつだ!」

 セイクはブレイに向かって襲い掛かる。ブレイはそれを受け止めるが、大きく後退ってしまう。

 『ぐ!やめろ!セイク!』

 「ブレイ!」

 『神!』

 スペリオルサンダーバードは、セイクを気遣うあまり、ブレイの方に行ってしまう。

 『!愚か者!勝手に持ち場を離れては・・・!』

 「さらばだ!精々仲良く遊んでいろ!」

 ダイオスはブレイをセイクに任せると、乱れた隊列を掻い潜ってダンジョンへ向かう。

 「!待ちやがれ!」

 追いかけようとする焔とガルーダ、キングピーコックだったが、それを遮るかのように、白名光が現れる。

 「!真白の妹!お前まで・・・!」

 「・・・。」

 光は膨大な魔力を放出し、焔達を牽制する。単なる魔力を飛ばしただけだが、その威力は凄まじく、地面が割れてしまうほどだった。あまりの威力に焔やガルーダすらも迂闊には近付けないほどだった。

 その間にダイオスは、ダンジョンの入り口に到達してしまう。だが、ダイオスは何故かダンジョンに入ろうとはしなかった。ダイオスは入り口に手を近付けると、手は何かにぶつかったかのように弾かれてしまう。

 「・・・やはり、結界でヤミー様の配下は通れないようになっているな。・・・だが、これも想定の内だ。」

 ダイオスは、懐から短剣のようなものを取り出すと、結界に向けて振り下ろす。すると、結界はガラスが割れるような音を響かせ砕け散った。

 「この程度の結界で、ヤミー様の力を妨げられると思ったか?」

 結界を破壊したダイオスは、悠々とダンジョンの中に入っていくのだった。

 「くそ!入られた!」

 『焔!余所見している暇はねー!戦いに集中しろ!』

 「く!」

 セイクだけでなく、光までも妨害してきたため、焔はダイオスを追うのを断念せざるを得なかった。

 「・・・仕方ねー!お前の相手は俺だ!」

 頭を切り替え、焔は、ブレイカー・オブ・ブレイを手に、光に向かって行くのだった。

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