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ダンジョン攻略3

 「・・・長い階段だな。」

 【戸惑いの間】を抜けた風太達は、地下へと続く長い階段を歩いていた。時折ネズミ型の魔物が襲ってくるものの、風太は難なく返り討ちにしていく。

 「これは、マッドラッドです。土ネズミとも言われています。一匹程度なら臆病で人を襲うことはありませんが、群れると凶暴になり人を襲います。」

 「この弱さだとランクは低いみたいだけど、数が多いな。近くに巣でもあるのか?」

 「・・・どうやら、壁に開いた穴から出てきているみたいだね。」

 「穴か。・・・さすがにここに魔法を撃つのはまずいな。」

 「なら、僕が塞ごう。」

 震は土魔法でマッドラッドの出てくる穴を塞いでいく。すると、マッドラッドが出てくることはなくなった。

 「これで大丈夫だと思う。」

 「さすがだな。」

 「・・・さて、次の試練はなんだろうな。」

 「前が迷路なら、次は謎解きか力比べじゃないかな。」

 「・・・私の伝え聞いたことが正しいのなら、次の試練の間は【結界の間】です。結界を解除して先に進むと伝え聞いています。」

 「結界か。・・・フィードで叩き壊せれば楽なんだけどな。」

 「・・・あの、勇者様。何でも竜の力で解決しようと考えるのはどうかと。」

 「・・・とにかく、試練の内容を見てから考えよう。」

 しばらくして、階段は終わり、次の間に進むための扉が目の前に現れた。

 「・・・ここか。じゃあ行くぞ。」

 扉が開き、風太達は中に進む。部屋の中には、三重に張られた結界が部屋の真ん中にあり、先には進めないようになっていた。

 「なるほど。あの結界を解除すればいいのか。」

 「どんな結界なんだろう?」

 「・・・!この石板にそれが書かれています。」

 女王は、結界の側にある石板に刻まれた内容を読み始める。

 「・・・『三つの異なる結界を解除せよ。一つ、力を防ぐ結界。一つ、魔法の防ぐ結界。一つ、双方を防ぐ結界。この三つを解いた時、道は開かれん。』と。」

 「・・・おそらく、一つ目は対物理結界で、二つ目は対魔法結界、最後は物理魔法両方を防ぐ結界だね。」

 「・・・どれがその結界なんだ?全然分からないな。」

 「石板の順番なら、一番外が対物理、二番目が対魔法、三番目が両方だと思うけど・・・。」

 「・・・試してみれば分かるか。」

 風太は、一番外側の結界に剣を振る。すると、剣はまるで壁にぶつかったかのように弾かれてしまう。

 「・・・こいつが対物理結界で間違いないな。」

 「なら、その結界には魔法をぶつければいい。」

 「よし!【ウィンドカッター】!」

 風太は一番外側の結界に風魔法をぶつける。結界は、簡単に崩れ去った。

 「下級魔法でも十分壊せるみたいだな。さて、次は・・・。」

 「・・・!待ってくれ!あれを!」

 「!?」

 風太は驚愕する。なんと、壊した結界は瞬く間に元に戻ってしまったのだ。

 「・・・どうやら、壊してもすぐに修復してしまうみたいだね。・・・だいたい三秒くらいか。」

 「じゃあ、三秒以内に全部壊さないと駄目ってことか。・・・厄介だな。」

 「・・・最初の結界は、魔法を使えばいい。次の結界は、物理的な攻撃で壊せるはず。・・・最後の結界は・・・。」

 「・・・おそらく、魔法と物理を同時にぶつけるのだと思います。片方だけでは、どちらも弾かれるでしょう。」

 女王は、三つ目の結界を破壊する方法を風太達に伝える。

 「・・・魔法と物理をやって、最後は同時攻撃か。これは難しいな。」

 「・・・よし、こうしよう。僕が魔法で攻撃するから、君は剣で結界を攻撃してくれ。」

 「分かった。」

 風太と震は、結界を壊すべく構える。

 「・・・行くぞ!」

 「【ストーンバレット】!」

 震は【ストーンバレット】で一番目の結界を攻撃する。そして、結界が壊れた同時に風太が二番目の結界を剣で攻撃する。震の推察通り、結界は砕ける。

 「これで最後だ!」

 二番目の結界が砕けたと同時に風太は、最後の結界に切りかかる。それと同時に、震も【ストーンバレット】を放つ。二人の攻撃を受け、最後の結界も粉々に砕け散った。

 「・・・成功だ!」

 三秒以上経過したが、結界が復元することはなく、風太達は試練をクリアしたのだということが分かった。

 「ふう。面倒な試練だったな。」

 「それじゃあ行こうか。」

 「・・・!待ってください!あれを!」

 突然、結界が今まであった場所に魔法陣が出現し、そこから巨大な人型の魔物が現れた。

 「・・・守護者のお出ましか・・・!」

 「あれは・・・ジャイアントジェネラル!?ランクでいえばAになる魔物です!そんな!この魔物も奥の守護者です!」

 「また異常事態か。まあ、問題ない!【ウィンドスラッシャー】!」

 風太はジャイアントジェネラルに向かって中級風魔法を放つ。ジャイアントジェネラルは、呆気なく身体を真っ二つにされ、息絶えた。

 「・・・Aランクの魔物が・・・瞬殺・・・!・・・しかも・・・中級の魔法で・・・!」

 「・・・念のため【ウィンドスラッシャー】を使ったけど、これじゃあ【ウィンドカッター】でよかったな。」

 「・・・下級魔法で倒せる相手ではないはずなのに・・・。・・・いいえ、そもそも上級であっても多数の術士がいなければ無理の魔物を・・・。」

 女王は、未だに自身の常識から外れている風太の強さを受け入れられていないのか、ブツブツと独り言を呟く。

 「・・・女王陛下。二、三いいですか?」

 そんな女王に、震は気になっていたことを尋ねることにした。

 「・・・え?・・・あ、はい、何でしょうか?」

 「女王陛下の伝え聞いた内容だと、ここの守護者な本当は何だったんですか?そして、守護者が現れない条件は?」

 「・・・え?・・・あ、はい。確か、ジャイアントナイトのはずです。解除の条件は、私が石板の内容を読み上げることです。」

 「ナイトはBランクのはずだ。なのに、ジェネラルが出た。・・・おまけに石板を女王陛下はちゃんと読んでいたのに出てきた。・・・やっぱりおかしいね。」

 「はい。・・・まるで、誰も通れないように難易度が上げられているようです。・・・あまり、考えたくはありませんが・・・私の力は・・・。」

 女王は、考えうる中で最悪の考えを述べる。ダンジョンの難易度を下げられるはずの自分の力が効いていないという考えを。

 「・・・申し訳ありません。役に立つと言いながら、何もできず・・・。」

 唯一協力できると思った力が使えないと分かり、女王は意気消沈してしまう。

 「・・・緑川風太。このまま進むかい?あまり言いたくはないけど、今の女王陛下を連れて行くのは足手まといを連れて行くのと同じだ。」

 震は、非情だが現実的なことを述べると、風太にこのまま進むか女王を一度戻しに行くかを尋ねる。

 「・・・進もう。今更女王陛下を戻している暇はない。」

 「だね。・・・女王陛下、それで構いませんか?」

 「大丈夫です。あの時の言いましたが、覚悟はできています。」

 「・・・よし、行くか。」

 風太達は、更にダンジョンの奥に進んでいくのだった。

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