グロバー大陸到着
「・・・ここが、グロバー大陸か。」
グロバーの領空に進入した風太達は、グロバー大陸の見下ろす。辺り一面が真っ白い雪の積もる大地で、森の木々でさえ真っ白といった様子である。
「・・・綺麗・・・まるで、絵本の世界みたい・・・。」
「そうか?見てるだけで寒くなりそうだぜ、俺は。」
「君は、寒いのが苦手だったね。名前は熱そうなのに。」
「仕方ねーだろ。苦手なもんは苦手なんだ。」
(そういえば、冬に遊びに来た時は、いつも家でしか遊ばなかったな。)
「・・・現在、外の気温は氷点下15℃です。」
「やめろ!真白!余計に寒く感じるだろ!」
外の気温を伝える真白に、焔は苦言を呈する。
「マイナス15℃か・・・。でも、全然寒さを感じないな。」
「メタリアルの中にいれば、暑さも寒さも防いでくれるからね。ただし、機内だけだ。何の準備もせずに外に出れば・・・。」
「確実に凍死するね。早速、用意しておいた防寒具が役に立ちそうだ。皆、これを着よう。」
『いや、そんなもん必要ねーぜ。』
防寒具の着用を勧める震に、ブレイがそれを制する。
「?どういうことだい?」
『俺の力でお前達を守ってやる。外が寒かろうと、俺の力があれば、半袖でも大丈夫だ。』
「なるほど。火の力なら、この極寒の世界でも問題なく過ごせるわけか。」
「ブレイの神殿で、エリアスがやったみたいな感じね。」
「けど、念のため着てはおくべきだ。備えあれば患えなしだよ。」
「同感だ。それに、着てた方が気分的に温かくなりそうだ。さすがに学ランでこんな所歩く気にはならねーぜ・・・。」
寒さが苦手な焔は、震の提案通り、防寒具を着出す。
「・・・そうだな。俺も想像しただけで寒くなってきた。」
「私も・・・。」
風太と渚もそれに釣られるように、防寒具を受け取ると着る。
「じゃあ、真白。どこか隠れられそうな場所に着陸してくれ。着陸後、周囲を探索してみる。」
「分かりました。・・・あ、あそこがよさそうです。」
真白が指した場所は、雪の降り積もる岩山で、メタリアルを隠すにはもってこいの場所だった。
「では、着陸します。」
メタリアルは、音もなく岩山の側に着陸するのだった。
「・・・じゃあ、ちょっと出てくる。ソウと真白は、ここで待機してくれ。」
「お気を付けて。」
「風太。真白の作った【通話の腕輪】、ちゃんと持ったかい?」
「ああ。これのことだな。」
風太は、腕に付ける銀色の腕輪を見せる
「それは、このメタリアルと通信できるものだ。何か見つけたら、連絡してほしい。」
「分かった。」
「他にも、ソウさんの考えた機能が付いています。メタリアルの方向を教えてくれるコンパスのような機能です。」
「つまり、それを使えば、メタリアルから離れても、どの方角にいるか教えてくれるわけか。便利だな。」
「他にもタイマーとか、魔力探知とか、色々あるけど、今回使うのは通信機とコンパス、タイマーくらいだね。」
「分かった。じゃあ、とりあえず二時間ほどしたら戻ってくる。真白、ハッチを開けてくれ。」
「ハッチ、開放します。」
メタリアルのハッチが開く。風太達は、真っ白い世界へと向かって行く。そして、風太達が出て行った後、ハッチは静かに閉まるのだった。