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聖域到着

 「凄い・・・!これが・・・風の竜・・・!」

 フィードに乗ったエルフの女王は、そのあまりの速さに驚愕する。あっという間に聖域までついてしまう勢いなのだから。

 「女王陛下。ランドのいる場所は?」

 「・・・もうすぐです。もうすぐ洞窟が見えます。そこが、土の竜の住まう神殿への入り口です。」

 『・・・確かに、ランドの気を感じるね。もうそろそろだよ。』

 女王の言葉をフィードが肯定する。そのフィードの後ろを、焔と震を乗せたブレイが続く。しばらくして、風太達の目に洞窟が見えた。

 「・・・あそこです。・・・どうやら、まだヤミー軍は来ていないようですね。」

 「間に合ったか。・・・いや、ランドに会えてない以上、間に合ったとも言えないか。」

 『とりあえず、着陸するよ。』

 フィードとブレイは、洞窟の前に降りる。洞窟は、思っていた以上に大きく、フィード達も入れそうな大きさだった。

 「・・・思ったより大きいな。・・・まあ、ランドが出入りするならこれくらいは必要か。」

 「ここまで大きいと、入り口を下手に崩せねーぞ。中まで崩れそうだ。」

 「じゃあ、入り口を塞いで追手を防ぐ案はなしだね。そうなると、焔とブレイに外で待機してもらうしかないね。」

 「おう、任せろ。虫一匹通さねーぞ。」

 「・・・。」

 自信満々で答える焔。一方、風太は震の第一の案を聞いて、やめろと言わんばかりの顔をする。

 「・・・焔。俺の方で魔物を貸すから使ってくれ。」

 「別にいいって。俺とブレイがいれば楽勝だって。」

 「ダイオスが弱点対策をしてくる可能性もある。緑川風太の言う通りにするんだ。」

 「・・・わーった。で、どの魔物貸してくれんだ?」

 「ガルーダとキングピーコック、スペリオルサンダーバードだ。」

 風太はガルーダとキングピーコック、スペリオルサンダーバードを召喚する。

 「おお!ガルーダまで貸してくれるのか!そいつは助かるぜ!ランクの上では魔王と同格だ!」

 『俺に他の魔物は不要だが、一応礼は言っておこう。』

 「・・・緑川風太。ダイオスが弱点対策として連れてくるとしたら水のはず。土の魔物を貸した方がいい。」

 「・・・あー・・・俺、土の魔物と契約していないんだ。」

 「え?」

 風太の意外な言葉に、震は一瞬間抜けな声を上げる。

 「おいおい、震。風太の属性は風だぜ。土の魔物と契約するはずねーだろ。」

 「・・・でも、弱点であるフェニックスと普通に契約しているじゃないか。」

 「!・・・それもそうだな。どうしていねーんだ?」

 「・・・手頃な土属性の鳥型の魔物がいなかったんだ。魔物の図鑑で見たけど、鳥型の魔物は大半が風属性なんだ。それ以外の属性の鳥型の魔物は珍しいらしい。」

 「・・・なるほど。土属性の鳥なんてイメージできねーな。」

 「だったら、他の魔物で代用すればいい。無理に鳥型の魔物に拘らなくても・・・。」

 「それは難しい。・・・俺は、鳥型の魔物と相性がいいけど、他の魔物だとそうもいかない。契約しても大して力を引き出せるわけじゃない。フィードは例外だ。」

 「・・・相性か。確かにそればかりはどうしようもないね。」

 「・・・でしたら、この神殿に勇者様の望む魔物がいるかもしれません。」

 「え?」

 予想外の風太の弱点が露呈したものの、女王はその解決策がこの神殿にあると告げる。

 「この神殿に棲む魔物に、鳥型の土属性の魔物が数種います。中でもスチュパリデスという魔物が特に強い力を持つと言われています。その魔物なら、勇者様に相応しいかと。」

 「スチュパリデス・・・Aランクの魔物じゃないか。」

 震は、自身の読んだ本に書かれていた内容を思い出す。

 スチュパリデス。金属のような頑強な身体をしており、その強度はミスリルやオリハルコンに匹敵するとされ、もし死骸が手に入れば、質の高い防具に加工されるほどである。嘴からの一撃は、どんな固い鎧でも貫くとされ、穿孔鳥せんこうちょうの異名を取っている。事実、堅牢な城塞都市がたった一体のスチュパリデスに幾つも滅ぼされ、何十万という兵士を投入して足止めし、強力な魔物による波状攻撃でようやく仕留めたとの記録もある。

 「なるほど。今までの魔物と比べてフィジカルが高いタイプの魔物か。ランドに会いに行くついでに契約できるといいな。」

 「緑川風太。最大の目的はランドだよ。それを履き違えたら駄目だ。」

 「分かってる。それじゃあ行こう。焔、ガルーダ、キングピーコック、スペリオルサンダーバード、頼んだぞ。」

 「おう!任せとけ!」

 『ここから先には通さない。』

 『勇者よ、必ずや土の神と。』

 『ご武運を。』

 焔と自身の魔物達に見送られ、風太と震は女王を伴い洞窟へと足を踏み入れるのだった。

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