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本日はここで閉店させていただきます

間が空いてしまいすいません。次はなるべくすぐに投稿できるようにします。

「うーん、思った以上にすぐに撃退できたね」


「はい、制限レベルが低いのは確かですが、まさかここまで簡単に退けられる結果になるとは想像致しておりませんでした」


「だよね。これからは姉さんとか灯のどちらかを第一の部屋に配置してもいいかもしれないね」


 僕の言葉に少し思案するように顎に手を当てるフローラ。あれ? そんな変なことを言ったかな。


「…………マイマスターの仰る案も現状の戦力を鑑みますとよろしいかと存じます。ですが、そうしますとあちらの高台を隔離する必要があるのではありませんか?」


「どうして?」


「恐らくですが、冒険者達は背後の驚異を取り除いてから次の部屋に進みます。そう考えますと高台にいる戦力は無効化するのではないでしょうか」


「あお、だから手が出せないよう隔離すると」


「はい」


 確かにゲームとかでは全滅させてから進む人多いもんね。まあ、あれはやり込みとかの要素だけど、実際の事となると後顧の憂いということになるもんな。


 こんな風に僕とフローラが暢気に会話出来ている理由は画面にある。今現在()()()()()()冒険者がトゥレントに食べられているからだ。彼らが来たときは度肝を抜かれたものだけど、蓋を開けてみればどうという事はなかった。






『なんや、こりゃ。ちいっとも骨のある魔物とかおらんやないか』


『せや、せや。拍子抜けするわ。こないことなら、んな大勢で来る必要なかったの。兄貴の足手まといや』


『まあまあご両人。他の連中は初挑戦やさかい大目に見たってな』


 五組目で一番乗りしてきた男とそいつに小判鮫のように付き従っている男が大声で喚いていた。一番乗りした男の方は筋骨隆々でいかにも実力者といった風体をしていた。実際その歩き方などを見ればそこそこの実力はありそうだ。小判鮫の方は小柄だけど身のこなしは中々でこちらも実力者と言えなくもない。


 彼らが喚いている場所は入った直後の通路で、当たり前の事だけど何も置いてないから素通りされてた時だった。すんませんねぇ何もなくて。


 その二人の癇癪を宥めていたのはなんと女性。今までずっと見てきた冒険者は男性ばっかりだったから初めて見たときは目を疑ったよ。フローラから女性もいると聞いていたけど、本当にいたんだ。

 ちなみに彼女の言う新人達は後方でビクビクして固まっていた。怯えているので脅威はなさそうだけど人数は驚きの18人。流石にこれだけいると義姉さんの待つ部屋まで来るかもしれないな。


『はん、大目にねぇ』


 筋骨隆々の男が女性をじろじろと厭らしい眼で見回す。女性の方もそれを理解しているのか居心地義悪そうだ。


『じゃあ、その体を使うて誘惑してきたらどうなんや? もしかしたら、あんさんの言うこと聞きたなるかもしれんで。うっひゃっひゃっひゃっ』


『へへ、兄貴の言う通りや。体で誘惑~言いなり~。げっひゃっひゃっひゃ』


 視線だけじゃなくて口も下品だった。こんな奴ら義姉さんに逢わしたら血の雨が降るぞ。あの事件以来こういう手合いには厳しいからなぁ。


 女性はわなわなと震えていたが、やがて「結構や」と青筋を立てて新人達の所へと戻っていった。その後ろ姿に二人はまだ卑猥な言葉を投げ掛けていた。


「仲違いはいいけど、あの人数はどうしようかな」


「流石に第一の部屋では処理しきることは難しいかと思われます」


 確かに数匹いればまた結果は変わっただろう。でも、今は一匹しかいないのだから無い物ねだりをしても仕方ない。


 暫く様子を見ていると、彼らは沼地へと到着した。あのゲスな二人組はそこで立ち止まって何事か内緒話している。それだけならいいのだけど、あの二人非常に嫌らしい顔をしている。


『あん? あんさんらこないとこで立ち止まってどないしたんや?』


 まとめ役の女性に声をかけられた二人の内、片方の小さい方がニタニタと笑いながら答えた。


『へへ、兄貴はあんたらの露払いで疲れてんだ。だからちょっくら休憩というわけよ。でもよ、お優しい兄貴はあんたらを先に行かしてやろうだってさ。ありがたく感謝すんだな』


 小さい方の言葉に眉間に皺を寄せて不審そうな顔を見せる女性。しかし、特に何も言うことなく新人達へ声を掛け、二人組の横を通り抜けた。新人達も顔を見合わしたあと、女性に続くように二人組の横を通り抜けていく。

 女性は今までの連中と同じように間違った推測を立てて沼に入っていった。新人達もそれに納得して続いて沼に入っていった。


 どうでもいいけど、この国の人達って単純というか深く考えないというか。どうして皆沼に何もないと思ってしまうんだろうかなぁ。


 例の二人組は女性達が入っていくのをにやにやと眺めているだけだった。沼に配下の魔物がいるのに感ずいてそうな感じだけど何を考えているのか。


 と、突然、新人達が半分ほど沼に入ったところであの二人も沼に入りだした。そして、そのまま新人達の真ん中に居座って悠々と泳ぎだした。


「フローラ、あの二人どう思う?」


「恐らくですが沼にマイマスターの配下が潜んでいるのに気付いていたのだと思います。またこのタイミングで入るということを合わせて考えますと、他の人間を使い捨ての壁にしようとしているのではないでしょうか」


 なるほど。それくらいのことは確かにしそうだ。嫌らしい顔の内緒話はこれだったのか。


「マイマスター、始まりました」


 何がとは言わない。既に4回目となり予定調和とも言える出来事。沼にいる配下であるフレッシェンシャークが襲いだしたのだ。画面を見ると集団の最後尾に位置した奴から順繰り沼に引き込まれてる。そのスピードも速い。もしかしたらガイオスに負けたぶんの憂さ晴らしをしてるのかも。


「これは…………対岸まで泳ぎきれる者は少なそうで御座いますね」


「フローラもそう思う? 多分例の二人と先頭の女性は行けそうだけどね」


 どんどん数を減らしていく冒険者達。さしもの例の二人も必死の形相だ。流石にここまでの脅威とは思ってなかったか。


 結局、その二人と女性、後は新人の冒険者が五人ほどになった。最初の時と比べて半分以下とは残念すぎる。新人達はもう戦意を喪失して、地面にへたりこんだまま動かない。女性が励ましてたけど(かんば)しくなくて、中々動こうとしなかった。


 漸く動いた時点で二時間以上は経っていた。僕もこれ幸いにとフローラに任せて仮眠させてもらった。精神的に疲れていたのか、もうぐっすり寝てしまっていた。起こしに来たフローラがとてもすまなさそうにしていたぐらいだ。けど、彼らが動き出したのだったら全然構わない。

 画面の中の彼らは休憩で少しは元気を取り戻したのか、泳ぎきった時よりかは、はるかに顔色が良い。


『ガイオスの旦那もあんなんがおると、きちんと説明しろっちゅうねん。まあ、こん先はあの旦那ですら進めんかったという話やし、これは俺様の実力が出るとこちゃうか』


『全く兄貴の言う通りでさ。こっから兄貴の伝説が始まりまんな』


 意気揚々と進みだした二人の会話の中で聞き逃せないフレーズがあった。


"ガイオスの旦那も"


 彼はこんな奴らに情報を渡してたのか。道理であの二人が沼に配下がいることを知っているわけだ。でも、次の罠はガイオスも知らない。果たして彼、彼女らに突破されてしまうのだろうか。胸に暗雲がもたげてくるが、それを押し殺し動向を窺う。


 彼らは通路を無防備に歩いている。ガイオスは常に警戒してたけど他の連中は前の時の冒険者も警戒心が無さすぎるよね。ネット小説とかでは結構警戒されているものだけど…………。


「そろそろで御座いますね。私見では御座いますが例の罠に呆気なく引っ掛かるのではないでしょうか?」


「それは僕も思ったよ。だって、彼らは、あ!」


 フローラと喋っていたらビーーーーとけたたましい音が響いてきた。どうやら罠を踏み込んだのはあの女性冒険者のようだ。突然のことに戸惑い呆然としている。新人達は言わずもがなで、例の二人組だけが武器を手に下を見つめていた。


『へへ、早速来なすったで。この罠を突破すりゃガイオスよか上ちゅうわけや』


 でかい方が気合いを入れるように吼えた。やがてゴロゴロという音が聞こえてくると辺りを見回しだした。けれども後ろだけは見ない。


「何で前だけなんだろうね」


「通りすぎたあとに罠は無しと判断しているのかと愚考します」


 だんだん大きくなる音にビクビクしていた新人の一人がとうとう転がってきているトゥレントを見つけた。その発見の報で振り返った二人組は一瞬ぎょっとした顔を見せたが、それをすぐに不敵な顔に変えて武器を構えた。


『これを止めたら終わりっちゅうことや。任せんさい!』


『流石兄貴! 死ぬまでお供しやす』


 あの質量を受け止めるのか! 余りにも漢らしすぎる判断に思わず腰を浮かしていた。いやはや、今までの立ち居振舞いから腐れ外道と思っていたが中々にやるじゃないか。


 新人達も同じことを思ったのか、二人を見直す視線が向けていた。多分これで生き残れると思った奴も多いのではないかな。


 期待を一身に背負った 二人と転がってきているトゥレントの激突までの数秒、僕らは息を呑んで見詰めた。


 激突まで、五、四、三……。


 緊張感で画面から目を離せない。フローラも同様みたいで何も喋らなかった。そして。


 ドゴン!!


 重苦しい音がした。宙を舞う男二人。


「負けてるじゃないか!!」


 思わず突っ込みを入れてしまっていた。まあ、画面で見ているだけだから出来ることで、同じ様に息を詰めて見ていた新人達は恐慌に陥っていた。そして、あたふたしている間にトゥレントに轢かれていく新人達。ぎゃあ、とかおかーぢゃーんとか、色々な悲鳴が聞こえてくる。あの女性冒険者はというと、自分の死を受け入れているかのような諦めの表情で轢かれていた。


 この後、即死した者以外はトゥレントに食されて死亡、全滅した。遺体もトゥレントが美味しく食していた。流石に見る気はなかったのだが、イレギュラーがないかを確認しないといけないので最後まで見届けた。





 結局このあとに続くグループはいなかった。様子見なのかどうかは判らないが今のうちに稼げたDPで強化を図ろうっと。

おまけ設定


名前 :未定

種族名:水棲族

枝族名:フレッシェンシャーク

LV :5

頑丈度:125

腕力 :180

魔力 : 60

敏捷力:225

器用 :120

体力 :195

スキル:水流操作LV3 抜歯即生(ばっしそくしょう)LV3 電圧感知LV3


水流操作:自分の周りの水の流れを自由自在に操れる。LVが上がるにつれて、操作できる範囲が延びる。 


抜歯即生:歯を自分の意思で抜く事が出来る。また、即時生えさせることができる。LVが上がるにつれて、一度にできる量が増える。


電圧感知:電圧を感知する。LVが上がるにつれて精度が向上する。


ダンジョンマスターである藤村洸から召喚された個体。シャークの名が示す通り単なるサメであるが、生息地は海ではなく河。大きさは3メートルほどで、性格は非常に獰猛。川遊びを危険なものとしている一因である。藤村洸のダンジョンでは餌が豊富に泳いでいるので喜ばしい環境であるらしい。


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