アジト到着
ウッド達に案内され、風太達はレジスタンスのアジトへと向かっていた。
「この先です。この先に、アジトに通じる入り口があります。」
「入り口は、偽装されているんですか?」
「うむ。雪を利用した物理的な隠蔽と魔法を利用した隠蔽の両方を使用しておる。入るところでも見られん限りは見つからんだろう。」
「なるほど。」
しばらくして、ウッド達は雪の積もった森の前に立ち止まる。
「ここです。この辺りに、アジトの入り口があります。」
「ここに?・・・見たところ、ただの森にしか・・・?」
「止まれ!」
困惑する風太の耳に、男性の声が入る。声のした方を向くと、そこには弓を構えるエルフ達の姿があった。
「エルフ?」
「入り口を見張る仲間達です。」
「ウッド、その人間達は何者だ?余所者を勝手に連れてくるとは何を考えている?」
ウッドが仲間だと言うエルフは、警戒心を剥き出しにしてウッドに問いただす。
「彼らはワルド大陸から来た人間だ。」
「ワルドだと?あり得ない!今大陸は、ヤミーにより包囲されている!来られるわけがない!」
仲間のエルフは、最初にウッド達に会った時と同じことを言う。
「本当だ。彼らは、ラグン国王からの書状も持っている。それに、ヤミー軍に見つかって殺されそうになっていた我々を救い出してくれた。信じてもいいと思う。」
「ヤミー軍から?・・・あり得ない!魔兵士を倒すのがどれだけ大変か、お前も分かっているだろう!」
「おいおい、なら、わしらがどうしてピンピンしとるんだ?」
「う・・・!」
「それに、彼らはこの近くにある拠点を潰してくれたし、食料の調達も手伝ってくれたの。信じてもいいと思うわ。」
「!拠点を!?」
「本当よ。信じられないなら、諜報班に聞いてみるといいわ。」
「・・・確認を取れ。」
ウッドの言葉を信じられなかったエルフに、ストンとキャトが援護の言葉をかける。それを聞いたエルフは、仲間の一人を確認に行かせる。しばらくして、確認に向かったエルフが戻ってきた。
「本当のようだ。アジト付近のヤミー軍の拠点が全て壊滅したとの報告があった。・・・原因は不明だが、事故ではないとのことだ。明らかに襲撃された痕跡があったそうだ。」
「・・・まさか・・・!」
「どう?これで彼らのこと、信じてくれた?」
「・・・。」
見張りのエルフはしばらく考え込むも、意を決して口を開く。
「・・・分かった。ただし、完全に白と分かるまで監視を付けることにする。それでいいのなら許可する。」
「疑り深いな・・・まあ、仕方ないか。皆さんはそれで構いませんか?」
「問題ありません。」
「まあ、いきなり来て信じろっつー方が無理だろうしな。」
「私も大丈夫です。」
「僕も構わないよ。それくらい用心深くないと、逆に安心できないしね。」
「彼らは大丈夫だそうだ。通してくれ。」
「分かった。・・・開門!」
エルフの号令と共に、風太達の目の前の光景が変わる。雪の積もった森は、徐々に武骨な岩肌に変わり、やがて大きな洞窟が姿を見せた。
「なるほど。幻影魔法か。これほどほレベルとなると、かなりの術者がかけたみたいだね。」
「こちらです。」
ウッド達に促され、風太達は洞窟へと入っていく。風太達は入った後、洞窟は再び雪の積もった森に変わっていくのだった。